ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、岡村優介さんのインタビューです。

岡村 優介|エグゼクティブコーチ
株式会社アイデンティティベース 代表取締役。
大学在学中、働く人のストレスを可視化し、ソリューションを提供する組織コンサルティング会社を経営。 2年間で売却したのち、ITベンチャー企業の人事部で採用、育成、キャリア支援の新規事業の立ち上げに携わる。2020年4月に株式会社アイデンティティベースを創業。経営者や、経営幹部層に対してのコーチング事業とキャリア支援事業として、「人生の軸を作る」ためのプラットフォーム「ジブンジク」を運営。コーチングセッション人数は累計2,500名以上に及ぶ。

両親から学んだ、自分の夢に向かって生きる姿の尊さ

――岡村さんがコーチになった理由を教えてください。

「自分が生きたい人生を生きる」ことが幸せなことであり、それを多くの人に実現してほしいと思ったからです。

この思いを持ったきっかけは、両親の生き方です。両親は、僕が小学校5年生のときに離婚しました。離婚自体は悲しかったのですが、その後の両親の生き方が素晴らしいなと感じていて。

離婚前、父は経営者として朝から夜中まで働き、母は専業主婦をしていました。お金を稼ぐため、家庭を守るためにそうしてくれているけれど、本当にやりたいことはこれではないんじゃないか。両親を見て、子供ながらにそう感じていて。

一方で、僕はやりたい習い事をさせてもらっている。僕だけやりたいことをやっていて、「申し訳ない」と幼いながらに罪悪感を感じていました。

離婚後、父は「教育者になりたい」という以前からの夢を叶えて教育事業を立ち上げました。母も元々やっていた歯科衛生士の仕事経験を活かし、歯科衛生士向けの学校を創業し、誰もが無料で学習できる動画学習サイトを運営しています。家庭のためにやりたいことを我慢して働いてくれていたときより、2人とも本当に生き生きしている。

僕にとって、両親は一番大切な人です。その大切な人が、本当にやりたいことをやって輝きながら生きているのを見て、僕自身が一番幸せな気持ちになりました。大切な人を幸せにする最も重要な方法はまずは自分が幸せであることであると確信し、僕も両親のような生き方をしたいと考えるようになりました

自分にとっての歩みたい道を見つけ、そこに向かって生きることの大切さを多くの人に知ってもらいたい。そこでコーチングを学び、プロコーチとして今まで2,500名以上の方とセッションさせていただきました。

人生の「ど真ん中」を生きれば、自分も大切な人も幸せにできる

――岡村さんにとっては、コーチングが「自分が生きたい人生を生きる」ことにつながっているのでしょうか?

もちろんです!僕は人生のビジョンとして、「すべてのど真ん中が輝きあう世界をつくる」ことを掲げています。

「ど真ん中」とは何かというと、腹の底から生きたいと思える人生を見つけ、その人生を生きられている状態です。

ど真ん中は人によって様々です。「世界を良い方向に変えたい」でもいいし、「家族と幸せに生きる」でもいいんです。ど真ん中に優劣や正解はありません。腹の底から湧き上がってくるど真ん中に沿って、まっすぐに生きることが大事です。

ど真ん中の反対は何かというと、自己犠牲や利他のみの精神です。自分のことは脇に置いておいて、誰かのために生きる。自分の幸せのコップに水が満たされていないにも関わらず、人にあげようとするイメージです。ある意味、日本人らしい考え方ともいえます。でも、誰かを大事にしすぎることは、他人の人生を歩んでいるということです。

例えば僕の両親であれば、僕を含めた家庭を大事にしすぎてやりたいことができなくなっていた。セッションをしている中では、逆に「両親はこうしたら喜ぶから」と、親のための人生を生きている方も多いように見受けられます。

僕は、両親が人生のど真ん中を生き、輝いている姿を見て幸せを感じましたし、「自分もこういうふうに生きたい!」と強く思いました。つまり、自分のど真ん中を生きることで、自分が大切に思っている人を幸せにして、恩返ししていることになるんです。でも、ここに「自己犠牲」はありません。自分の幸せのコップからあふれた分を人に分かちているのです。自分も活かし、他人も活かしています。

すべての人が自分の人生のど真ん中を生き、お互いに輝きあえたら、みんなが幸せな世界になるはず。そういう生き方をする人を、もっともっと増やしたいんです。

コーチとの歩みが、腹の底から納得できる「究極の自己一致」へとつながる

――岡村さんが考える、コーチングの価値は何ですか?

僕のセッションにおいては、究極の自己一致ができることが価値だと思っています。

「自己一致ができている」というのは、葛藤や自己矛盾がない状態ということです。「本当はこれはやりたいことじゃないかもしれないけど、家族のためにやるしかない」といった葛藤、「家庭を大事にしたいのに、実際には仕事に多くの時間を費やしている」といった自己矛盾、これらはあらゆる場面で起こっています。

葛藤や自己矛盾は、言ってしまえば自分の心や身体、思考が引き裂かれているような状態です。

対して自己一致ができていると、腹の底から納得できエネルギーがあふれていて、感情を押し殺すことなくワクワクや幸せで胸が満たされて、自分にとって大事なことのために思考を使えて頭も冴えている。この身体感覚を大切にしていて、頭、胸、腹、全てがぴったりとつながった状態で前に進んでいけることが自己一致であり、僕のセッションで提供している価値のコアだと考えています。

分裂から自己一致へと向かったひとつの例として、僕のクライアントさんでメガベンチャーの役員をされていた方のお話をさせてください。

この方はご両親をとても大切に思っていて、「両親の自慢でありたい」という価値観を持っていました。セッションが始まったときは「いわゆる名の知れたメガベンチャーで役員をしていることを両親は誇りに思ってくれているけれど、なんだか自分自身は満たされない、本当にやりたいことではなくやるべきことに追われているのではないか」、という葛藤を抱えていたんです。

両親の自慢になることを優先する中で、自分がやりたいことがおざなりになってしまう。これは先ほどお話しした、「自己犠牲」ですね。

セッションでは、この「両親の自慢でありたい」と「自分がやりたいことをしたい」という価値観をいったん切り離し、それぞれの価値観の目的は何か、一つひとつ紐解いていきました。

掘り下げていくと、両方の価値観を満たした経験が見つかりました。この方は、もともと大手企業で働いていたのですが、自分がやりたいことをやるために思い切ってベンチャー企業へ転職し努力を続けた結果、現在の役員という重要な職務を任されていたんです。そして最初は転職を心配していたご両親も、最終的には喜んでくれていた。

つまり、自分がやりたいことをやることが、ご両親が喜ぶことに繋がっていたことに気がつかれたんです。これが統合された「究極の自己一致」です。

結果、この方は再び自身のやりたいことを追求し、役員の職は辞して、子会社の社長に転身しました。

対立している価値観を切り離し、なぜその価値観を自分が持っているのか、その根源をコーチと探していくことで、自分が腹の底から湧き出るど真ん中であるビジョンが見つかります。

ただ、身体感覚のことまで含めて内面を見つめ、深堀りすることは、一人では難しいです。自分だけでは目を向けにくい部分があるからこそ、コーチと共に内面の奥深くまで潜っていくことが大事だと思います。

「ど真ん中でつながり、輝きあう世界」をつくるために

――岡村さんがコーチとして大事にしていることは何ですか?

僕自身が、自分の人生の「ど真ん中」を生き続けることです。

僕のビジョン「ど真ん中でつながり、輝きあう世界」は、2021年4月にアップデートしたものです。それ以前は「誰もがど真ん中を生き、共有し合う世界」と言っていました。なぜこのようなアップデートが起こったかというと、常に自分自身の内面に向き合っているから。

「幸せとは何か」「今、腹の底から幸せだと思える人生を歩んでいるのか」、こういった問いをクライアントさんに投げかけるのと同じ重さで、常に自分にも問いかけているんです。

その日々の積み重ねの結果、僕は常に究極の自己一致をした状態で自分のど真ん中を生きられていますし、少しでも違和感があったら深ぼって、先ほどお伝えしたようなアップデートにつなげています。こんな風に僕自身が常にど真ん中でいるからこそ、クライアントさんも僕とのセッションでど真ん中を探しに来て、見つけられるんだと思うんです。

――誰よりも岡村さんご自身が、ど真ん中を生きているんですね。

そうですね。ビジョンってものすごく壮大なものも多くて、僕の「ど真ん中でつながり、輝きあう世界」も、生きているうちに達成できるかわからない。それでもこの世界を実現したいですし、この景色を見てみたいんです。みんなが自分にとってのど真ん中を生き続けることで、素晴らしい世界に向けての志が世代を超えてつながっていくように感じています。

人間がほかの動物と違う点として、思想や意志を後の世代に残すことができることがあると思っていて。僕は、自分が身につけた、ど真ん中を見つけて人生を輝かせるメソッドをずっと後の世にまでつないでいきたい。

今の自分のあり方や技術は自分だけで手にしたものではなく、尊敬する方々からいただいたものだと思っています。だからこそ、多くの人や次世代にバトンをつないでいきたいと考えております。

そのために、1対1のセッションの提供だけでなく、私以外にもこういったセッションができる人を増やすような活動もしていますし、ど真ん中を生きる人がつながれるようなプラットフォームのような事業もつくっていきたいです。

僕自身がど真ん中を生きることで、志をつなぐこと。そして、みんなが人生のど真ん中でつながり、輝きあう世界をつくること。これが僕の人生の「ど真ん中」です。

岡村コーチのセッション体験はこちら

[取材]大門史果 [文]米澤智子 [編集]青木まりな [撮影] 宮西範直

Beingは、
ひたむきに生きるビジネスパーソンが打ち明けた、
純粋な願いたちを集めました。

人として、組織として、社会として、
本当はどう在りたいか。

組織と事業の成長、取り巻く環境変化のなかで
ときに矛盾や葛藤、経済合理性にもがきながら
彼らがBeing-在り方-を磨いてきた過程とは。

ここでしか語られることのない
飾らない言葉たちを分かち合います。

さあ、本当の願いからはじめよう。

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