変化の激しい社会情勢の中で、「より良い生き方を模索したい」「自分らしい人生を生きていきたい」と考えるビジネスパーソンは増えていると感じます。働く人の価値観の変化に伴って、働き方や組織風土のアップデートに着手している経営者も多いようです。

コーチングを主力事業とするZaPASSは、時代の変化と共にオウンドメディアの刷新を行いました。これまで運営していた「ZaPASS MAGAZINE」は、個人・企業・社会が向かう新たなパラダイムを共に探求するべく「Being」へと名称を変え、新たに誕生しました。

メディア刷新の中心にあるのが、名の通り“Being”(在り方を大切に生きる)という考え方です。

Doing(やり方)以上にBeing(在り方)を大切にすることで、個人・企業・社会はどのように変わっていくのかー。メディア「Being」では、様々な業界の経営者・リーダーの在り方、ZaPASS自身の取り組みを分かち合う中で、Beingの可能性を探求していきます。

1本目は、工業社会におけるBeingの実践や、これから目指す未来観について、Being編集部がZaPASS経営陣4名に話を伺いました。

“Being” によって、生かされてる実感や安心感、受容されている感覚を得る

ー今回メディア「Being」へのリニューアル経緯をお伺いできますでしょうか?

CEO 足立さん:サービスを通じて多くの方の悩みに寄り添うなか、「コーチングって何だろう」という問いを、探し続けてきました。今の結論は、コーチングは目標達成のための手段以上に、人としての器が磨かれることに価値があるのではないかと思っています。

変化したビジネスパーソンを見ると、根本的に事象への「捉え方」が変化しているんです。その結果、目標達成に限らず人生のあらゆる側面が豊かになっていく

コーチであり経営陣でもある小寺さんや垂水さんと話しても、同じスタンスを感じます。表面的な事象だけでなく、相手の奥底にある根本を見ている。悩みそのものではなく、心の在り方に向き合うことが大切なんだと、学ばさせてもらっています。

そうしたコーチングの本質である、人の心の在り方を大事にできる会社でいたい、という想いを表現するために、メディアを「Being」という名前に刷新しました。

ー「Being」は在り方という訳かと思うのですが、もう少しニュアンスを知りたいです。

CEO 足立さん:哲学的で感覚的な話になる気がするので、ぜひ正確に理解するというよりは、感じるように聞いてもらえると嬉しいです(笑)。

「Beingとは何か」を一言で説明するのは難しいんです。ただ、自分の外側に生み出すものよりは、内側で勝手に発動している感覚といったほうが近い気がします。アイデンティティとも言えるんでしょうか。自然と発動する感覚に、逆らわずに生きていく状態をBeingと呼ぶんじゃないかと僕は思います。

CHRO 垂水さん:読者の方の理解を助けるかはわかりませんが、僕なりの解釈も一つ。僕は「自分」というものは、少なくとも3人いると思っています。1人目は、日々あくせく働いて、思考する「Doingとしての自分」。2人目は、Doingの源泉であり、命の原子炉ともいえる、言葉にならない願いや情を内在させている「Beingとしての自分」。3人目は、そのBeingを「俯瞰・観察している自分」

働いているとつい「こうすべきだ・こうあるべきだ」とべき論に苛まれ、Doingに偏る習性に苦しむこともあると思います。そんな時こそ、自分とは何者かを研ぎ澄ませ、自身のBeingと繋がることが非常に大切です。

ただ、Being自体は無常であり、変わっていくものでもあります*1 ですから、変わっていく部分と、変わらない部分を認識し、自身のBeingと親しくなっていくことが大切ではないでしょうか。

*1 無常 一切のものは常に定まらず、永遠不変のものはないということ

経営顧問 小寺さん:コーチングの文脈からいうと、Beingとは、「自分とは何者なのかを探求していく過程で出会う己(おのれ)」と置いています。

仏教の言葉を使うと、はじめは誰しもが無明で、自分が何者なのかを分かっておらず、分かっていない苦しみを持って生きています。*2 しかし、自分と向き合う中で、少しずつ己を知っていくようになる。

するとその次は、他者と繋がれるようになり、さらに自然との繋がりも感じられるようになっていく。これによって、我欲が薄れ、永遠に不変のものはないと理解する、無我・無常の世界につながっていくと捉えています。

こうして自分の世界が広がることで、人は楽に生きれるようになると感じます。生かされてる実感や、それゆえの安心感、何か大きなものに受容されている感覚を得られるでしょうから。Beingを探求することで、余計な力が抜けていき、人はより自然体に近づいていくのだろうとイメージしています。

*2 無明 真理に明かりが届かず、無知であること

COO 管さん:力が抜けていく感覚を、僕もまさに経験したことがあります。以前、本業であるガイアックスのリーダーとして「自分が完璧でいなきゃ」「弱みを見せてはいけない」と気を張っていましたが、コーチングを受けて、ありのままの本音をさらけ出せるようになったんです。

すると、メンバーみんなとの距離を近くに感じられるようになり、頑張ることへの変な怖さがなくなった。無理に自分一人で立たなくても、互いに寄りかかりあって歩めるんだな、と感じました。僕の場合は、自分の本音に気づくというのが、Beingに沿って生きるきっかけになりましたね。

CEO 足立さん:それぞれの話を聞くほど、Beingは明確に定義できるものではないと思いました。また、僕の経験からくることですが、自分のBeingを受容できていない人は、他者のBeingを大事にすることができないんじゃないか、とも感じています。

自分の「こう在りたい」という本音を我慢していると、人にも我慢を強要したり、時には攻撃をしてしまう世界を幾度となく見てきました。僕らは自らのBeingを大切にする人が、周りの人のBeingも尊重し、「そう生きていいんだよ」というソーシャルアクションを広げていきたいと思っています。

工業社会の矛盾、組織がBeingを大事にすることは可能か

ー皆さんが考えるBeing観、大変興味深いです。ちなみに、個人と同様に組織でもBeingを大事にして生きることはできるのでしょうか?

経営顧問 小寺さん:「組織がBeingを大事にすることが是である」と頭では理解できても、体現することは非常に難しい命題だと感じています。Beingを大事にして生きるということは、一人ひとりを大切にする、ということです。そして、それぞれが自分自身と向き合う、ということ。

一人ひとりを大切にするには、その人のリズムやペースを尊重することが必要になります。ですが、工業社会の構造上、組織は果実を求めて、人をコントロールするようになっていく。従業員や株主、パートナーなどの当事者が増えると欲や期待も膨らんでいき、一定期間内に成果を出そうとする力が強く働いてしまう。

ここに矛盾が生じますから、これまでの組織の常識を再考し、手放さない限りはBeingを大事にすることは難しいと私は思っています。

CHRO 垂水さん:小寺さんのお話通り、既存の工業社会に合わせた組織にBeingという概念を埋め込むことは、困難に等しいかもしれません。まずこの認識に立つこと自体が、すごく重要な気がしています。

個がBeingに生きている状態を自律社会と呼ぶなら、繋がりやエコシステムの中でBeingが成立しているのが「自然社会」*3 この「自然社会」を先取りした生命体としての組織づくりは、まさにZaPASSがトライしているものです。

難しいと分かっているけれど、誰かが走り始めることでいつか時代が味方をし、願いが実装される時が来る。何年かかるかは分かりませんが、長期的に見ると万物は自然に逆らえないので、自然体な状態、つまりBeingが成立する自然社会に、いつかはたどり着くことは明らかなのではないでしょうか。

*3 オムロン社が提唱するSINIC理論に基づく考え方

利益の最大化を目指さず、思いをベースにする “森” のような組織に

ーZaPASSは組織運営において、どんなことを大切にされているのですか?

COO 管さん:組織運営の特徴でいうと、ZaPASSは売上目標を掲げていません。また、この先のことはまだ分かりませんが、現状は外部の投資家を入れない方針でいます。

なぜなら、この時期までにいくら売上げようとか、数年後には上場できるようにしよう、などの未来の利益を見据えた組織運営をすることで犠牲になるのは、各々のBeingだと思うからです。自分たちの思いをベースに、大切だと思ったことを100%やりきれるような組織にすることを、今は大事にしています。

CEO 足立さん:そのような意思決定には、もちろん焦りや葛藤も感じます。でも自らの経験や思考からくる前提を捨てて、目の前のことに向き合っていく。組織みんなが大切にしたいBeingに沿って運営方針を決めていく、このユニークさはZaPASSの誇りです。これまで、何一つ軽い決断をしてこなかったと自負しています。

CEO 足立さん:また、ZaPASSという組織は、「森」を共通イメージとして持っていて。高層ビルのある大都会から、海を渡って行くことのできるZaPASSの森、という世界観。施策を考える中でも、「森にビル建てようとしてない?」とか、「森にこれがあるとしっくりくるよね」と話しています。

ただし、僕らは大都会が象徴するような資本主義を否定するわけではありません。あくまで資本主義の良い部分は取り入れ、双方を行き来きすることを大切にしたい。前提、それぞれが望む世界観を選べる世の中であることが良いと思いますし、もしも森の世界観へ移行したいと願う人がいれば、その橋渡しができたらと思います。

ZaPASS創業の想いはこちら

感情の奥底にある、「願い」で繋がる社会インフラのような場に

ー最後に、そんなZaPASSが描く未来を聞かせてください。

COO 管さん:僕は頑張って成果を出している人の中には、自分を殺して苦しんでいる人も多いのではないかと感じています。実績が豊富で、ポジションがあって、お金もある。傍から見たら成功者なのに、人生に全然納得できていないとおっしゃる方がたくさんいる。感情に敏感な人にとって、最前線に立って頑張り続けるのはきつい世の中だろうと、コーチング事業を通じて感じてきました。

そうした方々が、自分の本当の願いに向き合っていくサポートをすることこそ、ZaPASSが直近で取り組むべきことだと思っています。自分の信念に基づいて生きる人が一人でも増えることは、社会を大きく変える一手になると信じています。

CEO 足立さん:ZaPASSは、中央集権の形よりは分散型に近く、何色とも規定されない組織でありたいと思っています。サービスを提供する母体でありながらも、クライアント、パートナーのみなさんとの境界線は曖昧で、グラデーションの中で互いに共存しているような感覚です。

その中での共通テーマが、今日ずっと話してきたBeing。対話を通して、その人が言語化しきれていない感情の奥底にある願いを探求し合える環境を、育んでいきたいですね。ZaPASSが、願いで繋がる社会インフラのような場所になっていくことをイメージしています。

経営顧問 小寺さん:ZaPASSが、森として広がる展開をイメージしています。街は森と違い、風景が決まっていて既視感が伴います。でも、森は時間の経過と共に姿を変え、一つとして同じ場所はありません。そのような組織が、今後広がるといいなと感じています。

もちろん、中長期的に取り組むことはいくつか考えているのですが、そこに固執しようとは思っていません。関わってくださっている方々と対話する中で、自ずと湧き上がってくる願いを大切にしながら事業に取り組むことが、結果的に森を育むことに繋がっていくんだろうと考えています。

CHRO 垂水さん:少し哲学的な話になってしまいますが、人はDoingの自分で行動し続ける限り、孤独なんです。「自分とは何者なのか」を探求して、Beingに近づいていくと、自分と他者や自然は一体であると感じられ、自ずと他者の願いに心を寄せたくなるもの。

Beingでつながった集団は、「こうありたい」というミクロでピュアな願いから創発が生まれ、「世の中にこういうものを届けたい」というワクワクした気持ちを周りに伝播させていく。そんなインパクトを起こせるポテンシャルを、ZaPASSという森は持っていると思いますし、これからご一緒される方もきっとそう感じられるだろうと思います。

CEO 足立さん:人のピュアな部分に触れることは、100年後も変わらない本質的な価値。メディア「Being」はそのピュアさに触れて、自分の願いを思いだしたり、反応する自分を楽しめるエンタメであり、アートであり、人材事業でありたいですね。

COO 管さん:今後、自分の願いから生きることに挑戦している人たちのストーリーをたくさん掲載していくので、今の生き方をちょっと立ち止まって見直したい方や、一歩踏み出すことが怖いと感じている方に、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。

さらに、「ZaPASSの在り方」というカテゴリーでは、私たち自身が試行錯誤する中で気づいたことを共有していきます。在り方をベースにした組織運営に挑戦されている方々のお役に立てるメディアになればと思いますので、これからどうぞ、よろしくお願いいたします!

[取材構成編集・文] 水玉綾、佐藤史紹、林将寛  [撮影] 伊藤圭

Beingは、
ひたむきに生きるビジネスパーソンが打ち明けた、
純粋な願いたちを集めました。

人として、組織として、社会として、
本当はどう在りたいか。

組織と事業の成長、取り巻く環境変化のなかで
ときに矛盾や葛藤、経済合理性にもがきながら
彼らがBeing-在り方-を磨いてきた過程とは。

ここでしか語られることのない
飾らない言葉たちを分かち合います。

さあ、本当の願いからはじめよう。

メディア「Being」は
ひたむきに生きるビジネスパーソンが打ち明けた、
純粋な願いたちを集めました。

人として、組織として、社会として、
本当はどう在りたいか。

組織と事業の成長、取り巻く環境変化のなかで
ときに矛盾や葛藤、経済合理性にもがきながら
彼らがBeing-在り方-を磨いてきた過程とは。

ここでしか語られることのない
飾らない言葉たちを分かち合います。

さあ、本当の願いからはじめよう。