コーチングとファシリテーションはどちらも目標達成に活用されるコミュニケーションです。コーチングとファシリテーションをうまく使うことで、どのような効果を生み出すのでしょうか?この記事では、コーチングとファシリテーションの基本や、それぞれがどのように役立つのかについて、ZaPASSプロフェッショナルコーチである横峯智子コーチに伺いました。コーチングとファシリテーションは混同されやすいコーチングとは?コーチングは、対話を通して相手の可能性を最大限に引き出し、目標達成に向けて自ら進むためのサポートを提供するプロセスです。コーチは、質問を通じて相手の考えや感情を引き出し、自己認識を深められるようサポートします。重要なのは、コーチが答えを提供するのではなく、相手が自分自身の答えを見つけられるよう支援する点です。コーチングは、個人が自分自身をより深く理解し、人生や仕事で望む結果を実現するための強力なサポートになり得ます。コーチングについてはこちらの記事を参考にしてください。【コーチ監修】コーチングとは?意味やメリット、実践するためのポイントをわかりやすく解説ファシリテーションとは?ファシリテーションは、一言でいうと「円滑に場を取り仕切って進める技法」です。一般的には、目的が設定されている複数人でのミーティングの場で活用されます。複数名が関わっている場において、何かしらの結論を出す場合に、どのような順番で議論を進めるかを取り仕切るのがファシリテーションです。重要なのはファシリテーター自身が答えを提供するのではなく、参加者が自らの知識と経験を活かして最適な答えを導き出せるようサポートすることです。ファシリテーションは、多様な意見が飛び交う中で、目標に向かって一致団結する力を引き出すための重要な手段なのです。ティーチングとの違いコーチングやファシリテーションは、しばしばティーチングと比較されます。しかしティーチングは、ファシリテーションともコーチングとも別物です。ティーチングは、知識やスキルを直接相手に伝えるプロセスです。一方でコーチングでは、個人が自己の内面から答えを見つけ出し、自らの道を切り開くことをサポートします。ファシリテーションでは、複数の参加者が共同で目標に到達するようサポートします。コンサルティングとの違いコーチングやファシリテーションは、コンサルティングと混同されることもあります。コンサルティングは、専門的な知識や経験をもつコンサルタントが、具体的な解決策やアドバイスを提供するプロセスです。クライアントの問題を解決するために、コンサルタントが分析を行い、最適な戦略を提案します。つまり「自分たちで最適な答えを見つける」コーチングとファシリテーションとは異なるものです。それぞれの違いを理解し、目的に応じて最適な手法を選択しましょう。4つのアプローチの違いを表にまとめるとこのようになります。コーチングとファシリテーションの違い対象となる人・チームの違いコーチングの場合は、個人に対してコミュニケーションを取ります。最近は複数人にコーチングするチームコーチングと呼ばれるものも増えつつありますが、一般的なコーチングは1on1です。一方、ファシリテーションは複数名が関わっている議論の場において司会進行をしていきます。対象となる人の数が、コーチングとファシリテーションでは異なります。役割の違いコーチングの場において、コーチは議論をまとめてあげたり、結論を出すという関わりはありません。話者となる人が自分の答えにたどり着くために、傾聴したり、問いかけたり、フィードバックをしていきます。あくまでも主役は話者であり、コーチはその伴走者です。一方で、ファシリテーターは、場を司会進行していき、さまざまな人がさまざまな観点で出したものをまとめ、タイムマネジメントもします。そしてそしてもともと設定されていた議論点に結論が出るように導きます。まとめ役として場に関わるのがファシリテーターです。場の進め方の違いコーチングとファシリテーションで大きく異なるのが、場の進め方です。コーチングでは、より抽象度の高い話題を扱います。会議のようにアジェンダを細かく決め、事前に設計して順番に結論を出していくやり方ではありません。出発点と到達点はありますが、そこにたどり着くまでの道順は、有機的かつフリーハンドで進めていきます。だからこそ、本人が思いつかなかったことを思いついたり、予想外の流れが生まれたりするわけです。自由度が高く、もともと課題だと思っていたことが、課題でなくなることもありえるのがコーチングです。ファシリテーションの場合は、会議において扱いたいアジェンダが事前に決まっています。さらにどの順番で、どれくらいの時間を使って結論を出していくのかも決まっています。ですので、予想外のものは生まれにくいかもしれません。自由度よりも、事前にしっかりと設計されて、しっかり結論が出てくることの優先度が高いのがファシリテーションです。しっかり時間通り何かを決めたいのであればファシリテーション、自由に対話していろいろ考えを深めたいのであれば、コーチングのアプローチが向いているといえるでしょう。目的の違いコーチングは、基本的に何か答えを出したい個人がいて、内省して答えにたどり着くのが目的です。ファシリテーションの場合は、結論を出すのが目的になります。時間どおりに進行できたか、過不足なくしっかりと議論したかったことを議論できたかどうかがポイントです。複数名が関わる場で、合意を形成して結論を出したいときは、ファシリテーターを置いて議論すると、目的を達成しやすいでしょう。コーチングとファシリテーションの共通点目標達成に近づくための手段になりうるコーチングもファシリテーションも、個人やチームの潜在能力を引き出して、目標達成への道筋を明確にするものです。それぞれが望む成果を実現するためのサポートを提供する点で、両者は共通しています。目標を設定し、それに向けて具体的なプランを立てることを通じて、達成への道を切り開いてくれるのが、コーチやファシリテーターです。コーチやファシリテーターがいることで、個人またはグループは、思考や行動がうながされ、目標に向かってステップを踏み出せるようになるでしょう。自分の考えを押し付けるものではないコーチングとファシリテーションは、それぞれが中立的な立場からサポートを提供するという共通点もあります。どちらも中立であることが非常に重要です。「自分がどうしたいか」ではなく、コーチングの対象である個人や、ファシリテーションの対象である複数名がどうしたいかを導く役割です。もしコーチやファシリテーターが、自分の考えや意図を押し出してしまったら、対象者が自らの答えや解決策を見つける過程が妨げられてしまうでしょう。対象が一番よい答えに辿り着くためにサポート個人であれ、チームであれ、関わる対象者たちがベストな答えや結論にたどり着くことを信じてサポートするのも、コーチングとファシリテーションの共通点です。・コーチング:内省を深めて心から願う目標や欲求に気づき、達成を目指すプロセスをサポート・ファシリテーション:論点を整理しながらスムーズに議論を進行して結論にたどり着くまでをサポートこのように関わり方は異なりますが、一番よい結果になるようサポートする点では共通しているといえるでしょう。コーチングとファシリテーションは組み合わせられるのかさて、コーチングとファシリテーションを組み合わせることは可能なのでしょうか?私は可能だと考えています。最近は「チームコーチング」「コーチングファシリテーション」という新しい考え方が生まれています。元来、コーチングは個人に対して実施するのが一般的でした。しかし現在は、複雑かつ多様な構成のチームに対してコーチとして関わる需要が増えているのです。複数名の場においてコーチング的な関わりをする場合、何かしらの目的があるはずです。コーチはその目的に留意しながら、関わる人たちの対話から内省を深めるように関わります。コーチングとファシリテーションを組み合わせることで、個々の成長をうながしつつ、チームとしての成果を最大化させる場をつくることが可能です。時間内に結論を出し切らせるのにこだわらず、コーチの目線で有機的な場をつくる需要は、今後も広がっていくでしょう。コーチングとファシリテーションに関するよくある質問Q:コーチやファシリテーターになるには資格が必要ですか?コーチやファシリテーターになるためには、特定の資格が法的に必要とされているわけではありません。しかし、専門的なトレーニングプログラムや認証を受けることで、信頼性と効果性を高めることが可能です。Q:コーチやファシリテーターに共通して必要なスキルは何ですか?コーチとファシリテーターに共通して必要なスキルはいろいろあります。①傾聴力相手の話に真剣に耳を傾け、言葉だけでなく、相手の感情や意図も含め理解する力②質問力相手の意図や状況を把握し、会話を広げたり、疑問を解消したりするために質問する力③対人力相手との信頼を築き、建設的かつ相互支援的な関係性を構築する力これらのスキルは、相互に関連しながらコーチングやファシリテーションのプロセスを支えています。コーチやファシリテーターになるためには、これらのスキルを継続的に磨き、実践していく必要があるのです。Q:チームビルディングにはコーチングとファシリテーションのどちらが適していますか?どちらもチームビルディングに有効なツールです。たとえば個々のメンバーがチームの目標にどのように貢献できるかを探る場合にはコーチングが、チーム全体がひとつの目標に向かって協力するよう結束させたい場合にはファシリテーションが適しています。チームに今何が必要なのかを見て、適切な方法を選択しましょう。Q:自分に合ったコーチやファシリテーターを見つけるにはどうすればよいですか?目標やニーズを明確にし、それに合った専門性や経験をもつコーチやファシリテーターを探すことが大切です。相性を確認したり、信頼関係を築けるかどうかを判断したりするために、事前に体験セッションへの参加をおすすめします。【ご案内】コーチング解説資料&セミナー動画無料プレゼントここまで読んでくださった方に、ビジネスパーソン向けコーチングスクール「ZaPASSコーチ養成講座」監修の解説資料と、2.5時間分のセミナー動画を無料プレゼントいたします。よろしければお役立てください。プレゼントの受け取りはこちらまとめコーチングとファシリテーションは、個人やチームが目標を達成し、成長するための強力なツールです。個人や集団が自らのポテンシャルを最大限に発揮し、望む成果を実現する点で共通しています。コーチングは内省を深めることで自己実現をサポートし、ファシリテーションは、グループが議論しながら結論に向かって前進できるようサポートします。これらの方法は単独で使用するだけでなく、互いに補完し合う形で組み合わせて使用することも可能です。コーチングとファシリテーションをうまく使い分けることで、個人のモチベーションを向上させてチームワークを強化し、組織の成功へとつなげましょう。監修者/インタビュイープロフィール横峯智子氏:ZaPASS登録コーチ / ZaPASS アカデミー事業責任者/株式会社ガイアックスコーポレートカルチャー推進室責任者 兼 社内コーチ東京大学大学院サステイナビリティ学修士課程を修了後、株式会社ガイアックスに入社。子会社の社長室立ち上げ、新規事業立ち上げなどを行なった後、コーポレートカルチャー推進室責任者に就任。ZaPASSコーチ養成講座を修了後、ZaPASS登録のプロフェッショナルコーチとして活動をしながら、300名を超える修了生を抱えるZaPASSアカデミー事業部の責任者を務めている。2019年にコーチとして活動を開始し、2024年1月現在までに100名を超えるクライアントと、合計400時間のコーチングセッションの時間を共にしている。■関連記事【コーチ監修】コーチングとは?意味やメリット、実践するためのポイントを解説コーチングはどうやって学ぶ?おすすめの勉強法や効率よく学ぶ方法をご紹介コーチングに資格は必要?資格の種類や費用、取得するメリットをご紹介コーチング学習にスクールや講座は必要なの?メリットや選び方を徹底解説コーチングを学ぶためにおすすめの本7選!メリットや学ぶ方法を解説コーチングとティーチング、カウンセリングやコンサルティングの違いを解説コーチングを仕事にする方法は?仕事内容やメリット・デメリットを紹介します4つのコミュニケーション欲求タイプとは?コーチングでの活用法やタイプを見分ける方法、接し方についてご紹介ビジネスコーチングに必要なスキルとは?トレーニング方法やスキルアップについて解説子育て×コーチングとは?メリットやデメリット、注意点について解説コーチングのGROWモデルとは?具体的な質問の例や効果的に取り入れるためのポイントを紹介コーチングに必要不可欠な傾聴・質問・フィードバックについて徹底解説コーチングコミュニケーションとは?方法や大切な12つのアセスメントについて解説コーチングを実践すべき具体的な場面とは?行う上での効果的なポイントも解説コーチングの基本とは?コーチングの3原則とよくある誤解について解説