現代社会において、私たちは常に変化する環境に適応していく必要性に迫られています。しかし、変化に適応するにあたって、新しいスキルを学ぶだけでは不十分な場合があります。そこで重要になるのが「アンラーニング」です。アンラーニングの概念、メリット、効果的な方法、そして実際の成功例について、中居コーチにお話を伺いました。アンラーニングとはアンラーニングは、以前に学んだ知識や習慣、信念を意識的に忘れたり、その価値を再評価して置き換えるプロセスです。まず前提として、過去から今までの経験で作られてる価値観や考え方、パターンがあります。そして、もしどこか新しいところに行きたいとなった際には、時にはそれを手放さなければいけないし、握り直さないといけない場合もあります。このタイミングがアンラーニングの入口です。※コーチとの体験セッションで、アンラーニングする自分の思考の癖に気づきませんか?リスキリングとの違いアンラーニングとリスキリングの違いですが、私はまったく異なる次元の話であると考えています。アンラーニングの方が上位概念で、その中の一つがリスキリングです。アンラーニングは、脱学習→再学習→ブレイクスルーのサイクルなのですが、このプロセスに含まれる再学習がリスキリングなのです。ここでいうリスキリングは、知識の学習だけではありません。物事の考え方やとらえ方も含まれます。自分がより生きやすくなるように、いろいろなものを得ていく学びです。たとえるなら、今までの狩猟のやり方では生きていけないと気づき、狩りの仕方を脱学習して、農耕、そして工業化に向かっていくイメージです。アンラーニングのメリット①キャリアの成功を高められる(外的・スキル観点のアンラーニング)アンラーニングのメリットは、キャリアの成功をさらに高め、キャリアアップを実現できることです。ポジションが上がり、環境が変わっていったときに、今まで通りのやり方では取り残されてしまう可能性があります。このタイミングで自分を客観視してアンラーニングすることで、ポジションや環境が変わっても適応し、成果を残すことができます。②ライフバランスが整う(内的・マインド観点のアンラーニング)自分がどう生きれば心地よいのかがわかる、自分が得たいものを得られるのも、アンラーニングで得られるメリットです。自分の内面を見つめ直すことで信念をアップデートし、いらない信念を手放す。いらない信念というのは、たとえばパートナーが共働きを希望するのであれば、「女性は家庭を守るべき」という価値観をアンラーニングします。共働きを肯定することで、お互いを認め合っていくにはどうすればよいか、どのように環境をつくっていけばよいかを考えられ、家庭やパートナーとの関係が、より良いものになっていくでしょう。③独立、起業、アントレプレナーにとって役立つアンラーニングは会社員のみならず、独立、起業、アントレプレナーにとってもメリットが大きいスキルです。今まで培ったものを武器に、まったく異なるフィールドで挑戦するにあたり、自分を見つめ直す作業が不可欠だからです。自分が積み上げてきたものを批判的に見て、脱学習して新しいマーケットや顧客に適用する、スキルだけではなくマインドセットのアンラーニングが必要でしょう。※コーチとの体験セッションで、アンラーニングする自分の思考の癖に気づきませんか?アンラーニングのデメリット強迫観念にとらわれるアンラーニングのデメリットは「アンラーニングしなければならない」という強迫観念にとらわれがちなことです。自分の信念が間違っているなど、自分のことを批判的に見すぎてしまうと、結局自分が進みたい方向と異なる文脈になる可能性があります。ですから、アンラーニングは一人ではなく、コーチなど誰かと一緒に実施することがおすすめです。たとえば、自分には勝ちへのこだわりが強すぎる、負けず嫌いな癖があるとします。ただ、それが本当にアンラーニングしないといけないものなのかどうかは、よく考えるべきです。そうしないと、自分の強みや大切なものを、納得いかない形で手放すことになりかねません。また、自己肯定感が下がる要因にもなります。時間がかかるアンラーニングは、これまで培ってきたものを手放すことになるので、時間がかかります。たとえば駐在先の文化を理解するのには、半年から1年かかると言われています。アンラーニングも同様です。新しい環境に適応するのは簡単ではありません。アンラーニング→リスキリング→ブレイクスルーを経て成果を上げられるようになるサイクルを1セットとすると、この1セットに半年から1年かかるでしょう。そして、成果を上げられるようになると、新たな目標が出てきてまたアンラーニングが必要になり、このサイクルが続くイメージです。ただこのアンラーニングのサイクルを続けることで、壁が出てきた時に乗り越えるスキルが手に入るのは大きなメリットです。新しい気づきを得て、新しい壁を見つけ、またそこから気づきを得られるのは、コーチングも同じです。コーチングでも6か月から1年かけてこのプロセスをコーチが一緒に伴走します。最初に登ろうとする山は険しく見えるかもしれません。しかしコーチと一緒に1回登るプロセスを体験するとそれ以降は、コーチは「あなたならできる」勇気づけをメインに行い、クライアント自ら登ることができるようになるのです。※コーチとの体験セッションで、アンラーニングする自分の思考の癖に気づきませんか?アンラーニングが難しい背景アンラーニングが難しい原因は、気づくまでの入口にあります。アンラーニングの入口は目に見えづらいものです。これは信念や習慣に問題があると認識することが難しいためです。また、入口が見えたとしてもそこに飛び込むのはとても苦しそうに見えます。頭では必要だと思っても、なかなかワクワクしません。既存の信念や習慣から離れることが、不安を引き起こすからです。ただ、その入口さえ抜けて、自分を変えたいと決心してからは、スムーズに進む場合が多々あります。初期の心理的障壁を乗り越えることで、新しい学びや成長に対するモチベーションが高まり、プロセスが加速していきます。一人では進むのが困難な入口を抜けるのに効果的なのがコーチングなのです。アンラーニングの効果的なやり方現状把握するために言語化する時間がかかるアンラーニングを効果的に行うポイントは、今自分が何を感じているのか、なぜそう感じるかなど、現状を言語化することです。どのような状況でもアンラーニングする必要はありません。何か違和感や自分が求めていない現実があり、アンラーニングが必要になります。その違和感や求めているものは何かということを言語化するところが第一歩です。批判的な内省をする内省には、2つのパターンがあります。1つは自分を理解する一般的な内省です。2つめは「ちょっと違うんじゃないか」「このままだとまずいな」というのが出てきたときに、批判的に自分の価値観を見るような内省です。アンラーニングを効果的に行うためには、単純な内省ではなく自分自身のことを批判的に見る内省が重要になります。こちらの記事も参考にしてみてください。参照:【コーチ監修】メタ認知とは?重要性やトレーニング方法、メタ認知を促すコーチングのアプローチをご紹介第三者(コーチ)をつける現状把握や批判的な内省の重要性を伝えましたが、自分に起こっていることはなかなか自分では気づけません。そこでフィードバックしてくれる人が必要になります。その相手は上司でも同僚でもよいのですが、やはり有効なのはコーチと一緒に行うことです。コーチングを受ける人は、現状にモヤモヤしているけど、それが何なのかわからないという人が多いです。モヤモヤするのは誰かに何かを言われたときなのか、特定の場所にいるときなのか、特定の行動のときなのかをコーチとのセッションで把握し、言語化するのをサポートします。そのモヤモヤは、自分で気づいていないこともあれば、気づいたら怖いからあえて蓋をしているケースもあります。たとえば「この仕事はお給料もよいし、ポジションもよいし、辞める必要がない」と自分に言い聞かせているとします。しかし独立したり、転職したりして大変そうだけどイキイキしている友人たちを見て、モヤモヤしてしまう。その感情を認めてしまうと、自分で蓋をしていたものを開けないといけなくなります。一人では怖くて開けられないとなると、時間がどんどんかかってしまいます。そこで、クライアント伴走のプロであるコーチと一緒にそこを開けるのです。自分ひとりでできることには限界があります。アメリカの著名なエグゼクティブリーダーシップコーチであるマーシャル・ゴールドスミス氏も、毎晩友人に電話をかけさせ、自分自身に関する特定の質問をしてもらっていたといいます。コーチングの無料事前面談を希望される方はこちら休暇をとる・新しい価値観に触れるときには休暇を取り、新しい価値観に触れるのも、アンラーニングを効果的に進めるのにおすすめです。ずっと一人で過ごすよりは、どこか旅に出るとか、昔の友だちなどに会って話すのがよいでしょう。本を読んで新しい考え方や価値観に触れるのも有効です。普段やらないことをしたり、普段会わない人と話すことで、自分では気づきづらい部分に強制的に気づかされます。「自分の会社だとこれだけ評価されるのに、この場にいると全然みんな適当に扱われる」という場面にあえて身をおいて時間を過ごしてみることで、これまでと違う気づきを得られるはずです。※コーチとの体験セッションで、アンラーニングする自分の思考の癖に気づきませんか?アンラーニングの具体例キャリアコーチングでのアンラーニング例アンラーニングの具体例として、稲里さんの事例をご紹介します。コーチングでやめられた“市場価値を高めるだけの転職”。心から納得できる"本物のミッション"実現に向けて舵を切れた-----------------------▼変化の概要市場価値を高める転職を繰り返し、その時々の目標は達成していた。しかし、「本当のwill」ではないと気がつき、ミッションを再設計した。▼Beforeポジション(役職・職種)やMVP等のタイトル獲得といった短期的な目標を立て、転職を繰り返していた。目標は達成するものの、市場価値を高める転職はキリがないと気づき、ミッションから逆算したいと考えるようになった。▼Afteコーチングとジャーナリングで人生の拠り所となるミッションを再設計できた。市場価値を高めるミッションではなく、心と繋がるミッションを作り、ミッションと合致した企業にも転職が決まった。-----------------------稲里さんはこれまで大事にしてきた”市場価値を高める”という価値観をアンラーニングすることにより、外部の市場価値に影響されない、自分の価値観と強みを活かしたミッションを見つけました。そして自分の新たなミッションに合う会社への転職が決まったのです。中居コーチの例私自身の事例も紹介します。私が独立したときに、今まで取引していた企業とは全く異なる規模感の企業とのやりとりが多くなり、何となく噛み合わない状態が続きました。そしてある時友人に「お前はまだ前の会社の延長でやっているだろう」と言われたのです。世の中には効率よく仕事しろという本があふれています。しかし、企業規模によって当然求められるものが異なり、効率化だけではだめなのだと、そのときに気づきました。当たり前の事に気付くことができず、言われたときは悔しかったのですが、その言葉が自分の前職の仕事のやり方をアンラーニングするきっかけになったのです。※コーチとの体験セッションで、アンラーニングする自分の思考の癖に気づきませんか?まとめアンラーニングは単にスキルや知識を忘却するのではなく、自分が成長するために必要なプロセスです。自分自身に新たな問いを投げかけ、価値観や行動パターンを根本から見直すことが必要です。アンラーニングは時間がかかり、時には心理的な苦しさを感じるかもしれません。しかしそれを乗り越えることで、充実したキャリアを送れるようになります。アンラーニングを通じて、みなさんが真に望んでいるキャリアへの一歩を踏み出すことを願っています。※コーチの伴走によるアンラーニングに興味がある方はこちら監修者/インタビュイープロフィール中居 智人氏:ZaPASSプロフェッショナルコーチ2004年大学卒業後、ジャズのドラマーを目指して渡米。ニューヨークで聞いた音楽に強い衝撃を受け挫折感を味わい帰国。帰国後、2005年株式会社リクルートHRマーケティングにて企業の採用コンサルティングに従事。営業チーフとしてチームビルディング・メンバー育成・新拠点立ち上げに提わる。仕事を通して教育や対話に無限の可能性を感じ、2008年株式会社ベネッセコーポレーションに入社。主に対人支援事業を中心とした新規事業開発と進学カウンセラー業務に従自。2013年官民協働留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」の立ち上げのため文部科学省へ出向。帰任後、マネージャーとして、組織マネジメント・事業開発・組織変革を推進。2022年に独立。現在、役員やアドバイザーとして教育関連企業複数社の新規事業開発・伴走支援、および、自社にて人材開発コンサルティング・コーチングを提供。■関連記事【コーチ監修】コーチングとは?意味やメリット、実践するためのポイントをわかりやすく解説コーチングのテーマはどう決める?テーマが重要な理由やテーマの具体例をご紹介コーチングを受けるか迷っている方へ!メリットやコーチングの流れ、準備について解説コーチングの費用相場はどれくらい?自分に合った費用の決め方や、費用を抑える方法についてご紹介コーチングとティーチング、カウンセリングやコンサルティングの違いを解説失敗しないコーチ選びの6つのポイントとは?コーチを探す方法も解説AIコーチングとは?AIを活用したコーチングの特徴やメリット、懸念点をご紹介コーチングの基本とは?コーチングの3原則とよくある誤解について解説コーチングでの目標設定はどうしたらいい?効果的な目標設定のポイントや失敗例を解説コーチングを受ける際の準備をプロフェッショナルコーチが徹底解説コーチングは継続するべき?継続するメリットや効果的な活用方法をご紹介メタ認知とは?重要性やトレーニング方法、メタ認知を促すコーチングのアプローチをご紹介【法人・個人】コーチングの導入事例をご紹介!成功させるためのポイントも解説自己理解とは?必要性やコーチング等で自己理解を深める方法をご紹介アンラーニングとは?メリットやコーチングを活用した効果的なやり方を解説リーダーシップコーチングとは?目的や実践方法をご紹介ビジネスコーチングとは?メリットや流れ、コンサルティングとの違いを解説【コーチ監修】振り返りが果たす役割とは?振り返りの方法やコーチングを活用して効果的に行うポイントご紹介【コーチ監修】思考の癖と認知の歪みとは?代表的なパターンやコーチング等を活用した対処法をご紹介自己認知とは?メリットやコーチング等で自己認識能力を高める方法をご紹介【コーチ監修】セルフマネジメントとは?身につける方法やできる人とできない人の違いをご紹介【コーチ監修】感情マネジメントとは?感情の特徴や、感情とうまく付き合うアプローチ・メリットをご紹介【コーチ監修】内省とは?反省との違いや効果的に行う方法を解説【調査記事】コーチングのイメージは怪しい?実際のイメージやその理由をご紹介コーチングは体験が重要?その理由や実際のコーチング体験談をご紹介オンラインでもコーチングは受けられる?オンラインコーチングならではのメリットをご紹介パーソナルコーチングとは?料金や効果、種類について解説