コーチングは、対話を通じて個人の可能性を最大限に引き出し、目標達成へと導くことを目指すコミュニケーションです。しかしコーチングを具体的にどう実践すべきか、イメージできていない方も、まだまだ多いのではないでしょうか。職場での人間関係の構築、チームワークの向上、リーダーシップの発揮など、コーチングが役立つシーンは数多くあります。この記事では、コーチングの基本からその効果、さらには効果的にコーチングを行う方法まで、わかりやすく解説していきます。コーチングは、新卒社員のフォローから幹部社員の育成まで、仕事におけるさまざまな場面でその価値を発揮します。この記事を読むことで、コーチングを理解し、日々の業務や人生においてその力を最大限に活用するヒントを得られるでしょう。今回は、ZaPASSのプロフェッショナルコーチである横峯智子コーチに、コーチングを実践すべき具体例についてお伺いしました。コーチングとはコーチングとは、シンプルに表現すると、「クライアント(コーチングを受ける人)が自身の願いを明らかにして行動できるよう、コーチがサポートすること」になります。これはコーチがアドバイスを直接与える「ティーチング」とは似て非なるものです。質問を通じてクライアントが自身の考えを整理し、新たな視点を発見し、解決策を自ら見つけるためにサポートします。クライアントはコーチとの対話を通じて自分の内面と向き合い、自己理解を深めることで、よりよい選択をし、目標に向かって自発的に行動するようになります。コーチングについてはこちらの記事を参考にしてください。【コーチ監修】コーチングとは?意味やメリット、実践するためのポイントをわかりやすく解説コーチングの効果組織力が向上するマネージャー層がコーチングスキルを高めるメリットとして、組織力の向上が挙げられます。信頼関係が深まり、コミュニケーションが取りやすくなることで、組織内の関係性が良くなる効果が期待できます。組織全体としての心理的安全性も高まり、今までは言えなかった意見やアイデアなどが出やすくなるでしょう。従業員の主体性が向上する経営者や上司にとって1番期待したいものは、従業員が自走できる状態であるといえます。商品やサービスについてお客様と接する現場の従業員が即時に行動できれば、スピード感のある経営課題の解決に取り組めます。コーチングを取り入れて関わることで、従業員は、指示がなくても自ら考え、自分ごととして課題に取り組めるようになるでしょう。マネジメント層の意識改革につながる最近では1on1を取り入れる企業が増えてきましたが、そもそも1on1のやり方が分からずに困っている方もいます。コーチングを実践することで、1on1の時間を良いものへ変えるヒントになるでしょう。また、コーチングスキルが上がることでマネジメント層自体の意識が変わり、生産性の向上につながるといった効果も期待できます。いまならコーチング解説資料&解説動画無料プレゼント中!コーチングを行うべき具体的な場面新卒社員の入社時新卒社員に対し、最初にコーチングを行うべきタイミングは、内定者フォローの期間です。この期間は、「他の企業からも内定をもらったけどどうしよう」など、気持ちの揺らぎが大きい時期です。内定者が無事に入社するまでのフォローは、人事として非常に大切な役割になります。内定者の方と定期的に話して、その関係をより濃くしていくきっかけとして、コーチングは有効です。たとえば、以下のことを聞いてみましょう。・入社するまでの学生時代の間に、どのようなことをやり切りたいのか?・最初の1年、あるいは3年でどうなっていきたいか?社員からすれば、会社のことをよく知ってもらいたいという希望もあるでしょう。しかし内定者は、会社が自分のことをどれだけ理解してくれるか、その機会が提供されるのかも気になっています。新しく会社に加わる仲間のことを会社がゆっくりと理解していくのは、愛着形成の上でも大切です。内定者フォローの段階で、コーチング的コミュニケーションを取り入れるのは大変効果的です。もちろん、フォローが必要な場面は入社後もあります。学生から社会人へと変化するタイミングで、不安を感じるシーンが多くなるのです。・自分が思っていたことと違う・思うように成長できていない学生の時は決まった期間にテストがあり、それに向けて勉強し、いつ頃卒業し...と、ある程度のスケジュールが決まっていることが大半です。しかし社会人になると、ある程度は自分でキャリアプランを立て、セルフマネジメントしていかなければなりません。セルフマネジメントを学ぶにあたって、コーチングは非常に良いペースメイクになります。ペースメイクは、マラソン競技などにみられる、均等なペースで選手を引っ張る役割のことです。コーチングを受けることで、自分で自分のことをきちんと考えて決める習慣が、若いうちに身につきます。日常的にコーチングを行うことは、新人教育でも有効でしょう。中途社員を迎える時コーチングは、新卒だけでなく中途入社の社員をチームの一員として歓迎するタイミングでもおすすめです。中途社員は新卒と異なり、何かしらの明確なミッションがあり、その遂行を期待されていることが多いでしょう。そのすり合わせをしたり、また早く結果を出さねばという焦りをケアしたりするのに、コーチングが有効です。中途社員は、急激な環境・カルチャー・そして担う役割の変化に対し、戸惑ったり揺らぎを感じたりするものです。このタイミングで、自分が今後どう進んでいきたいのか、落ち着いてしっかり考えられるような機会や時間を提供しましょう。そうすることで、中途社員の不安の解消や、パフォーマンスを最大限発揮できる環境を整えることにつながります。また、中途採用で新しい環境に飛び込む時は、それまで当たり前だと考えていたことを、客観視してアンラーニングしていくことを求められます。「前の会社ではこれが当たり前だったのに」という信念・観念のようなものをメタ認知して、新しい環境に適応するのを手助けするのに、コーチングがおすすめです。いまならコーチング解説資料&解説動画無料プレゼント中!職場復帰を支援する時コーチング的なコミュニケーションは、職場復帰を支援する時にもおすすめです。特に初めて産休・育休を経験する人にとっては、未知のことだらけです。子どもの体調のことなど、自分でコントロールしきれないことが、次から次へと起こります。それまでセルフマネジメントが得意であった人ほど戸惑いやすくなりますし、揺らぎやすくなります。産休・育休期間は、自分の時間がほとんどありません。このような時に「自分は何を大事にしたいのだろう」「自分はどうしたいのだろう」と立ち止まって考える機会をつくることが非常に重要なのです。育休からの復帰後も、会社にキャッチアップしなければ、子育てもきちんとしなければと、自分に思いを馳せる余裕がありません。ですから、育休を取っているタイミングでコーチングするのがおすすめです。復帰後は、定期的にマネージャーや人事がコーチングするとよいですね。また育休・産休以外でも、病気や怪我など、他の理由での休職・復帰のケースもあるでしょう。職場をいったん離脱してからの復帰は、心理的なプレッシャーが非常にかかりやすくなります。コーチングによって感情を受け止めてくれる関係性があれば、安心して復帰できるはずです。部下に業務の改善を促す時たとえば以下のケースにおいて、どのようにコーチングを活かすべきでしょうか?・部下に指示した業務で改善してほしいところがある・部下が目標に対してうまく進捗していない部下にお願いした仕事がうまく言っていない場合、「北風と太陽」の北風のようなアプローチをしてしまっている可能性があります。北風をビュンビュンと吹かせても人が動いてくれないように、強く言い続けるだけでは改善が見込めません。一方、コーチングは太陽のアプローチです。なぜその業務で課題を抱えているのか、なぜ目標に対して頑張れない状況なのかを、しっかりと受け止め、一緒に整理するのです。本人も、どこでつまずいているのかがわからないケースも多々あります。コーチング的アプローチでヒアリングしながら本人に考えてもらうのは、マネージャーが部下にできるサポートのひとつです。マネージャーがしっかりと自分のことを気にかけて、話を聞いてくれて、理解してくれることで、部下も「この人のために頑張ろう」という感情が芽生えてきます。課題がある時に互いに感情を開示することは、状況を打破する一手になるのです。いまならコーチング解説資料&解説動画無料プレゼント中!チームワークに課題を感じる時チームワークがうまくいっていない時は、関係性が硬直し、気持ちの共鳴がうまくいっていません。お互いが見えなくなり「自分の考えや感情を理解してもらえない、理解してもらえない」となってしまうと、心を開きづらくなります。そして協力しあう流れをつくるのが難しくなってしまうのです。マネージャーは、チームのミーティングの場で自分も感情をシェアする必要があります。コーチング的コミュニケーションを社内で実現するためには、まずマネージャーが弱さの開示をするのが大事です。マネージャー自身が不安や葛藤を開示することで、部下もそれを開示しやすくなるからです。喜びや不安など、お互いに感じていることが流通しはじめると、チームの流れはよくなります。あの人がこのように考えているから、私はこうしようと、創造性が生まれます。逆に流通しないと「なぜこうしてくれないの?」という思考に陥りがちです。お互いに想像力を働かせ、協力関係を築いていくためにも、チームでお互いの感情・願い・おそれを開示しあうことが大切です。まずはマネージャーとメンバーの1on1の場で、コーチングを実践してみましょう。1on1でうまく実践できるようになると、チームの場でも使えるようになり、どんどんチームがよくなります。将来の幹部候補を育成する時コーチングは、答えのない問いに対峙することです。あらかじめ答えが用意されたものではなく、結局自分はどうしたいのかという問いに、自分なりの答えを見つけていくプロセスです。会社では、ポジションが上がれば上がるほど、答えを自分で探さなければなりません。誰も答えを用意してくれないのです。・今抱えている事業をどれくらいの規模まで伸ばすべきか・どの方向性に持っていくべきかこれらの問いは、「上司が言ってくれたことをやっていく」というマインドのままでは解決できません。解決するには、周囲のさまざまな状況・情報・感情を加味した上で選択しなければなりません。選択するには、ビジネスの基礎体力・筋力・意志決定力が必要です。これらは一朝一夕に身につけられるものではなく、常に自分を磨き続けなければいけません。ストレッチゾーンに立ち続けることの 耐性をつけ、向き合い続ける練習も必要です。「もう自分はここで充分ですという」コンフォートゾーンではなく、最高の自分を目指すのです。コーチングを定期的に受け続け、答えのない問いに向き合い続ける練習は、これらの力を身につける鍛錬になります。コーチングの内容も、一般社員のように思考を整理したり不安を解きほぐすだけではなく、その人が考えてもみなかったダイナミックなゴールを描くセッションに変わっていきます。幹部育成にコーチングを活用するのであれば、エッジに立ち向かいながら答えのない問いを突き詰めて考える、そのような日常をつくっていけるよう、サポートするのが効果的でしょう。社員が不安や悩みを抱えている時不安や悩みを抱えている社員へのコーチングは、しっかりとその不安・悩みを受け止めるのがポイントです。もし傾聴力の高い人が周りにいれば「本音を伝えてみようかな」「自分の状況を伝えてみようかな」という気持ちになります。逆に傾聴のベーシックなスタンス・スキルがない人しかいなければ、打ち明けられず、自分の想いを開示できずに辞めてしまったり、パンクしてしまったりする可能性があるのです。このような実態に陥る前に「このマネージャーや人事担当者なら、話を聞いてくれそう」「評価・判断することなく、自分のことを受け止めてくれそう」と認知してもらいましょう。そうすれば取り返しのつかない事態になる前に、その社員をサポートできるチャンスが訪れます。もし、不安や悩みがある社員を無責任に元気づけたり、鼓舞したらどうなるでしょうか。その場では元気になるかもしれません。しかしその元気は長続きしません。根源的な悩みや不安が、解決されていない可能性が高いからです。社員が抱える不安の裏側にはどのような気もちがあるのか、その悩みにはどのような願いがあるのかを一緒に解き明かしていくことで、根本にたどり着ける可能性がぐっと上がります。そして「不安に感じる必要はなかったな」と自分で気づかせることで、ストンと腹落ちして、また前を向いて歩けるようになります。そのためにコーチングをするのは大変有効な手段なのです。いまならコーチング解説資料&解説動画無料プレゼント中!コーチングを効果的に行う方法職場でコーチングを取り入れる場合、下記のようなポイントを抑えることが大切です。期待値調整をするコーチング的関わりをする際、事前の説明を行いましょう。具体的には、コーチングというコミュニケーションの特徴や、通常のコミュニケーションとの違いを説明しましょう。また、この時間の目的を合意しましょう。マネジメントにおける普段のコミュニケーションとは異なる場合が多いので、前提の共有がないと、「どうしてこんなに傾聴されるんだろう」「どうしてこんなに自分のことを質問されるんだろう」と、相手が戸惑ってしまい、期待する効果が得られない場合があります。日々の積み重ねにおける信頼関係の構築コーチングの効果を発揮するには、相手に安心して本音を話していいと思ってもらえる、つまり信頼関係があることが大前提です。ですので、普段から良い関係を築く努力が必要です。最短最速思考を手放すコーチングは、最短最速で課題を解決することを目的としていません。コーチ側が答えや結論を急いでしまうと、相手はじっくり自分の話や思考に集中することができません。職場で活用する際も、1回のコミュニケーションでメンバーが答えに辿り着いたり変化することを急がず、時間がかかりうるものであることを理解して行いましょう。【ご案内】コーチング解説資料&セミナー動画無料プレゼントここまで読んでくださった方に、ビジネスパーソン向けコーチングスクール「ZaPASSコーチ養成講座」監修の解説資料と、2.5時間分のセミナー動画を無料プレゼントいたします。よろしければお役立てください。プレゼントの受け取りはこちらまとめコーチングは、新卒入社・中途入社・職場復帰支援・そして業務改善促進など、さまざまなシチュエーションで有効な手法です。そして個人の内面にフォーカスし、メタ認知の能力を高めることで、価値観や目標を明確にし、自信を持って前進できるようサポートします。内定者のフォロー期間から始めることで、新卒社員は自己管理能力を身につけ、中途社員は新しい環境への適応をスムーズに行えるでしょう。また、産休・育休からの復帰や長期休暇からの職場復帰を控える人々に対しても、不安を軽減し、自信を持って仕事に戻りやすくなります。指示や命令ではなく、理解と共感に基づくサポートが、部下のモチベーション向上につながります。コーチングを通じて自己認識を深め、自らの行動や決断を促すことは、個人の成長だけでなく組織全体のパフォーマンス向上にも寄与するのです。ぜひコーチングを組織内での人材育成や問題解決に活用してください。いまならコーチング解説資料&解説動画無料プレゼント中!監修者/インタビュイープロフィール横峯智子氏:ZaPASS登録コーチ / ZaPASS アカデミー事業責任者/株式会社ガイアックスコーポレートカルチャー推進室責任者 兼 社内コーチ東京大学大学院サステイナビリティ学修士課程を修了後、株式会社ガイアックスに入社。子会社の社長室立ち上げ、新規事業立ち上げなどを行なった後、コーポレートカルチャー推進室責任者に就任。ZaPASSコーチ養成講座を修了後、ZaPASS登録のプロフェッショナルコーチとして活動をしながら、300名を超える修了生を抱えるZaPASSアカデミー事業部の責任者を務めている。2019年にコーチとして活動を開始し、2024年1月現在までに100名を超えるクライアントと、合計400時間のコーチングセッションの時間を共にしている。 ■関連記事【コーチ監修】コーチングとは?意味やメリット、実践するためのポイントを解説コーチングはどうやって学ぶ?おすすめの勉強法や効率よく学ぶ方法をご紹介コーチングに資格は必要?資格の種類や費用、取得するメリットをご紹介コーチング学習にスクールや講座は必要なの?メリットや選び方を徹底解説コーチングを学ぶためにおすすめの本7選!メリットや学ぶ方法を解説コーチングとティーチング、カウンセリングやコンサルティングの違いを解説コーチングを仕事にする方法は?仕事内容やメリット・デメリットを紹介します4つのコミュニケーション欲求タイプとは?コーチングでの活用法やタイプを見分ける方法、接し方についてご紹介ビジネスコーチングに必要なスキルとは?トレーニング方法やスキルアップについて解説子育て×コーチングとは?メリットやデメリット、注意点について解説コーチングのGROWモデルとは?具体的な質問の例や効果的に取り入れるためのポイントを紹介コーチングに必要不可欠な傾聴・質問・フィードバックについて徹底解説コーチングコミュニケーションとは?方法や大切な12つのアセスメントについて解説