近年、企業における離職率は高まっており、離職率の高さが企業経営における大きな課題となっています。一体どのように対策をすれば離職率を改善できるのでしょうか。今回は株式会社ツナグtobeの代表取締役として、企業向けに人事コンサルティングや研修・セミナーを提供されている石川さんに離職率改善と対策について、お話を伺いました。国内の平均的な離職率令和4年度の日本国内における離職率は15%で、実に765万人以上が1年間で離職している現状がわかりました。※1離職率が15%ということは、従業員が100人いる会社だった場合に年間で15人が離職する計算になります。100人規模の会社にとって年間で15人の離職というのは、大きな痛手になってしまうため、目を背けられない深刻な課題になっているのです。※1:令和4年雇用動向調査結果の概況より算出。離職率は以下の計算式で計算離職率=(離職者数/1月1日現在の常用労働者数)×100マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」離職率が高まっている背景離職率が高まっている背景としては、以下の要因が挙げられます。働くことへの価値観の変化昔は終身雇用制が当たり前となっていて「転職=逃げ、負け」のような価値観がありましたが、今では転職は当たり前の選択肢の1つになっています。そのため、1つの企業にずっと勤め続ける必要はないと考える人が増えました。加えて、そもそも「雇用される」こと自体が当たり前でなくなってきている流れを強く感じます。フリーランスや副業など、会社に縛られずに自分のスキルを活かして働くスタイルが注目を浴びています。これにより、多くの人が自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことができるようになり、離職する人が増えたのです。人材不足による企業間競争の激化労働市場において、とくに若い世代や専門性の高い人材不足が多くの企業にとって課題となっています。それぞれの企業が人材獲得を強化しようと、より好条件を提示してオファーしています。また、SNSなどを活用して転職意欲が顕在化している層だけでなく潜在的な層への訴求を強化しているため、転職を考える機会が増えている実態もあります。働き方の多様化これまでは月曜日から金曜日まで朝の9時から夕方の6時まで、会社に出勤して働くスタイルが当たり前でしたが、コロナ禍を発端としたリモートワークの普及などにより、働き方は一変、多様化しました。その結果、働く場所を限定しない働き方が浸透し、より自分らしく・柔軟に働くことができる環境を求め、職場を再選択する人が増えました。実際、様々なアンケートを見ても「働き方の柔軟さ」は就職・転職する人の会社選びの重要な1つの要素に位置づけられています。これからは働き方の柔軟性が低い会社、もしくは盲目的に従来の働き方を是としている会社は、人材確保において苦労をすることが予測されます。SNSの普及直接的な原因とはいえませんが、SNSや動画サイトの普及も要因の1つといえるでしょう。他人と自分を比べやすくなったことで現状に満足できなくなり、今の自分を変えたいと転職や働き方を変える選択をする人が増えたのです。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」離職率の高さが企業に与える影響離職率の高さは企業にどういった影響を与えるのでしょうか。4つの影響について解説します。採用・育成コストが無駄になる転職サイトやエージェントなどを利用して採用した場合に、そこに支払った安くない費用が無駄になってしまいます。また、採用後の教育に費やした時間的なコストも大きな損失になるでしょう。優秀な人材の流出仕事のパフォーマンスが高く優秀な人材ほど、転職市場においては評価されるため、より高待遇の企業に転職するケースが増えています。また、優秀な人材ほど更なる成長や、自身の持つ力をより高いレベルで発揮できるフィールドを求めています。優秀層が成長実感ややりがいを感じられるフィールドを会社が提供し続けないと転職してしまいます。もちろん、優秀な人材ほど会社で担う役割は大きいものです。優秀な人材の流出は、会社の生産性や業績の悪化に直結してしまうのです。従業員の負担増加離職者数が増えることによって社内のリソースが減ってしまうため、残された従業員の負担が増加します。その結果、労働環境が悪化し、既存従業員の不満が増え、離職を検討するようになるという負の連鎖が生じてしまうケースも考えられます。企業イメージの悪化人材の流出が止まらないというイメージを持たれてしまうと、企業のイメージが悪化してしまい、新規採用にも悪影響が出てしまうでしょう。また、企業イメージは社外だけでなく、社内にも大きな影響を及ぼします。特に、優秀層の退職が続くと社員が不安になり、退職が更に加速するという負のループに陥ってしまうケースも多く見られます。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」従業員が離職を意識するきっかけ従業員が離職を意識するきっかけは千差万別であり、人それぞれの事情があります。以下では、代表的な離職を意識するきっかけをご紹介します。入社前とのギャップを感じる新卒の従業員が対象の場合、入社前に抱いていた働くイメージにギャップがあると離職を意識するきっかけになります。なんとなくイメージと違った、先輩からあまり指導をしてもらえないなど、ギャップは様々ですが、自分の理想と違った現実を見てしまうと、離職を考えることが増えます。入社前に様々な視点から丁寧にコミュニケーションを取ること、入社後も丁寧にフォローをしていくことが大切です。仕事にやりがいを感じられない今の若手世代は、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する傾向にあります。今やっている業務の目的や社会的な意義、自身の成長にどうやって繋がるのかが腹落ちしないと、より良い環境を求めて離職を意識してしまう人もいるでしょう。こうした場合には、上司や先輩がその業務の目的や意義、それに加えて、その業務がその人の人生にどんな意味を持つのか?を対話する機会を持つことが大切です。正当に評価されない仕事で成果を上げても正当に評価されない、給料に全く反映されないといったように、正当な評価を受けられないときに不満が溜まります。自分の仕事に対する自己評価と、周囲からの評価や待遇の間のギャップが大きければ大きいほど不満が溜まり、離職を意識していくのです。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」離職率改善に効果的な対策離職率は「結果」でしかないので、高まってしまう要因に対して効果的な打ち手を打たないとなかなか下がりません。離職率が高まっている要因を客観的に把握をし、そこに対して施策を打つことで少しずつ離職率は改善していきます。エンゲージメントを高める離職を意識するきっかけは人それぞれではありますが、多くの場合に共通する重要な要因はエンゲージメントです。一度離職を決断すると、止めることは難しいため、この会社で働き続けたいと思えるような火を灯し続けることがとても重要です。エンゲージメントには、組織エンゲージメントとワークエンゲージメントの二種類があります。組織エンゲージメントとは、会社への愛着のことを指し、ワークエンゲージメントとは、仕事そのものへの愛着を意味します。世代ごとの違いもありますが、若手社員は特に仕事を通して得られる成果や成長や、その仕事が及ぼす社会的な意義(≒ワークエンゲージメント)を重視する傾向があります。組織エンゲージメントが高い企業であっても、ワークエンゲージメントが低い場合、たとえ会社を辞めたとしても会社の人たちとの縁が切れるわけではないので、組織エンゲージメントの高さは会社に留める力学を発揮しにくく離職を決断してしまうケースが多く見られます。そのため、日頃のコミュニケーションを通じて、社員の夢や目標と仕事とのつながりを意識させることが重要です。これにより、社員は自らの成長や仕事の意義を見出し、エンゲージメントが高まるでしょう。エンゲージメントに関する記事はこちらを参考にしてください。【コーチ監修】従業員エンゲージメントの向上にはコーチングがおすすめ?効果的な施策をご紹介 評価制度を評価だけでなく、個と組織の成長のドライバーに人事評価制度を通して、求める人材像や期待する成果、評価基準を明示し、かつ評価プロセスや評価結果の透明性を高めることで、評価に対する納得感や自社で働くことで得られる成長実感を醸成していきましょう。評価制度の最大の目的は”評価をすること”ではありません。会社が目指す状態を実現するために社員を方向付け、個と組織の成長を加速させることを目的としたツールです。いわば、評価制度は、組織における加速装置(ドライバー)と言えます。しかし、その加速装置(ドライバー)が機能するための大前提になるものがあります。それは、社員との間の信頼関係です。どれだけ立派な人事評価制度があっても信頼関係が無ければ、その制度は機能しません。会社の理念を発信し、経営層が率先垂範で体現し続けること、上司が日々の対話を大切にすることで会社・上司との信頼関係が構築されることで初めて機能します。評価制度を、個と組織の成長の加速装置(ドライバー)として運用することができれば、必然的にエンゲージメントが高まり離職率は低下するでしょう。1on1ミーティングの実施従業員一人ひとりと対話する時間を定期的に設けましょう。一般的に1on1ミーティング(以下、1on1)と言われている時間です。1on1では3つの「しごと」の話をすると良いとされています。「志事」「私事」「仕事」です。業務相談だけでなく、前述した夢や目標のお話し、プライベートであった嬉しかったことや悩み、そして仕事上で困っていることや悩みは無いかなどを話すことで、メンバーの更なる動機付けや悩みの解決のキッカケにしていくと良いでしょう。そして、その際にはメンバーが発する言葉以外のメッセージも敏感に感じ取りましょう。メンバーは様々なメッセージを発してくれています。それを丁寧に受け取り対話をすることで、ネガティブな離職の多くは防ぐことが可能です。これらのコミュニケーションにおいてはコーチング的な関わり方が非常に有効です。マネジメントに携わる方はコーチングを学ぶ、受けることでコーチング的なコミュニケーションを身に着けることをおススメします。1on1ミーティングについてはこちらの記事を参考にしてください。【専門家監修】成果を出す1on1ミーティングのポイントとは?コーチングとの違いも解説 マネジメント層にコーチングを実施経営層やマネジメント層は企業変革のレバレッジポイントだと考えています。経営層やマネジメント層が率先垂範で理念を体現することや成長をしようとする姿勢を見せることは社員の動機付けに繋がります。そして、そうした経営層・マネジメント層の変容にはコーチングが有効です。実際、日本においてもコーチを付ける経営層・マネジメント層の方が増えてきています。コーチングの詳細のご説明は別の記事にお譲りしますが、コーチングを受けることで本来の願いにより一層近付いたり、抱えている葛藤の正体が顕在化し、乗り越えるヒントが得られます。また、コーチング的な関わり方を経験することで、マネジメント層がメンバーにもその手法を実践できるようになり、会社全体のエンゲージメントも高まるでしょう。具体的には、前述のようにコーチングによって得られたコミュニケーションスキルやフィードバックの技術を日常業務に取り入れることで、チーム全体のモチベーションやパフォーマンスが向上し、結果的に社員の会社への帰属意識や満足度が高まるのです。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」【ご案内】法人向けコーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」ZaPASSでは、マネジメント経験豊富なプロフェッショナルコーチによるマネージャー層向けコーチングサービス「ZaPASS for Enterprise」を提供しています。<3つの特長>①マネジメント経験×コーチング実績が豊富なプロコーチ陣が約200名在籍約200名のプロコーチから、対象者一人ひとりに最適なコーチをマッチングします。②コーチング効果を最大化する仕組み対象者一人ひとりのコーチング理解やモチベーションを高めながら、最適なコーチをマッチングするプログラムです。③コーチング導入の効果測定が実現できる独自プロダクト各社毎に専用のダッシュボードを提供し、プロジェクトの状態を可視化します。1名3万円/月から利用可能なプログラムとなり、エンゲージメント向上に関するご支援実績もございますのでご興味がある方は是非お問い合わせください。※サービス資料をご希望の方はこちら離職率の改善を目指す上での注意点離職率の改善を目指す上では、以下の注意点に気をつけましょう。会社が目指したい方向性と一致しているか確認する離職率改善のための打ち手が、本当に会社が目指したい方向を実現するための打ち手と重なっているかを確認しましょう。目先の離職率改善に走ってしまい、社員に阿ることで会社のミッションやビジョン、事業戦略をブラしてはいけません。会社の目指したい方向性と一致している改善施策を実行しましょう。長期的な視点で行う離職率の改善はすぐにできるものではないため、半年〜1年以上のスパンで計画を立てて推進していきましょう。離職率の高さが喫緊の課題だとしても焦ってはいけません。目先の数字を下げるために小手先の対策を打っても逆効果です。長期的な計画を立てて実施していきましょう。社員のリアルな声に耳を傾けるマネジメント層や経営者の考える「こういう対策を行っておけばいいだろう」という対策だけではなく、社員にアンケートやインタビューを実施するなどして現場のリアルな声に耳を傾けましょう。現場の声を無視した上層部の意向のみで対策を行っても効果は出ません。現場の目線を尊重し、かつ会社の目指す方向性と合致する計画を立てることが重要です。離職を強制的に防止しないやむを得ない事情で離職を希望するケースもあるので、全てのケースにおいて無理に引き留めたり、強制的に防止したりするのは避けましょう。また、社員の声に耳を傾けず一方的に引き留めるための交渉をすることもおススメしません。社員が望む通りに離職ができるというのも1つの信頼関係です。社員の声に真摯に耳を傾け、ポジティブな離職であれば応援するくらいの度量の大きさを見せることで、残された従業員の信頼を勝ち取れるでしょう。また、最近はアルムナイ採用(一度離職した人が再度戻ってくること)も注目されています。辞め方をどうデザインするか?が非常に大切になってきています。従業員に対して一律で考えない従業員の年齢や性別、趣味嗜好や仕事への取り組み姿勢はさまざまなので、一様に考えて対策を講じるのではなく、世代や志向に分けて改善策を考えましょう。若手にはこういった対策、中堅やベテランにはこういった対策、などのような形でそれぞれに最適な対策が必要です。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」離職率改善の事例実際に離職率の高さに課題を感じ、改善するための対策を実施した結果、離職率改善に至った事例を2つご紹介します。サイボウズの事例kintoneをはじめとしたグループウェアを開発・提供しているサイボウズ株式会社ですが、2005年の離職率が28%と非常に高く、従業員の定着に大きな課題を抱えていました。当時のサイボウズでは、残業や休日出勤が当たり前の昭和的な働き方が当たり前になっていて離職者が後を絶たず、人材の定着に課題を感じ、10年間で以下のような取り組みを実行しました。・従業員自らが働き方を選べる選択型人事制度の導入・テレワークと出勤を組み合わせたハイブリッドワークの導入これらの取り組みが身を結び、2021年には離職率が5%と大幅な改善に成功したのです。参考:https://hybridwork.cybozu.co.jp/story/cybozu-10years/レオパレス21の事例不動産業界の離職率は一般的に高い方ですが、その中でも2010年から11年にかけてレオパレス21では危機的な離職率を記録してしまいました。当時のレオパレス21では、研修環境が整っておらずOJT中心で人材育成を行っていました。しかし、若手からすると教育機会が少なく「自分は会社に大切にされていない」という意識からモチベーションが低下してしまい、離職につながっていたようです。こういった状況下で離職率を改善するべく、現場任せの研修にするのではなく、組織として人材育成に力を入れ、管理者研修や新入社員研修など、社内研修を充実させました。また、それと並行して長時間労働が評価されやすいという社内意識を改革し、「限られた時間の中で成果を出すことが評価されるべき」と意識が変わり、労働環境も改善されました。この結果、3年連続で離職率が下がっていき、今では業界の中でも低い離職率を保つ結果につながりました。参考:https://next.rikunabi.com/journal/20160407/離職防止ツールの導入でも離職率の改善が期待できます。おすすめの離職防止ツールについては、労務SEARCHの「離職防止ツールおすすめ20選!タイプ別に料金・機能を徹底比較」の記事をご参考ください。まとめ企業にとって離職率の高さは緊急性の高い課題ですが、簡単に解決できるものでもありません。一度離職を決めた人の気持ちはなかなか変えることができないため、離職を意識させないための対策が必要といえるでしょう。コーチングの実施は効果的な対策の1つといえます。会社と従業員の間に信頼関係を築き、悩みがあっても早期に解決できる体制の整備が大切です。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」監修者/インタビュイープロフィール石川 博基 氏:ZaPASSプロフェッショナルコーチ/ 株式会社ツナグtobe代表取締役「働くをもっと面白く」をビジョンに掲げ、株式会社ツナグtobeの代表取締役として、企業向けに人事コンサルティングや研修・セミナーを提供し、個人向けにもコーチングサービス等を提供。新卒で成長環境として最も適していると考えた元リクルート系不動産デベロッパーである㈱コスモスイニシアに入社。入社後は仲介営業部門に配属され、多くのお客様の人生の決断を支援(新人賞、全社MVP×4回、顧客満足度No.1を受賞)。その後は同社の人事部を10年以上歴任し、人事マネージャーとしてあらゆる人事変革を推進。■関連記事社員が辞めていく会社の4つの特徴、社員が辞めない4つの仕組みづくり|日本人事経営研究室【プロに聞く】1on1でもう悩まない。 コーチングとティーチングの違いを専門家が解説 【専門家監修】成果を出す1on1ミーティングのポイントとは?コーチングとの違いも解説【専門家監修】1on1を人事施策として組織に導入する際のポイントとは?コーチング型マネジメントとは?メリットやデメリット、実践する方法を解説ビジネスコーチングとは?メリットや流れ、コンサルティングとの違いを解説リーダーシップコーチングとは?目的や実践方法をご紹介組織開発におけるコーチングの有効性とその活用について。必要な組織の特徴や注意点を解説【コーチ監修】従業員エンゲージメントの向上にはコーチングがおすすめ?効果的な施策をご紹介【コーチ監修】MBTIは企業に活用できる?メリットや導入するためのポイントをご紹介【コーチ監修】エンゲージメントが低い企業はどうなる?原因や改善する方法をご紹介--------◾️【法人でのコーチング活用に興味がある方はこちら】▼法人向けコーチングサービス『ZaPASS for 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