2021年12月から、22回の継続コーチングをして実施している、株式会社Lean on Me 代表取締役の志村 駿介さんと重次泰子コーチのセッション。本記事は、これまでのセッションの様子を振り返り、記事化したものです。長期間にわたるコーチングだからこそ得られるものをご紹介いたします。本文中ではコーチがクライアントの情報を開示していることがありますが、守秘義務契約の前提の上、この取材に限ってコーチから情報を開示、公開許可がでているもののみ、記事にしています。コーチングで“負のスパイラル”から抜け出せた 重次さん ――最近、志村さんから「調子が悪い」と聞かなくなりましたねそうなんです。クリフトンストレングスを受けて自分の傾向性を理解しているので、負のスパイラルに陥らないように、コントロールできるようになってきました。*1危なそうだと気がつき、未然に防げるようになってきて。ネガティブな物の見方をする自分とも、上手くつき合えるようになってきました。※クリフトンストレングス®(旧名称:ストレングスファインダー®)とは、個人の本来の考え方、感じ方、行動のパターンを測定するテスト。177問の質問に回答すると、34のクリフトンストレングスの資質に分類され、パーソナライズされたレポートが提供される。 重次さん ――コーチングをスタートしたとき、どんな状況でしたか?テーマは「志村らしいリーダーシップを一緒に探求しましょう」でしたね。当時、組織がかなり混乱していました。自分に自信をなくしていて⋯⋯。自己肯定感がかなり低いところからスタートしました。重次さん ――まさに「負のスパイラル」の渦中にいらっしゃったんですね。志村さんの負のスパイラルは、どんな構造になっているのでしょう?私は「回復志向」がTop5の資質にあるので、状況を分析し、何が悪いのかを突き止めることが得意です。ただ、悪いところ、足りていないところばかりに着目しがちで⋯⋯。極端に考えてしまう思考のクセもあり、自分に足りていないところを見つけては「自分は組織作りに向いてないんだ」と決めつけて、勝手に自信をなくしていましたね。重次さん ――最初にお会いした時から振り返ってみると、今と過去の志村さんはかなり違います。過去の自分(セッション開始時の志村さん)に会えるとしたら、何と言ってあげたいですか?「コーチングを受けて課題や思考の整理をすると、調子がよくなるよ」と言いたいですね。2014年に創業してから「自己犠牲は当たり前」といった感覚で走り続けてきました。コーチングを受けていなかったら、今もその延長線上にいたでしょう。きちんと自分を理解して、自分を休ませる。ここに気がついてから、可能性が大きく広がりました。コーチングを受けると決断した自分に感謝したいです。強みの発見・開発に特化したストレングスコーチングの無料面談はこちら変わるきっかけとなった重次コーチからの問い重次さん ――「きちんと自分を理解して、自分を休ませる」と気づけたのは、何がきっかけでしたか?重次さんからの「問い」がきっかけでしたね。「トップが追い込まれていて、不機嫌になったり、余白がない状態だと、組織にどんな影響があると思いますか?」この問いには、本当にハッとさせられました。気づいてからは、自分のコンディションが周囲に与える影響をすごく意識をするようになりました。問いをもらうまでは、周りにも「自分を見習ってほしい」「自分の忙しさを理解して、その上で仕事を取りにきてほしい」と考えていたんです。でも、今は考えが変わってきています。自分が余裕を持つことで、みんなも余裕を持って頑張れる。その方が断然いい。言葉だけでなく、自ら体現できたことが大きいと思っています。重次さん ――そうでしたね!志村さん自身で余白をつくることを体現されましたよね。2022年9月に一ヵ月間のお休みをいただきました。弊社はスタートアップで資金調達をしています。毎月売上を伸ばさなければいけない状況なので、普通では考えられないチャレンジでした。理解のある株主の方々に恵まれて感謝しています。家族とゆっくり過ごす、イギリスに弟と2人で行く、仕事しない時間に慣れる⋯⋯。休まなかったら決して得られなかった経験でした。しかも、長期的に休んだことが、会社、私個人どちらにとっても非常に価値ある時間になり、大きな成功体験として心に刻まれました。部門責任者が仕事を詰め込み過ぎているとき、「一週間休んだらどう?休日に思考を整理したり、余白を作ることは、仕事をする上でとても大事」と経験談を踏まえて話しています。メンバーが気兼ねなく休める雰囲気になりました。重次さん ――それまではトップダウンで経営されていましたよね。休暇の間、組織への影響はいかがでしたか?「自分たちでやらないといけない」という危機感がすごく芽生えたタイミングでした。今までは、私がいなくなった状況を全く考えてこなかったと思います。たとえば「もし志村が死んだら、この会社、このサービスって辞めるんですか」という問いは頭になかったのではないか、と。私の長期休暇中、社内はざわついていましたし、メンバーによっては普段以上に権限を持たされ、プレッシャーに感じた人もいたと思います。でも、結果的に「自分たちでやらないといけない」経験のおかげで、私を介さずに意思決定して事業を進めていけるようになっていきました。今までは社内で話をするとき、事業計画の数値目標はもちろん、外部の株主、経済の状況などいろいろなリスクを考慮して、最終的なアウトプットだけを伝えていました。ところが、休暇の後、複数のメンバーから「1人で抱え込まずに全部シェアしてください。経営判断が何によってなされているかが分かれば、もっと志村さんの話も伝わりやすいです」と言われました。ありがたいことに、自分たちで事業を進めるために、自ら情報も取りにきてくれるようになったんです。“本来やるべき仕事”ができたのは、余白があったからこそ重次さん ――組織のみなさんにとっても、志村さんの長期休暇は貴重な経験になったんですね。志村さんは、一ヵ月の休暇で何を得られたのでしょう?「自分を大事にすることが甘え」といった固定観念を崩せました。今は「自分を大事にするのは甘えではなく、会社にとって一番いいことなんだ」と当たり前に思えるようになって。他の人からみたら、些細な変化かもしれません。でも、自分のなかにあった凝り固まった考えを崩せたのは、私にとって大きな変化でした。重次さん ――志村さんのTop10の資質には、実行力に関する資質が5個もあります。自分一人でやり遂げる資質を多く持っていらっしゃるのに、周囲に組織を任せ、手放せるようになった。どれほど勇気のいることだったでしょう。本当に素晴らしいです。「自分自身に負荷をかけてまで休もう」と意識していました(笑)。最初の3日間ぐらいは「仕事したい」と思って葛藤していたり。でも、気づいたらいつの間にか忘れて過ごせていました。仕事を忘れてからは、目の前にあった仕事ではなく「会社の理念を社会でどう実現していくのか」をフラットに考えている自分がいました。休暇の前までは、仕事を詰め込み過ぎていて、実現したい社会は分かっていても、今やっている仕事との紐づけができていなくて。今思えば、そこが一番しんどかったです。長期休暇を過ごしたら、モヤモヤした雲が一気に晴れました。思い切って長期休暇を取り、本当によかったです。重次さん ――余白があったからこそ、本来トップがやるべき仕事に取り組めたんですね。そうですね。休暇前までは、周囲のメンバーに仕事を任せたとき、つい自分のパフォーマンスと比較をしてしまっていて。求めすぎていたというか⋯⋯。でも、今は「全てを自分1人で抱えて、やらないといけない」というプレッシャーが消え去りましたね。みんなで組織を運営していくなかで、自分が価値を発揮できるところはどこだろう?と考えながら過ごしています。この変化はとても大きいですね。私の持つ「実行力」の資質だけが優れている訳ではないんです。戦略的に考えたり、一旦整理することに長けている資質の人もいて。いろんな資質を持った人が集まっているから、会社は伸びていけると理解できるようになってきました。重次さん ――ご自身と周囲への理解が深まり、関係性も変わっていったんですね。家族に対してなど、プライベートでも変化はありましたか?「パパ、遊んで〜」と子ども達の方から声をかけてくれるようになりましたね。今まで子ども達はパートナーの方ばかりに声をかけていたのですが、長期休暇で一緒に多くの時間を過ごしたら「遊んでくれる人」と認識してもらえたみたいで(笑)。長男と長女は、産まれたての0歳の次女の面倒をみてくれたり、家族のなかで互いを助け合う雰囲気を感じます。家庭が安心して生きていける場になっています。重次さん ――よかったですね。不思議なことに、人間は「安心できる」と思う人のところに寄っていきますよね。一人ひとりが持っている資質を活かし、強みを掛け合わせる経営へ重次さん ――ご自身の資質や傾向性を知って、どのような変化がありましたか?「自分の考えを会社のメンバーに押しつけていた」と気づきました。ここに気づけたのは大きな変化でした。診断を受ける前までは、Lean on Meの全メンバーは「会社のコアバリューに則って行動すべき」と考えていたんですよね。でも、自己理解が深まれば深まるほど、変わっていきました。自分特有の資質があるように、他のみんなにも一人ひとり違った資質があるんだと理解できるようになって。今までの自分は、個々人のバックグラウンドや強みは全く考えずにいたんです。重次さん ――今は社内メンバーも、クリフトンストレングスを受けていますよね。メンバー全員に診断を受けてもらっています。最初、私だけが受けて自分の資質について説明をしたのですが、なかなか理解が進まず、共通言語にならなかったんです。メンバー全員に受けてもらってから、徐々に意識が変わっていきましたね。一人ひとりの資質の違いを理解してもらい、「自分ごと」としてわかってきたとき、共通言語が生まれ始めて。そこからは、みんなで資質に対して向き合っていけるように変化していきました。幹部から理解が深まり、徐々に広がっていってるような感じでしたね。みんな強み・弱みがあり、私と同じように、負のスパイラルに陥りやすいパターンも持っています。だからこそ、その人に合わせた伝え方を考える必要があって。人によってあり方、資質が違うからこそ、伝え方を工夫していく。そのために、全メンバーに受けてもらうことにしたのです。重次さん ――志村さんは一人ひとりの資質を考えながらメンバーとコミュニケーションを取っていらっしゃるようですね。そうですね。今までは、第一印象で相手のタイプを決めてしまい、深く知ろうとしない傾向がありました。たとえば「合わないな」と思ったら、無意識的に深く関わらなかったり。今は「目に見えている部分」だけでなく、見えていない相手の資質を理解したうえで、コミュニケーションを取っていくことを意識しています。メンバーにも「確かに、〇〇さんは議論になると意見を発散しがちだね。でも、達成欲もあるので、最後は収束させるタイプなので大丈夫だよ」と伝えて、メンバー間の距離を縮めるためのツールとして使っていますね。重次さん ――なるほど。十分に活用されているんですね。メンバーの資質は、全て一覧で見られるようにしています。Top5だけでなく、全資質の順位をすぐに見られるようにして、フルに活用しています。たとえば、メンバー間で関係が悪くなっているとき、それぞれの資質を見てみて、相性や原因を考えるときにも使っていたり。相性がよい場合は「コミュニケーションミスなのでは?じっくりと対話をする機会を設けたら」と伝え、資質が全く異なる場合は「お互いの活かし方を考えよう」とアドバイスをしています。クリフトンストレングスの活用の幅は、とても大きいと感じています。忙しく働いている人にこそ、コーチングの価値を感じて欲しい重次さん ――志村さん流のコーチングセッションの活かし方を教えてください。コーチングを受け始めた当初は、思考を整理する時間として使っていました。私はインプット量が多いので、3週間に一度くらいは、アウトプットする時間を作らないといけなかったんです。現在は思考のクセに陥っていないかをチェックしたり、答えが見つかっていないモヤモヤをアウトプットする時間に充てています。セッションの前半では、「今はどういう状況で、どんなコンディションなのか」の振り返りをします。後半は、課題を整理して、次に向けたアクションを準備をする時間にしています。重次コーチは、「前回決めたアクションは、実行されましたか?」と詰めたりしないところが良さですよね(笑)。私の場合、コミットメントを強く求められると、全力でやってしまいがちです。思考が停止するリスクがあるので、良いバランスで見ていただいていると感じています。重次さん ――そうそう。もともと詰めないタイプですが、志村さんには特に詰めないようにしていました。自分を追い込み過ぎてしまうので。これからは、どんな風にコーチングを活用したいですか?会社内での役割の変化に応じて、コーチングの時間の使い方は変わるだろうなと思っています。今は人や組織の話、たまに未来の話をしていますよね。今後、人事のスペシャリストを採用していったら、人や組織について考える頻度が少なくなっていくと思います。そうなると、「30年後の自分はどうありたいか。ありたい姿に対して、今、どの位置にいるのか」を整理する時間になっていきそうですね。重次さん ――30年後など、未来の話が多くなると、志村さん、Lean on Meはどう変わるんでしょうね?最後に、継続してコーチングを受けてみた感想を教えてください。「コーチングを受ける」と決めた過去の自分に、感謝しています。身近でコーチングの話を聞かなかったので、全く知らない世界でした。海外で流行っているイメージしかなくて。日本国内で起業家がコーチングを受けるとは、考えもしませんでしたね。でも、実際に始めてみて、周囲の人にコーチングの話をしてみたら、先輩経営者のみなさんのみならず、役員全員が受けているケースもあると聞き、「自分が知らなかっただけだ」と気づきました。日本でも普及しているんですね。現在は、コーチングの価値を非常に感じています。忙しく働いていて、いろんなプレッシャーに押しつぶされそうな人にこそ、受けてもらいたいです。[文]平谷愛 [編集]大久保亮佑強みの発見・開発に特化したストレングスコーチングの無料面談はこちら■参考記事【コーチ監修】クリフトンストレングス®(ストレングスファインダー®)での自分の強みの見つけ方。コーチングを活用した方法もご紹介 【コーチ監修】ストレングスコーチングとは?メリットや料金、おすすめな人について解説“弱みや不完全さと共に生きていく”—たった3ヶ月で「人生の捉え方」を変えてくれたコーチコーチングはキャリア迷子の救世主。納得いく答えは、“人生のゴール”から逆算すること変えるのは現業ではなく”自己認識”だった。30代後半の私がキャリアコーチングを受けた理由