ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、園川勇真さんのインタビューです。

園川勇真|コーチ
2016年楽天株式会社入社。子会社のリンクシェア・ジャパン株式会社に出向し、インターネット広告事業の法人営業に従事。フリーランスを経て2019年ティール株式会社を設立。日本最大級のメンズ向け美容総合サイトの運営及び医療系中小企業を主軸としたWebマーケティングのコンサルティングを行っている。社名のとおり「ティール組織」の成功事例を作るべく、メンバーそれぞれの 「好き」 や「得意」 を最大限活かした、自由で生産性の高いチームを作りに取り組む。

不器用な人間だからこそ、個性を活かす場をつくりたい

――園川さんがコーチになった経緯を教えてください。

前職では画一的なKPIマネジメントを経験したのですが、どこか違和感があって。メンバーの強みを活かせすことで業績も伸びて、みんな幸せに働ける、そんなよりよいマネジメントのやり方や組織形態があるんじゃないかとずっと思ってました。

メンバーはそれぞれ個性があり強みも弱みもモチベーションの源泉も異なる。もちろん、お給料をもらっている以上会社では成果を残す必要があります。ただ合理的に考えても、画一的でないやり方のほうが生み出す価値を最大化できるんじゃないかなって。

僕はもともと不器用で、興味があることにはすごくエネルギーが湧いて熱中しますが、そうではない部分はとても苦手(笑)。だから会社員時代は苦労も多くて。

自分のやりたい仕事や働き方を貫きたいという思いからフリーランスになりました。苦労もありましたが、個人で仕事をしていく中で自分がモチベーション高く納得感をもって働けるスタイルを理解していったんですよね。

あと、独立してから同じようにフリーランスの方と関わることが増えたのですが、特に個性的な人が多くて。彼らとの関わりを通じて、人それぞれに合った仕事スタイルがあるんだなって思って。

そのような経験を通じて、個性を活かせる組織に興味を持つようになりました。

そういった興味とコーチングが結びついたのは、ある勉強会でZaPASSのCOOである管さんの話を聞いたときです。「コーチングを軸としてメンバーとの対話を深め、その人の強みや主体性を重視して活躍してもらいつつ、成果をしっかり上げていく」という、コーチングを活かした組織マネジメントに関する内容でした。従来の組織からコーチング型マネジメントを実践した結果、業績も大幅に伸びたとのことでした。

僕自身が描く組織やリーダー像に非常に近いと感じるとともに、人の強みを生かし可能性を最大化する手法として確立されているものが、コーチングであると知りました。

勉強会に参加した当時はフリーランスという立場でしたが、自分もゆくゆく会社をつくることになったら、メンバーの強みや主体性を活かした組織を作りたいという気持ちが強くなったのです。その後すぐに、コーチングを学び始めました。

現実から逃げず、自分の「信念」に立ち返る

――園川さんが考える、コーチングの価値はなんでしょう?

人はみんな、高いポテンシャルや可能性を持っている。にも関わらず、社会的な制約などが原因で生かすことができていない人も多い。そういった人がコーチングを受けることで、自分らしさを思い出したり才能を開花させることができるんじゃないかって思っています。

例えば、事務職でダメダメだと言われていた人が、サービス職になり開花したり。営業マンとして活躍できなかった人がエンジニアとして開花したり。会社や学校で馴染めないような社会不適合者と言われた人がYoutuberやブロガーとして開花する。そもそも東京暮らしに消耗していた人が、地方や海外で自分らしい生き方を発見できるかもしれません。

Official髭男dismのボーカルの藤原聡さんは、元地銀の営業マンだったという話があります。おそらく営業マンの状態では今のようなスターにはなってません。

世の中的には、まだ見ぬ藤原聡さんの方が圧倒的に多いと思っています。それは非常にもったいないと思うんですよね。

このように「人の才能が開花されない機会損出を少しでも減らしたい」というのがコーチングにおける私のビジョンです。

また、これは僕の話になりますが、新型コロナウイルス感染症の影響で、会社のメイン事業の規模を縮小することになりました。社員の方たちにも一旦転職してもらったり……。大きく成長していた事業が、ここにいきてうまくいかなくなってしまったんです。

そこで、以前のような身軽なフリーランスに戻るか、組織として大きくなることを改めて目指していくか、今後の方向性に迷いがでました。コロナという今まで経験したことのないことが起きて、弱気になっていたのかもしれません。

そんなときにコーチから問いかけられたのが、「あなたが尊敬する人はどのような人か」です。会社、事業、社員、そういった目の前にある現実だけにフォーカスしていた僕の視野が、一気に広がって。

僕がリスペクトしているのは、資本主義社会という枠組みのなかで成功しつつも、単にビジネス的な視点だけでなく、自分の信念を経営に生かし、社会に良いインパクトを与える人

僕がフリーランスで仕事をしていたときは、やりたいことや信念が先走ってしまったときもあります。でも、資本力がなければ、資本主義の中で大きなことはできません。

しっかり利益を稼ぎ資本力があるからこそ、社会的な影響力が生まれ、自分が持つ経営理念を社会へ発信することができる。そこから逃げてはだめだと、ハッとしたんですね。

会社を強くしたうえで、社会的インパクトを出せるような事業をしたい。僕はこのセッションで、経営者としての思いをあらためて認識できました。コロナという状況、社員を抱える経営者という立場、そういった外的要因や社会的制約の中で縮こまっていた僕の本当の願いは、コーチングがなければ引き出されることはなかったんじゃないかな。

そのセッション以降、事業ドメインを確実に収益が見込める医療系向けのマーケティング支援に絞り、仲間とともに組織として再出発しています。安易にフリーランスの立場に戻らず、望む未来に向けて動けてよかったなと思います。

クライアントの現実を好転させることこそ、コーチングの価値

――コーチとして、セッションで大切にされていることは何ですか?

コーチとしては「クライアントの現実がよい方向に変化すること」を大切にしています。

セッションで「自分の思いを整理できた」とか、「気持ちがすっきりした」だけではもったいない。時にはそういうセッションがあってもいいですが、ずっとそのままでは、コーチングの価値は限定的になってしまうと思います。

セッションを通じてその人のやるべきことが明確になり、実際にアクションが起こって、現実がよい方向に変わっていく。そこにコーチングの大きな価値があると思っています。

現実を変えるには恐怖感や抵抗感など、時に厳しさも伴います。クライアントのやりたいことが明確になっても、いざ実行に移すときに一歩踏み出せないという状況は往々にしてありますから。でも、実際に行動しなければ現実はいつまでも変わりません

コーチとして優しさだけでなく、クライアントの背中を押したり、場合によってはお尻を叩くことも必要だと考えています。

僕はもともと人への興味がすごく強い、言ってしまえば「おせっかい」な性格で(笑)。クライアントさんが実際に行動を起こし、現実を変えることができるようにとことん向き合います。その人のやりたいことを引き出して、背中を押すコミュニケーションが好きなんです。

コーチングは、眠っていた情熱の源泉を掘り当てる旅路

――今後はどのようなクライアントを支援していきたいですか。

そうですね。主には、「ベンチャーマインドを持った若手ビジネスパーソン」を支援していきたいと思っています。

僕自身、楽天というベンチャー気質がある企業がキャリアのスタートで、その後フリーランスを経て起業していますから、価値観が近く共感しやすい面があります。自分も経験してきた道だからこそ、自分ごととしてよりサポートができると思います。

若手の時期ってとにかく忙しくて、覚えなきゃいけないことや学ぶことも多いし、よくも悪くも視野が狭くなりがち。目の前のことでいっぱいいっぱいですよね。そこで、僕のセッションではクライアントさんに様々な質問を投げかけて、視野を広げることを心がけています。

そもそも自分がやりたいことは何だったかとか、過去熱中していたこととか。トラウマやコンプレックスにも向き合うこともあります。

様々な角度から質問を投げかけていると、ある時「ここだ!」とその方のエネルギーの源泉を掘り当てられるんです。クライアントさん自身が腹落ちするキーワードを見つけ、言葉にパワーが乗ってくる瞬間があります。

ここで本来の自分らしさが蘇って、急に生き生きする人も多い。そのような瞬間に立ち会えることは、コーチをやっている醍醐味です。

エネルギーの源泉が見つかると、自分がエネルギーを向ける対象が変わってきます。時間の使い方も変わりますよね。目の前のことしか見えなかった状態から、長期的に在りたい姿も意識して動ける状態になる。

こうやって行動を繰り返すことで、自然と自分の「強み」や「好きなこと」を生かせる環境と結びついて、その人の才能を開花させることができるのではないでしょうか。

コーチングは、その人の中に眠っていた情熱の源泉を探る旅です。クライアントさんのまだ見ぬ才能を見つけ出し、その方が輝く道を一緒に探していくコーチになっていきたいと願っています。

[取材]大門史果 [文]米澤智子 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭

Beingは、
ひたむきに生きるビジネスパーソンが打ち明けた、
純粋な願いたちを集めました。

人として、組織として、社会として、
本当はどう在りたいか。

組織と事業の成長、取り巻く環境変化のなかで
ときに矛盾や葛藤、経済合理性にもがきながら
彼らがBeing-在り方-を磨いてきた過程とは。

ここでしか語られることのない
飾らない言葉たちを分かち合います。

さあ、本当の願いからはじめよう。

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