ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、和田翔さんのインタビューです。和田翔|プロフェッショナルコーチJCBにて企画・マーケティング、星のや竹富島支配人を経て、現在は医療機関運営会社の事業部人事の責任者を務める。人事として仕事をする傍ら、CTIにてCPCC(Certified Professional Co-Active Coach)を取得。後、国際コーチ連盟PCC(Professional Certified Coach)。人の可能性を信じ、その力や想いを最大限引き出すコミュニケーションをより多くの人に届けるべく、プロコーチとしても活動中。プライベートでは、2人の息子とトイプードルの4人+1匹家族。サッカー観戦や筋トレ、ランニングが趣味。人の可能性を広げる、裏方的な関わり方が楽しい──和田さんがコーチになるまでの経緯を教えてください。星野リゾートで支配人をやっていた時に、お客様に対して何かしたいというスタッフがサービス業なのでたくさんいて。そのスタッフたちと関わる中で、私はゲストと直接関わるよりも、そのスタッフたちが目を輝かせて働くことができるようなサポートがしたい、裏方的な関わりの方が楽しいと感じるんだなと気付いたんです。今もそうですが、当時から管理職だったこともあり、スタッフの目標設定・評価面談をすることが毎半期あったのですが、メンバーが納得できないことがあれば、納得できるまで時間をかけて面談したり、日を改めたりしながら面談を続けることにこだわりました。本人が面白いとか楽しいとか思っていないと前向きな発想は絶対に出てこないと思っているので、相手がどうやったら前向きに楽しくできるだろうかとか、どうやったら勇気づけることができるかをいつも考えて行動していました。その後、現在の会社で人事関係の仕事をし始めた頃に、社内研修をプロコーチの方に依頼する機会があって。はじめは事務局として関わっていたのですが、参加者のみんながあまりに楽しそうに研修を受けているのを見て、2回目を開催する際に参加者として受けることにしたんです。参加してみると、そこには嘘をつくことなく本当のことを素直に話せる環境があり、こういうふうに人と関わると自分の話をしたくなるんだ、と気付かされました。そのコーチの人としての在り方に感動し、自分もコーチのような関わりができるようになったら、もっと人の可能性を広げられるようになれるんじゃないかと思い、コーチングの学びを深めることに決めました。自力を鍛え、ひとりで山を登れるようになってほしい――では、和田さんが考えるコーチングの価値はどんなところにあると思いますか?まず、エネルギーの向けどころを定められるようになることですかね。何か熱中するものがあったのに今は見失ってしまったり、目標が理不尽に高すぎて達成できないと感じてしまっていたり、高いエネルギーを持っているはずなのに、その向けどころがわからなくて立ち止まっている人が多いと私は思っています。そんな時にコーチングを受けることで、自分の過去の原体験や価値観を言語化し、大事にしたい心情に気が付き、「やっぱりこの山は自分が登りたいんだ」と思い始めたり、「この山を登ってきたけど、やっぱりあっちじゃない?」と気付き、再びエネルギーをそこに向けて迷いなく進むことができるようになったりしていく。こういうところはコーチが関わる価値として非常に大きいと感じています。さらに、コーチに「一緒に頑張ろうぜ」って言ってもらえること、応援してもらえる存在がいることも重要だと思うんです。「コーチにまた報告したい」とか「応援してくれるから頑張りたい」みたいな気持ちで次のセッションまで過ごしてもらい、コーチングの場で現在の足場・今の気持ちを含めた状況を確認しながら、また一歩ずつ前に進んでいく。そうやって、自分の足を使って登る経験が重なっていくので、次に登る山は自分で発見できるようになったり、自分の癖がわかるようになって前より登るスピードが早くなったり、どんどん自力がついていくんです。前提として、自己実現は自分の力でやれる方が誰にとっても素晴らしいことだと思っているので、コーチなしでも自力で目標を定め、そこに向けて力強く歩を進めていくことができる人が増えると良いなと思っています。実際、私のクライアントさんでも、はじめは短い間隔でコーチングを行って、自分の足で歩けるようになってきたなといった実感が出てきたタイミングで、3ヶ月に1回とか半年に1回と、だんだん間隔を伸ばしていく方が多いです。次までにこうするんだ!と自分で決めて行動して。コーチングの場で、「どんな山登ったの? じゃあ次は何しよっか」ってまた話して。長期に渡って関わっていけるのは、人生を一緒に歩んでいるようで私自身も楽しいです。ありとあらゆる自分を駆使し、全力で人生を応援―― 和田さんがコーチとして大事にしていることは何ですか?真の答えはクライアントさんしかわからない、ということですね。だから本当の意味での共感と好奇心を大事にしています。その人は何かを感じているし、その感じているものは何なんだろう、というところに好奇心を向けて関わっていく。わかった気にならないことが大切。コーチがイメージしているものが、クライアントさんのイメージしているものと一致しているかどうかは確認しないとわかりません。クライアントさんの描いている世界観を好奇心をもって聴いていくことが大切だと思っています。具体的なアクションについても、アドバイスもできるけど、何よりも本人の中から出てきたものの方が結果的に本人が一番やりたいこと。その方がやった後効果も出てくるし、何より続けられると思います。また、前提や常識を改めて見つめ直すことも大事にしています。多くの人が既存の延長線上で目標や今後の人生を考えてしまいがちなのですが、私は未来志向が強いので、延長線上からはみ出てもいいし、急上昇してもいいと、いつも思っています。思い立ったこの瞬間から描き直せばいろんなことにチャレンジできると信じている。だから「なんかこっちまで行けそうだよね?」って、「こっちの方がもっとワクワクする」というような、今までの前提に縛られない可能性がある方を一緒に見つけながら、「それいいじゃん! 一緒にそっち行ってみようよ」みたいな感じで、背中を押しながら関わっていきたい。そこで掴んだものが、目の前の仕事や今いる世界に反映されていく、それってすごく面白いことだなと。あと、コーチはクライアントさんが自分自身を探求しながら目標達成するためのサポート役なので、目標を達成すること“だけ”をサポートする訳ではないという説明をよくします。ちょっとややこしいのですが、コーチは「あなた」のサポーターであって目標達成のサポートではないので、関わるからには「あなた」を応援しているから、あなたが立てた目標を達成するためだったら、私のスキルや経験を全部駆使して関わるつもりでいます。なのでコーチでありながら、これまでのビジネス経験を活かして時折ティーチングも織り交ぜたり、クライアントさんの要望で模擬面接をしたこともありましたね。今はカウンセリングの勉強もしていますし、あらゆる引き出しを使いながら、あなたの人生のパートナーとして応援するぞオーラ全開でいます(笑)。熱量が多い方と、共に成長していきたい―― 今後の和田さんの展望を教えてください。今後はエグゼクティブだったりハイレイヤーの方へのコーチングは、どんどんチャレンジしたいなと思っています。その人たちの意思決定がより大きな社会的インパクトを及ぼしていくと思うので。また、大きな目標や野望を持っている方ともっと関わっていけると面白いなと思っています。今は大学生とか社会人とかいろんな方と関わっていますが、自分にない発想が出てくるのもそうだし、自分も思いもよらない結論が本人から出てくると、「そこなんだ! そっち行きたいんだ、すごいね!それは思いつかなかった!」みたいな感じで面白いんですよね。その人ならではの面白さがどんな人にもあって、その人のオリジナルなところに触れられるのは私自身も刺激を受けますし、素敵な瞬間に立ち会ってる感じがしています。それをもっと増やしていきたいですね。今の私のぶっとんだゴールはサッカー日本代表のメンタルコーチになることです。サッカーが好きだということもありますが、アスリートとかアーティストのような熱量が多い方に自分が関与することで、めちゃくちゃ面白いことがたくさん起こっていってほしいなと思っています。クライアントさんの成長に私自身も感化されていて。ウォーっみたいな人と一緒にウォーってなりながら進んでいきたいですね。私自身が枠にとらわれない発想をもって、人生を楽しんでいなければ、相手の可能性を真に信じることはできないと思っています。――では最後に、改めてコーチングをおすすめしたいなという方を教えていただけますか?何かを決断しようとか、人生の岐路に立ってるなっていう感覚がある人にコーチングをお勧めしたいですね。その選択が正しいって改めて納得できるかもしれないし、やっぱこうだなって思うかもしれない。ひとりで考えるにはやっぱり限界があると思うので、ちゃんと自分と向き合う時間をプロと一緒に持つと後々選択した自分に後悔がないんじゃないかと思っています。[取材・文]石山尚実 [編集]國保まなみ [撮影]伊藤圭※撮影場所:NagatachoGRiD