物事が上手くいかない時、自分の「特性」が原因だと捉える方は多いと思います。「自分勝手な性格がいけない」「物事を考えすぎるから行動が遅くなる」と、まるでそれが自分の「弱み」でもあるかのように捉えてしまうことも。

音大生に特化した就活支援サービス「ミュジキャリ」の運営を行う、RENEW(株)代表取締役の白鳥さゆりさんは、自分のとある特性を「弱み」だと考えてきました。しかし、ZaPASSのコーチングを通して、その捉え方が変わり、「弱み」だと思っていた特性が最大の「強み」になったそう。

白鳥さんはどのようにして「弱み」を「強み」に変化させたのでしょうか。悩みをきっかけに自分と向き合った、“変化のプロセス”に迫ります。

(※本記事は2020年に取材したものをリメイクしてお届けしています)

“何かうまくいっていない感覚”を脱却したかった

私がコーチングを受け始めたのは2020年1月、創業後3期目を目前に控えた頃でした。当時は、個人事業主に毛が生えた程度で、PRやユーザーの面談など多くの仕事を一人で行っていました。そんな中、3月にサービスの正式ローンチを迎え、忙しさのレベルに拍車がかかってしまったんです。

頭では、人に業務をお願いして、自分は得意な領域に注力したほうが良いと分かっているのに、一人で全てをこなそうとして忙しく過ぎる日々。物事を進めながらも“何かうまくいっていない感覚”がずっとあって、当時はその「何か」を言語化できず、色んな人に相談をしていました。どうすればこの状況を脱却できるのか、もがいている中で始めたのが、ZaPASSのコーチングだったんです。

いつの間にか出せなくなった「100%の自分」

担当は、ビジネス経験が豊富な垂水コーチでした。最初にお会いした時から、“事業を理解してくれるこの人になら、色々話せる”と感じたことを覚えています。印象的だったのは、4回目のコーチング。人に仕事をお願いする際に、過度な遠慮や心配が生まれてしまうことについて相談していました。

垂水さんから「それはどうしてですか?」と質問をされ、自分の気持ちを深掘りをしていくうちに、幼い頃の経験から“ありのままの自分で人にぶつかることを避けていたこと”に気づいたんです。

私は物心ついた時から、「こうしたい!」という目標が浮かんだら猪突猛進する特性があって。それ自体は悪いことではないですが、目標達成に真っ直ぐになりすぎて、集団生活で上手くいかない経験が何度かありました。

無意識のうちに“強い達成意欲は良くないものなんだ、この性質を隠さないと人とうまくいかないんだ”って思い込んで、いつしか70%くらいまで自分を抑えるようになっていたんです。

その話を聞いて、垂水さんは「白鳥さんは、自分ではなく、社会や課題解決の為に向かっているので、100%を出して生きてもいいんじゃないですか」と言ってくださって。

確かに、子供の頃は幼く、自分の為に真っ直ぐで、自己中心的な振る舞いをしてしまっていたかもしれません。でも、社会の課題意識をもって起業したいま、自分の特性を人の為に活かせるかもしれない…そう気づいた時は、衝撃が走りましたね。人の為になるなら、100%の自分を解放した方がいいと、吹っ切れたんです。

弱みを「強み」に変え、会社経営に活かす

達成意欲を持って猪突猛進に行動できる特性が、人の為になると思えるようになって以降、仲間とのコミュニケーションに変化が生まれていきました。これまでは一人で全ての仕事を担っていましたが、得意で自然と成果を出せる領域以外は、信頼して他の人に任せるように。結果、嬉しいことに、沢山の人がRENEWに関わってくれるようになりました。

採用面に関しては「この人と一緒に働いて、会社を成長させたい」と思う人に、自分から積極的にアプローチするようになりましたね。他にも、「もっと世の中に伝えていきたい」という心境の変化が生まれ、SNSの発信が増えました。

社外の人とのコミュニケーションが増えたのも、大きな変化です。100%の自分を表現すると、以前より話が盛り上がることが多くて。自分のやっていること、やりたいことを話すのは楽しいし、良いことが沢山あるなと実感しています。

コーチングを通して、“自分の特性を活かして会社経営をしたい”と思えて、それまでやんわりしていた会社のビジョンとミッションも、湧き上がるように出来上がりました。それらが心底腹落ちしていて経営できることが、今はすごく心地がいいですね。

もちろん、過去の習慣で対人関係への怖さや遠慮から、自分を抑えようとしてしまうことはまだあります。ただ、“この特性は人の為に活かせるのだから、抑えることは意味がない”と頭で理解し、その度に行動を変えています。幼少期からの「弱み」だと悩んでいたものを、「強み」にできたのかもしれません。

「特性」を否定せず「活かし方」を身につける

自分のやりたいことが明確で、ご自身で経営をされているような方の中には、私と同じような「悩み」を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。そしてその原因を、何かしらの「弱み」のせいだと捉えている方も。

そういう方には、「悩み」の原因になっている過去の失敗体験を振り返ってみることをお勧めしたいです。それはもしかすると、自分の「弱み」が引き起こした体験ではなく、自分の「強み」が上手く発揮できなかった体験なのかもしれません。

私は自分の経験を通して、そもそも自分の特性に良い悪いはなく、捉え方や発揮の仕方によって「弱みにも強みにもなり得ること」を学びました。ぼんやりとした過去の失敗イメージを持ち続けるのではなく、「特性」と「活かし方」を分けて考えれば、特性を否定せずに、現状に合わせた活かし方を考えられる。そうすれば、自分のオリジナルな強みを育てていくことができるはずです。

私はいま、自分の目標達成に一直線すぎる特性が、人の為に活かせる「強み」だと信じられています。引き続き、この「強み」を持って、会社のビジョン、ミッションを叶えるチャレンジをどんどんしていきたいです。

[取材構成編集・文] 水玉綾、林将寛、佐藤史紹 [撮影] 戸谷信博

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組織と事業の成長、取り巻く環境変化のなかで
ときに矛盾や葛藤、経済合理性にもがきながら
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さあ、本当の願いからはじめよう。

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