私たちは無意識のうちに「思考の癖」や「非機能的認知」というパターンで考えがちです。思考の癖は、時に「認知の歪み」つまり事実とは異なる方向に物事を解釈する癖につながり、周囲との意思疎通を困難にすることがあります。思考の癖にまだ気づいていない人もいれば、気づいているけどどうすればいいのかわからず、苦しい想いをしている人もいるでしょう。思考の癖や認知の歪みを認識し、向き合っていくコツについて、張コーチに伺いました。この記事の要点💡- 思考の癖(認知の歪み/非機能的認知)は誰にでもある考え方のパターンです。- 本記事ではZaPASSプロフェッショナルコーチ 張孜翔氏へのインタビューをもとに、代表的な5つのパターンと対処法を解説しています。- 特に仕事・キャリアの場面で思考の癖が現れやすい方は、後半のFAQと編集部後記もあわせてご覧ください。※あなたの思考の癖を、プロコーチと一緒に可視化してみませんか?思考の癖とは思考の癖とは、今までの人生経験において身についているその人独自の考え方の決まったパターンのことを指します。同じ出来事でも、人によって思考の癖が違います。そこから出てくる反応も、Aさん・Bさん・Cさんの3人がいれば、3人とも異なるのです。思考の癖は、多かれ少なかれ誰にでもあるものです。良い癖もあれば、悪い癖もあります。そして思考の癖があまりにも極端であると、ストレスが溜まりやすくなってしまうこともあるので注意が必要です。認知の歪みとは思考の癖のひとつに「認知の歪み」があります。思考の癖の一種であり、物事について認識するときに本来なら解釈しない方向に自分で決めつけてしまい、正常に認識できない状況を指します。周囲との間に、認識の齟齬が起きるような認知の受け取り方をしてしまうので、周りとの意思疎通が難しくなり、自分も苦しくなります。歪みと書いてしまうと、自分が歪んでいるのか、自分が良くないのではないかとネガティブなとらえ方をしてしまう人がいますが、今は「認知の歪み」よりも「非機能的認知」という表現をすることが多いです。今は「あなたは歪んでいるので正常に戻しましょう」ではなく「認知が機能できていないから、認知を機能するものに変えていきましょう、認知が機能するパターンを増やしていきましょう」という考え方をしています。※プロコーチとの無料体験セッションキャンペーン実施中代表的な思考の癖・認知の歪みの5パターンここから体表的な思考の癖のパターンを紹介します。0か100か少しだけのミスでも極端に悪く捉えてしまい、0か100の完璧でないとダメと思い込んでしまうパターンです。最近はこのパターンが非常に増えていると感じます。この癖が表れやすい場面のひとつは意思決定のタイミングです。代表的なタイミングは、キャリア選択において0か100かで考えてしまうパターンです。転職か残留か、あるいは転職か起業かの0か100しかないと、視野が狭くなってしまうことがあります。そのときは「本当にその2択しかないの?Aの道とBの道だけじゃなくて、Cの道やDの道はないの?」ということを一緒に考えるようにしています。もうひとつは、人間関係です。この人は敵だ、この人は味方だと、0か100かで捉えてしまうのです。「この人は本当にあなたの敵ですか?味方だったことはないですか?」という事実を探っていくと、思考が変化することが多くあります。過剰な一般化過剰に一般化してしまう癖を持っている人も、一定数存在します。言語化能力、言葉に対する意識があまり高くない人ほど「過剰な一般化」に陥りやすい傾向があります。たとえば自分のことを話す際に、「女性はこうだから」、「若者はこうだから」と主語が大きい人は、過剰な一般化の傾向が強いです。あとは「やばい」などの抽象的な表現を多用する人も、過剰な一般化をしてしまいがちです。そして言語化ができないから捉え方が雑になり、うまく捉えられないから、言語化できなくなるという負のループに入ってしまうのです。この癖を治すときに大切なのは、普段の会話で「主語が過剰に大きくなっていないか?」と注意することです。また数字など客観的な指標を用いるのも効果的です。◯◯すべき思考◯◯すべきという思考にはまりやすいのは、自分の軸が定まりきっていない、自分というものをうまく持てていない人になります。こうしなければならないと思っているので「本当にそうなのか?」と疑わないのです。また、他者に依存してしまっている人も、この思考の人が多いです。他者の価値観で行動してしまっているので、知らないうちに他者の思考が染み付いてしまっているのです。この癖を治すには、自己認識と自己評価の向上が必要です。自己反省、自己受容、そして他者の意見に依存せずに自分の価値観や選択を尊重する能力を養うことで、この思考の癖から抜け出せるでしょう。個人化(過度な)過度な個人化は、会社の中で責任感が強い人、例えば管理職や若手社員などに多い癖です。自責がすべてという風習や文化が残っている会社の社員に多い傾向があります。特に若手社員の場合、初めての会社が「自責が全て」というのを叩き込むような会社だと、何か悪いことがあったときに、自分の責任としか考えられないようになってしまいます。以前、いろいろな部署を転々とする若手の社員がいました。しかし異動した部署はすべて売上が立たず、部署ごと閉鎖してしまいます。そして「自分は疫病神なのではないか」と思い込んでしまうケースがありました。周りからしてみれば「いや、全然関係ないよ。あなたは新卒の社員だよね。責任があるのは上司だからね」と思ってしまうのですが、本人はそのようにとらえられないのです。心のフィルター心のフィルターは、良いことや悪いことがあっても悪いことしか注目できず、悪いことばかり蓄積されていってしまうパターンです。マイナス思考・ネガティブ思考の人もこの癖があるでしょう。たとえば、テストで100点中90点を取ったとしても、心のフィルターがかかっている人は高得点だと素直に喜べません。「10点を取れなかった」という部分や、ミスをしてしまった事実だけをみてしまうのです。改善のためには、ポジティブなことを記録していくなど、良い目に注目させる必要があります。※あなたの思考の癖を、プロコーチと一緒に可視化してみませんか思考の癖を変えて認知の歪みを直す方法自分の思考の癖を把握する思考の癖にはさまざまな種類があります。まず大切なのは、自分の考え方や認知の特徴を知ることです。自分の行動を振り返り、上記で紹介した代表的なパターンに当てはまるのかを把握します。「これは自分に当てはまりそうだな」という癖が見つかったら、思考の癖が表れた回数を把握し、その回数を減らしていくようにします。たとえば「自分はよく『すべき思考』になるな」と感じた場合は、その思考が1日に何回出てくるのか、あるいは1週間に何回出てくるのかをカウントします。そして、思考の癖を客観的に把握したうえで、その回数を1つずつ減らすことを意識していきましょう。客観的な視点を持てるように意識する「客観的な視点を持つ」ということも、認知の歪みに対して有効です。客観的に見て自分の思考は偏っているな、と認識することで思考の癖を少しずつ変えていきます。客観的な視点を持てるようにする際に提唱されているのが、問題解決思考と認知再構成法の2つです。問題解決思考とは、問題や困難な状況に直面した時に、その問題を解決するための最適な方法を見つけ、適用する思考プロセスです。認知再構成法は、極端に否定的または不合理な思考パターンを特定し、それらをさまざまな角度から検討し、よりポジティブで現実的な思考に置き換える方法です。認知再構成法では、自動思考修正表というツールを使用します。これは厚生労働省のホームページでも配布されているものです。この表は、今、自分がどのような思考を持っているのか、出来事に対する認知、気持ち、体の反応に対して、それって本当なのか、他に考えられないのかと、自分の思考を再構築・再構成をしていきます。このようなツールを活用して、自分の思考を変えていくことができます。また客観的視点(メタ認知)に関してはこちらの記事も参考にしてください。【コーチ監修】メタ認知とは?重要性やトレーニング方法、メタ認知を促すコーチングのアプローチをご紹介カウンセリングを受ける思考の癖や認知の歪みについて、自分だけで気づくのは簡単ではありません。他者の方が圧倒的に気づくことができます。特に心理学を学んだカウンセラーであれば、すぐにクライアントの癖に気づき、指摘できるでしょう。新しい考え方を身につけることは、一朝一夕にはできません。他者と話すことで、自分を客観視できるようになります。コーチングを受ける他者の力を借りて思考の癖や認知の歪みに気づく方法は、カウンセリングの他にコーチングがあります。コーチからフィードバックを受けて、改善するサイクルを回して行きます。誰かに見てもらいながら、継続的にトレーニングしていくことが大事です。カウンセリングとコーチングのどちらが良いかは、目的によって異なります。自分の現状を知って楽になりたい人や、自分の癖に既に気づいていて、その癖だけをピンポイントで変えたいのであれば、カウンセリングが良いでしょう。そうではなく、こうありたいという未来があって、その未来を実現するのに認知が邪魔になってしまっているケースであれば、コーチングがおすすめです。認知を変えていくことだけにフォーカスするのであればカウンセリングも有効ですが、そのうえで成し遂げたい目標があるのなら、ぜひコーチングを検討してみてください。※プロコーチによる無料キャリア相談思考の癖や認知の歪みを直す上での注意点自分の個性・人間性まで否定しない思考の癖や認知の歪みに対処するにあたっては、自分を否定しないことがすごく大切です。自分の内側にある良い人・悪い人・できる人・できない人を否定する必要はありません。否定するのではなく「今はまだ認知が機能していないだけなんだ」という捉え方をすると、すごく楽になるはずです。欠点や短所は、見方によっては長所であることもあり得ます。決して全てを変えてしまおうとする必要はありません。長期的な視点で取り組む思考の癖や認知の歪みは、短期的に改善するものではありません。焦って取り組まず、数ヶ月単位の長期的な視点で対処することが大切です。さらに、ゲームの要素を取り入れるなどして、ぜひ楽しんで取り組んでほしいです。たとえば、1日や1週間に発生した思考の癖を数えて、それを減らしていくのも一つの方法です。「先週は12回だったのが今週6回になったな」などプロセスを楽しめるようになります。※プロコーチとの無料体験セッションキャンペーン実施中思考の癖や認知の歪みに関するよくある質問Q:どうすれば治りますか?クライアントからは「どうすれば思考の癖や認知の歪みを治せますか?」という質問を受けることがよくあります。まず大前提として、これは病気ではないので治すという問題ではないという話をします。コーチングを通じて、新たな思考パターンを手に入れるという考え方です。時間はかかりますが、コーチと一緒に継続的に取り組むことで必ず手に入ります。Q:思考の癖・認知の歪みを周囲の人に理解してもらうにはどうすればよいですか?自分の感じていることや考えていることを正直に伝えることが重要です。自分の思考の癖や認知の歪みを他人に説明し、どのような状況でそれが現れるかを共有することで、理解を深めてもらえるかもしれません。また、必要な場合は、理解やサポートを直接的に求めましょう。具体的な支援の形を提案することで、相手に行動を起こしやすくなります。Q:思考の癖・認知の歪みを改善すると、どんな良いことが起きますか?認知の歪みを修正することで、過剰な心配や不安から解放され、日常生活のストレスが減少します。感情の浮き沈みが減り、より安定した感情状態を保てるようになります。また誤解を防ぎ、コミュニケーションがスムーズになることで、友人、家族、職場の人々との関係を強化します。さらに人生のポジティブな側面にもっと焦点を当てられるようになります。思考の癖や認知の歪みを改善することで、より充実した人生を送れるようになります。Q:仕事・キャリアに思考の癖はどう影響しますか?思考の癖は、キャリア選択の場面で特に大きな影響を及ぼします。たとえば「0か100か思考」によって転職か残留かの2択でしか考えられなくなる、「すべき思考」によって他人の価値観に縛られたキャリアを歩んでしまう、などのケースが頻出します。自分の思考の癖を把握すると、見えていなかった選択肢が広がることがあります。Q:身近に認知の歪みが強い人がいます。どう関わればよいですか?相手を変えようとするより、自分の認知を保ち、必要な距離を取ることが第一歩です。相手の認知パターンを理解すると、受け流せる場面が増えます。深刻な場合は、ご自身がカウンセラーやコーチに相談することもおすすめです。Q:自分で取り組むのと、プロに相談するのでは、どちらが効果的ですか?セルフワーク(ジャーナリング、コラム法)も効果がありますが、自分の思考の癖は自分では気づきにくいという性質があります。一人で進めつつ、月1〜2回は対話型のサポート(コーチ・カウンセラー)を受けるハイブリッドが効果的です。Q:思考の癖を変えるにはどれくらいの期間が必要ですか?新しい思考パターンが習慣化するまで、一般的には3〜6か月が目安とされています。急激な変化を求めず、長期視点で取り組むことが推奨されています。Q:管理職・リーダーの立場ですが、思考の癖が部下との関係に影響している気がします。どう向き合えばよいですか?管理職に特に多いのが「すべき思考」と「過度な個人化」です。「部下はこうあるべき」「チームの成果は全部自分の責任」という思考は、無意識のうちに部下を追い詰めることがあります。信頼できる他者(コーチや同僚)との対話を通じて、自分の思考の癖を客観視する機会を作ることが、組織全体のマネジメント品質向上にもつながります。Q:社員研修に思考の癖・認知の歪みのテーマを入れるとどのような効果がありますか?若手社員の「過度な個人化」による離職防止、マネージャーの「すべき思考」による部下圧迫の緩和、経営層の「0か100か思考」による戦略硬直化の回避など、組織全体の意思決定品質の向上が期待できます。ZaPASSでは法人向けの研修プログラムもご用意しています。※「このままでいいのかな」と感じたら、まずは一度話してみませんかまとめ思考の癖、非機能認知というのは、多くの人が持っているものです。そのため「自分だけかもしれない」と心配する必要はありません。まずは自分の癖を知ることが大切です。そしてもし改善していきたいということであれば、コーチングを受けてみることをおすすめします。経験豊富なコーチとセッションを重ねることで、自己理解を深め、新しい認知のパターンを獲得し、他者とより良い関係を築けるようになるはずです。📝 編集部コラム|キャリアの選択肢が狭く見えるのは、思考の癖かもしれません張コーチのお話にもあった通り、思考の癖は日常のあらゆる場面で現れますが、人生で最も長い時間を過ごす「仕事」の場面で、その影響は特に大きくなります。記事の中で張コーチが触れていた通り、「0か100か思考」はキャリア選択(転職か残留か、起業か会社員か)でよく現れ、「過度な個人化」は職場での責任の抱え込みという形で、特に若手社員や管理職に多く見られます。編集部に寄せられるご相談の中でも、以下のような状態にあるときは、思考の癖がキャリアの選択肢を狭めている可能性が高いと感じています。- 転職すべきか悩んでいるが、自分が何をしたいのか言語化できない- 仕事にやりがいを感じないが、「辞めるほどでもない」と感じてしまう- 自分の強みがわからず、転職活動の書類が書けない- 周囲と比べて「自分は遅れている」と焦っている- キャリア相談をしても「結局、自分次第」と感じてしまうこれらは能力や努力の問題ではなく、思考の癖が"見えている選択肢の幅"を狭めている状態です。張コーチが記事中で述べられていた「こうありたい未来があって、その未来を実現するのに認知が邪魔になっているケースであれば、コーチングがおすすめ」という言葉は、まさにこの状態に当てはまります。ZaPASSコーチングキャリアでは、国家資格キャリアコンサルタントやICF認定コーチ、Gallup認定ストレングスコーチなど、キャリアの相談と思考の癖への対処を一体で扱えるプロフェッショナルが在籍しています。「自分のキャリア選択に、思考の癖が影響しているかもしれない」と感じた方は、まずは無料の相談からはじめてみてはいかがでしょうか。インタビュイープロフィール張 孜翔 氏:ZaPASSプロフェッショナルコーチ/Colorful Uコーチング学習サービス 代表「すべての人のコーチングスキルを」をMissionに今活動しています。学生時代、遠山正瑛さんの影響でビジネスによる持続的な社会貢献を志すようになる。新卒で大手WEBマーケ企業に入社後、部門MVPを受賞。地方ITスタートアップへ転職し、コーチングに魅了されフリーランスとして独立。経済的困難を乗り越え、自身のミッションに基づき2021年に株式会社COLORFUL Uを設立し、2022年にColorful Uコーチング学習サービスをリリース。コーチとして、今は起業前の壁打ち~年商数十億規模の経営者様を幅広く支援させていただいています。監修者プロフィールZaPASS JAPAN株式会社 パーソナルコーチング事業責任者大久保 亮佑【保有資格】・国家資格キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士(国家検定)・ZaPASSコーチングアカデミー Basic / Step Up / Advance 修了早稲田大学卒業後、Webマーケティング企業や株式会社ガイアックスで 営業・マーケティング領域のマネジメントに従事。金融スタートアップでの 営業マネージャーを経て、ZaPASSの立ち上げに参画。現在はパーソナル コーチング事業の責任者を務める。 国家資格キャリアコンサルタントおよび2級キャリアコンサルティング技能士 として、これまで1,500名以上の30〜40代ビジネスパーソンの キャリア支援に携わってきた。キャリアの踊り場(プラトー)・転職・副業・ 仕事のやりがい再定義・管理職としてのリーダーシップなど、ミドル層特有の キャリア課題に精通。ZaPASSのコーチング手法と国家検定レベルの キャリアコンサルティング知見を掛け合わせた、伴走型の支援を専門とする。※プロコーチとの無料体験セッションキャンペーン実施中