企業の生産性を向上させ、離職率を低下させ、組織力を強化するために必要なものは何だと思いますか。そのヒントとなるのが、従業員エンゲージメントです。この記事では、コーチングによって従業員エンゲージメントを効果的に高める方法をご紹介します。また、企業が直面する可能性のある課題にどう対処すべきかも詳細に解説します。企業の経営層やマネージャーは、従業員との関係性を深め、組織全体のエンゲージメントを向上させるために、どのような施策を講じるべきなのでしょうか。中島コーチに伺いました。従業員のエンゲージメントとはまず「従業員エンゲージメントとは何か」について触れておきたいと思います。従業員エンゲージメントとは「従業員が会社に対して十分に理解し、信用している状態のこと」を指します。社員と会社の関係性が強いことで、別の表現をすると、従業員が会社に対し信頼・愛着・絆・貢献度・帰属意識を持っているイメージです。また、従業員エンゲージメントは「従業員満足度」と混同されやすいですが、2つは別のものです。従業員満足度は、福利厚生や職場環境など、企業が従業員に一方的に与えるものに対する指標です。一方、従業員エンゲージメントは相互に貢献し合っており、社員からも貢献したいという意欲が企業に向かっています。また従業員満足度は待遇に関するものがメインですが、従業員エンゲージメントは待遇だけではありません。目標・活動・風土といったものも、エンゲージメントを向上させるのに必要です。さらに従業員のエンゲージメントが業績に直結することも、従業員満足度と比較した際の大きなポイントです。企業と従業員が「相思相愛」になることで、従業員のエンゲージメントが向上し、そのことが業績につながっていくのです。従業員のエンゲージメントを向上させるメリット従業員エンゲージメントを向上させる具体的なメリットはどこにあるのでしょうか。従業員エンゲージメントは、内閣官房が発表した 「人的資本可視化指針」 においても、企業価値向上につながる指標であると示されています。3つの視点でご紹介します。生産性が向上する従業員エンゲージメントが向上すると、従業員が会社に貢献したいという気持ちが強くなります。その結果、一人ひとりの業務生産性が高まるため、会社としての生産性が向上するのです。タワーズワトソン(現ウイリス・タワーズワトソン)が2012年に発表したプレスリリースによると、持続可能なエンゲージメントのレベルが高い会社は、エンゲージメントが低い会社と比べて、1年後の営業利益成長率が3倍になると言われています。また、リンクアンドモチベーション社の調査でも、従業員エンゲージメントの指標である「ES=エンゲージメントスコア」が高い企業ほど「ROE」(自己資本利益率)が高いことを示しています。つまり従業員エンゲージメントが高い企業ほど、資本をより効果的に活用し、収益につなげられる可能性が高まるのです。離職率が低下するエンゲージメントが向上すると、会社に対して愛着が湧き、信用している状態になります。不満が少しあったとしても離職することがなくなります。その結果、離職率が低下して人材が定着するメリットがあるのです。リンクアンドモチベーション社の別の調査では、エンゲージメントの低い会社の社員が1年以内に離職する確率が、エンゲージメントが高い会社よりも87%も高くなるという結果が出ています。組織力が向上するエンゲージメントが高い会社では、一人ひとりがポジティブに会社のために尽くそうとします。そのため、個人の業績だけでなく、チームワークや連携力も向上します。組織力が向上するのも、エンゲージメントを向上させることによる大きなメリットといえるでしょう。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」エンゲージメントを向上させる効果的な方法それでは、エンゲージメントを向上させるには、どうすればよいのでしょうか。その着眼点を、以下のウイリス・タワーズワトソンによる「従業員エンゲージメントの定義」から抽出してみます。企業の方向性に対する理解組織の目指す方向性を理解し、それが正しいと信じている帰属意識組織に対して帰属意識や誇り・愛着の気持ちを持っている行動意欲組織の成功のため、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲がある上記を踏まえ、組織への帰属意識を育み、エンゲージメントを向上させる着眼点をもう少し分解すると、理解度・共感度・行動意欲の3つになります。理解度従業員が企業のビジョンや方針を具体的に理解した上で企業を支持しているか共感度従業員が組織の一員であることを実感し、企業の理念や同僚に共感しているか行動意欲従業員が組織の成功に向けて、自発的に行動を起こしているか1.「理解度」従業員の会社に対する理解度が高い状態であると、企業が目指す方向性と従業員が目指す方向性が重なりやすくなります。するとそこから企業への共感が生まれやすくなり、次第に従業員が当事者意識を持てるようになります。理解度を高めるためには、企業側が明確な経営方針・理念を従業員に示すことが必要です。特に中間層の管理職の人たちは、経営層の意図を理解し、かつメンバーに咀嚼しながら伝える能力、メンバーがどう思っているかを汲み取りながら伝える力があると理解が進みます。ここで「コーチング」の登場となります。マネジメント層や管理職がコーチングを学び、傾聴スキルを身につけることで、より従業員の理解度を高めることに効果をもたらせるでしょう。施策1:企業の理念やビジョンを浸透させる会社に対する愛着や忠誠心を高めるためには、会社が掲げるビジョンや理念を一人ひとりに浸透させる必要があります。たとえば社訓を見える形で掲げたり、代表自ら会社の理念を社員に説明するなどして浸透させるといった方法があります。施策2:ワークライフバランスを改善する残業時間の削減やリモートワークの導入など、従業員のワークライフバランスを尊重し、改善できるように努める姿勢。これも企業側からの経営方針・理念の現れとなります。2.「共感度」共感度を高めるためには、日頃から社内コミュニケーションを活発にし、従業員の企業理念周知に対するフォロー体制を図ることが大切です。従業員の共感度が高まることで、企業としての一体感が生まれるでしょう。共感力を高めるには、お互いの意見を言い合える場づくりが必要です。コーチングを学ぶと、場を作るために必要な観察力やファシリテーション力を高められます。ファシリテーターとなる立場の人がコーチングを活用できれば、相手の本音をうまく引き出せるようになるでしょう。施策1:従業員同士のコミュニケーションを活性化させる同じ会社で働く従業員同士のコミュニケーションを活性化させ、いい関係性を構築することで、従業員は会社に対してポジティブな気持ちを抱いてくれるようになります。コミュニケーションを活性化させるための方法としては、会社の経費でランチ会を開催したり、誕生日会やイベントを開催したりするといった方法が考えられます。施策2:定期的な面談を実施する従業員一人ひとりに対して四半期に一度などのスパンで面談を実施し、不満や不安がないかを聞き出し、解決できる悩みがあれば解決してあげることで、従業員のエンゲージメントが向上します。3.「行動意欲」従業員の行動意欲を高い水準で保つためには、従業員が日頃から「組織から必要とされている」と感じられる環境を構築することが重要です。そのためには、成果に対する適切な評価や納得感のあるフィードバックを定期的に行うことが大切です。そして、このフィードバック力を高められるのも、コーチングの良さなのです。コーチングでは、相手の話に耳を傾け、共感を示すコミュニケーションを学びます。その結果、相手の感情を理解し、相手の立場に立ったフィードバックをできるのです。施策1:従業員のキャリアアップを推奨する研修やセミナーへの参加機会の提供や、書籍購入費用の負担など、従業員のキャリアアップを推奨しましょう。手厚い支援が受けられる会社だと思ってもらえることで、従業員のエンゲージメントがぐっと向上します。施策2:正当な評価を行う自分の仕事に対して正当に評価してくれる、という実感を持つことで、従業員のエンゲージメントは向上します。従業員の仕事に対して正当な評価を行い、評価に応じて昇給や昇格を行いましょう。マネジメント層にコーチングを実施するエンゲージメントを向上させる効果的な方法としておすすめしたいのが、マネジメント層に対してコーチングを実施することです。マネジメント層に求められるのは、相手・組織を観察し、適切なタイミングで、適切な方法で、伝える・聴きとる力です。理解度・共感度・行動意欲のすべての場面で、コーチングスキルを活かせます。コーチングを活用し、従業員に対するマネジメント能力やコミュニケーションを向上させることで、エンゲージメントを高められるようになるでしょう。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」従業員のエンゲージメントを向上させる上での注意点エンゲージメント向上の施策展開(やり方)は、組織カルチャーの伝道師であるマネジメント側の信念(あり方)によって大きく左右されます。①自分を知ることからはじまる私はよく「あり方(Being)」と「やり方(Doing)」の話をコーチングで紹介します。たとえば、同じレンガを積む作業でも「村の皆が集まり願うための教会」を作るためにレンガを積むのと「その日の収入を得るために指示されたから積む」のでは、行動の質も成果も変わります。「あり方」は、会社で言えば「経営理念」、個人で言えば「信念や決意」です。自分の中に「核として据えるもの」を見出していない人は、人の核は見出せません。また「理念」を伝えるにしても、どこか上辺に聞こえてしまいます。まずは自らがコーチングを受ける経験を経て、自身の中の「信念や決意(自分は何者で何を為すのか)」を明確にさせ、自覚的になっていくことが、人を導く・指導していく立場の人には特に重要な「最初の一歩」です。②相手を知る次に、伝える側の相手をよく知る必要があります。こちらが「良い」と思っていても、相手のニーズに適っていなければ、それは単なる「押しつけ」でしかありません。相手を知るには、相手の状況を「理解」し、話を「聴く」必要があります。「定期的な面談」も「正当な評価」も「キャリアアップの推奨」も、相手の的を射ていなければ逆効果にもなります。この点もコーチングを通じて「観察力」「傾聴力」を高めることが、大いに役に立ちます。③お互いの関係性を見る従業員エンゲージメントの向上に「絶対解」はありません。エンゲージメントは会社と従業員の「関係性」であり、会社によって当然「どのように関係性を築いていくか」の「最適解」は異なります。そのためには、会社や経営が求めることと従業員側の現状を俯瞰的に、フラットに捉える「場を見る力」が必要になります。コーチングでは「自分の視点に寄り過ぎる(偏った見方)」を俯瞰し、捉え直すこともしばしば行います。まさにこのスキルもこうした施策展開のプロセスを適切に判断していく立場のマネジメント層においては、必須のスキルだと言えます。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」エンゲージメント向上に成功した事例①スターバックスコーヒーエンゲージメントを組み込んだ経営方法や組織構築をしている会社で代表的なのがスターバックスコーヒーです。スターバックスの創業者であるハワード・シュルツ氏は、2008年にCEOに復帰しました。しかし当時のスターバックスは、業績の悪化が深刻な状況でした。彼がそのときに取り組んだのが、パートナーとの心の絆を取り戻すということです。そのために彼は、北米にあった1万以上の店舗をいったんすべて閉めました。そしてストアマネージャーや店長をすべて集めました。今がどれだけ危機的な状況かを、管理職みんなが共有するためです。彼はすべての従業員が、自分と同じくらい、会社の情報を持つべきだと強く感じました。そして管理職は会社の傍観者ではなく、チームの一員として、自分事としてとらえてもらおうとしたのです。スターバックスの事例は経営者が自分の考えを示すためには、言葉だけではなく行動として示していることの大切さを伝えています。1万以上ある全米のお店を閉めるのは、売上に大きな打撃です。しかし「そこまでするほど大事なことを伝えたいのだ」という意志を、行動で示しているのが素晴らしいと感じます。スターバックスのエンゲージメント施策はそれだけではありません。スターバックスには、マニュアルがほとんどありません。しかし職場に見合った行動とは何かを定義したガイドがあります。そのガイドに沿って、職場にふさわしい行動ができているかどうかの評価をしています。会社のミッション&バリューに沿って行動できているかに重きを置き、それを個人の目標とつなげるのです。ポイントは、あくまで個人の成長軸としてパフォーマンスをレビューすることです。この会社に自分の居場所がきちんとあるということを確信させ、その中で自分が何を期待されているのかを考えさせます。個人の成長のWinが、企業のWinにもなっていく、Win-Winを考えて明確に表現しているのがポイントです。②小松製作所もうひとつ、小松製作所の事例を紹介します。小松製作所は、イノベーションを起こす思考や発想を生むチームを作るためには、現場の従業員のエンゲージメントを高めていく必要があると考えています。そしてそれには上司が重要な役割を果たすとしているのです。同社では「コマツウェイ」というモットーを作り、その中で信頼・モチベーション・変化・チームワーク・権限委譲というキーワードを挙げています。マネージャーはこの5つの要素を研修で学び実践しています。これらのエンゲージメント向上施策に取り組んだ結果、同社の離職率は33%も減少しているのです。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」【ご案内】マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」ZaPASSでは、マネジメント経験豊富なプロフェッショナルコーチによるマネージャー層向けコーチングサービス「ZaPASS for Enterprise」を提供しています。<3つの特長>①マネジメント経験×コーチング実績が豊富なプロコーチ陣が約200名在籍約200名のプロコーチから、対象者一人ひとりに最適なコーチをマッチングします。②コーチング効果を最大化する仕組み対象者一人ひとりのコーチング理解やモチベーションを高めながら、最適なコーチをマッチングするプログラムです。③コーチング導入の効果測定が実現できる独自プロダクト各社毎に専用のダッシュボードを提供し、プロジェクトの状態を可視化します。1名3万円/月から利用可能なプログラムとなり、エンゲージメント向上に関するご支援実績もございますのでご興味がある方は是非お問い合わせください。※サービス資料をご希望の方はこちらマネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」エンゲージメント向上に関するよくある質問Q:エンゲージメントが低い原因がわからないです従業員が、企業に対してどのような感情を持っているかを知ることが大事です。1on1や面談などのヒアリングの機会を持ち、理解度・共感度・行動意欲の観点から、どのような現状認識を持っているのかを理解・整理していきましょう。大切なのは「傾聴」の姿勢です。Q:エンゲージメント向上が成果につながっているかわからないですエンゲージメントは、取り組んですぐに成果が出るものではありません。業績などの最終的な成果だけをモニタリングするのではなく、その前段階の「社員の行動変容・マインドチェンジ」について、観察の視点をもつことが大切です。たとえば社内の施策によって意識がどのように変わったのかをアンケートを取ってみるのがおすすめです。定量的なところだけでなく、定性的な部分も含めて、変化を追っていきましょう。Q:施策の実施が単発で終わってしまい継続しません。どうすればいいですか?施策効果の解像度をあげることが大切です。どう受け止めたのか、何を感じ、どんな変化があったのかについて当事者間で対話をしてみることが、あらたな課題発見・改善に効果的であり、そこから次の流れが生まれることにもつながります。また、施策はやって終わりではなく、必ず振り返りの場を設けましょう。たとえばコーチングの力を持っている人がファシリテーターとなって話し合いの場をつくるのがおすすめです。「自分だけじゃなくて、このひとも同じことを考えていたのか」とメンバーの気持ちを知ることで、だんだんと信頼が積み上がっていくのです。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」まとめ企業の理念を浸透させるための共感度の強化、理解度の向上、そして行動意欲を促すための環境作り。これら全てがエンゲージメントを高めるためには不可欠です。特にマネジメント層にコーチングを導入することで、リーダーシップの質が向上し、それが従業員のモチベーションに直結します。従業員のエンゲージメント向上において、コーチングは非常に効果的な手段です。エンゲージメントを持続的に高めるためには、一度きりの施策ではなく、継続的な評価と改善が必要です。従業員との対話を通じて、それぞれのニーズに合わせたアプローチを見つけることが重要です。エンゲージメント向上のプロセスは、自分を知ること、相手を知ること、そしてお互いの関係性を見ることから始まります。これらを理解し、適切に活用することで、従業員だけでなく組織全体が向上し、最終的には業績向上にも寄与することでしょう。マネージャー層向け法人コーチングサービスなら「ZaPASS for Enterprise」監修者/インタビュイープロフィール中島 雄氏:ZaPASS登録プロフェッショナルコーチ早稲田大学商学部卒業。カフェチェーン事業会社にて、事業MGRを経て人材育成機関MGR、人事部MGRを経験。「人の内面のあり様が、その人のつくりだす成果に大きな影響を与える」ことに着目し、コーチングやNLP、NVCといった手法を体得し、「U理論」「成人発達理論」等の考え方をベースに、個人/法人含めた「人や組織の変容支援」に携わる。■関連記事【プロに聞く】1on1でもう悩まない。 コーチングとティーチングの違いを専門家が解説 【専門家監修】成果を出す1on1ミーティングのポイントとは?コーチングとの違いも解説【専門家監修】1on1を人事施策として組織に導入する際のポイントとは?コーチング型マネジメントとは?メリットやデメリット、実践する方法を解説ビジネスコーチングとは?メリットや流れ、コンサルティングとの違いを解説リーダーシップコーチングとは?目的や実践方法をご紹介組織開発におけるコーチングの有効性とその活用について。必要な組織の特徴や注意点を解説【コーチ監修】MBTIは企業に活用できる?メリットや導入するためのポイントをご紹介【コーチ監修】離職率改善の効果的なアプローチとは?具体的な対策や注意点を解説【コーチ監修】エンゲージメントが低い企業はどうなる?原因や改善する方法をご紹介--------◾️【法人でのコーチング活用に興味がある方はこちら】▼法人向けコーチングサービス『ZaPASS for Enterprise』・1on1コーチングプログラムhttps://zapass.co/business-coaching・コーチング研修プログラムhttps://zapass.co/business-coaching/training▼資料請求フォームhttps://zapass.co/business-coaching/request▼その他の法人でのコーチング活用事例https://zapass.co/blog/tag/case-business--------◾️