【課題・導入背景】・トップダウンに依存せず、個々人で最適解を考え実行する組織を形成したい・コーチングにより、マネージャー自身の内省を支援し、自律性を高めたい【導入内容】・1 on1 コーチング(マネージャー)【成果】・マネージャーの内省支援・自律性の向上・上司と部下の関係性の向上2020年10月、ヤフー株式会社はリモートワークの回数制限とフレックスタイム勤務のコアタイムを廃止する「無制限リモートワーク」を導入しました。先行きが不透明で予測困難な状況を表わす「VUCA」がビジネスでも用いられるようになったのは2010年代ですが、その時代の波を捉え、それを乗り越えるための先進的な取り組みを進めてきたのがヤフーです。「正解がわからないからこそ、内省をベースにしたコーチングや1on1に取り組んできた」と語るのは、同社ピープル・デベロップメント統括本部 ビジネスパートナーPD本部の吉澤 幸太さん。昨年からはその取り組みの一環として管理職を対象にZaPASSのコーチングサービスを導入。その推進役を担当している吉澤さんに、ヤフーの掲げる人事戦略の方針と1on1コーチングの接点について伺いました。場所と時間の制限から働く人を解放すれば、パフォーマンスが向上するのではないか――2014年の「どこでもオフィス」に始まり、ヤフーは働き方を精力的にアップデートし続けてきています。その根底には、どのような考えがあるのでしょうか。根底にある思いは「働く人を場所と時間の制限から解放してみよう」というものです。“個々人のパフォーマンスを最大化するにはどうしたらよいか?”という問いの下で、さまざまな取り組みを進めてきました。例えば、スポーツ選手が目を見張るような活躍ができている理由の一つは、コンディションを良好な状態で保ち続けることにこだわっているからだと思います。我々のようなビジネスパーソンも、場所や時間という制限がなくなった方がコンディションを整えやすくなるかもしれません。もちろん、これは「個々人がしっかり自己管理できる」という前提でのみ成り立つ話ですので、会社が環境を整えるだけではなく、メンバーが自律的に自己管理の手法を学ぶことも必要です。会社は場所や時間に縛られない環境を提供し、個々人は自律的にコンディションを整えることに注力する。この両輪がそろったときに、高いパフォーマンスが発揮される。この考えをもとに制度設計をしてきました。時代を先取りして意識していたVUCAの概念。個々人の自律が求められる時代――具体的には、いつ頃からどのような取り組みをされてきたのでしょうか。具体的な取り組みとしては2014年に始めた「どこでもオフィス」という制度です。これは「どこでもいいから、自分が一番パフォーマンスを発揮できる場所で仕事しよう」というもので、最初は月に2回オフィス外から働ける取り組みとして始まりました。それが好評で、月に5回、つまりおよそ週1回へと回数が増えていって…。そんな折に昨今のコロナ禍となり、回数制限の撤廃を決めました。時間に関しても、フレックスを取り入れて制限をなくしてきています。――個々人が自律的に自己管理をしながら働くという方向性は、どのように生まれたのですか?1996年の創業時から井上(井上雅博氏)によって育て上げられたYahoo! JAPANは、サービス開始以来ずっと継続して増収増益という躍進を続けていました。しかし2012年に経営層が入れ替わりました。ソーシャルメディアやスマートフォンが普及・台頭してきたことで、“困ったら井上に頼る”という姿勢から脱却して自律性を持つことが求められるようになったという背景がありました。新体制になった当時、社内では「スマホ大陸」という表現がよく使われていました。私たちは海を渡って「パソコン大陸」から「スマホ大陸」に移らないと生き残れない……それが共通認識でした。しかし、その道筋は誰にも分かりません。この言葉は、井上の後を継いだ宮坂(宮坂学氏)が折に触れて発していたのですが、「これからの時代はトップダウンに頼るのではなく、個々人が最適解を求めて走ってほしい」と組織の方向性を大きく変えました。大きな艦隊を編成してみんな一緒に航海するのではなく、各々が小舟に乗り換えてそれぞれの試行錯誤で新大陸に行きついてくれと。その結果、途中で沈没してしまう舟もありましたが、無事「スマホ大陸」にたどり着いた数々の舟たちが、新しいYahoo! JAPANを作っていくことになりました。そうした環境下で、各人に自律性を求める考え方が醸成されていきました。――最近は「先の答えがわからない、不確実性が高いVUCA時代の到来」という言葉がよく見られますが、10年前からすでにそのような意識を持たれていたのですね。当時はまだ、VUCAという言葉はビジネスの場で用いられていなかったと思いますが、そういう時代の流れは早い段階で感じ取っていたと思います。弊社の創業当時である1997年頃は「インターネットは日本では流行らない」と言われていましたが、その5年後の2002年くらいにはブロードバンドが普及し始めて「ウチもインターネットを取り入れないと」と言われるようになりました。時代の流れの早さを感じざるをえない状況でしたね。そうこうするうちに、2005年頃にはブログやSNSといった次世代インターネットの波が押し寄せ、Twitterも一部で盛り上がりを見せ始めました。そして2007年にiPhoneが登場し、そこでまた世界が一変しました。次に何が起こるか全くわからない中で、わからないと言う時間すらなく、常に新しいことを始めなければいけない……それがずっと続いているように感じます。この状況はきっとこれからも変わらないでしょう。コーチングによる内省が、荒波を乗り切るアイデアを生む――御社は1on1やコーチングを積極的に取り入れていらっしゃいますが、不確実性が高い状況下で、メンバー個々人が新しい大陸に行き着くための施策だったのでしょうか。個々人に考えてもらわないと困る、という状況だったからこそ、それを促すために1on1やコーチングを取り入れてきた感じですね。正解がわからない中で「答え」の打率を上げるためには、一部のカリスマのアイデアだけでなく個々人からにじみ出てきたものにも価値を見出し、等しく判断材料にした方がいいという考え方です。課題を目の前にしたとき、ベテランならどう感じるか、能力が極めて高い人はなにを発想するか、去年まで学生だったような若手はどのような答えを出すか……。また、集団の中で話す言葉と、1on1で話す言葉は変わります。そうしたケースも踏まえ、あらゆる場面で内省をして、あらゆる言葉を味が出なくなるまで噛みしだいてもらいたいと思っています。――正解がわからないからこそ、個々人の内省を促すことが狙いなのですね。1on1やコーチングの導入はスムーズにいきましたか?2012年に経営陣が入れ替わり宮坂の体制になったと先ほどお話しましたが、当時の私はYahoo!ニュースにいてサービス作りに従事していました。それが、突然人事に異動になり、こうした取り組みを引き継ぐことになりまして。人事に異動してから最初の仕事が、1on1を普及させるために当時600~700名いた管理職にコーチングの研修を受けてもらうというものでした。プロコーチにお越しいただいて朝から晩まで研修を回し続けて、新たに数百名が登用されたら研修の内容をその都度アレンジして…と、目まぐるしい日々でした。当時は日本でもAmazonやGoogleがますます影響力を増してきた時期です。“どうすれば彼らと勝負ができるのか?” 誰もその答えは持っておらず、少しでもいいアイデアを出してとにかく行動することが求められました。そんなとき、危機を煽るやり方をするとみんなが委縮してしまいます。「正解か分からないけれど、やってみる価値はある」と前向きにチャレンジできる空気を醸成しなければ、土俵にすら上がれません。コーチングはそういう場面において、強力であり伸びしろを感じるアプローチでした。メンバーを萎縮させず、成長を促し、一方でしっかりと本質を突き付ける。コーチングって一見すると優しそうなイメージですが、実際は格闘技みたいなものですよね。そうすることで、メンバーたちが無暗に上下関係にとらわれずにお互いの可能性を出し切り合える…それがコーチングの魅力の一つだと思います。企業として抱えているニーズに、柔軟に寄り添ってくれたのがZaPASSだった――数あるコーチングサービスの中から、ZaPASSをパートナーに選んでいただいたのはなぜですか?パートナーを探すにあたって、外せない条件が二つありました。一つは、本人の内省を深めることにフォーカスしてくれること。もう一つは、多様な悩みを持つ管理職のビジネスにおけるテーマを扱うことができるかどうかです。この条件をどちらも満たしてくれそうなのは数社のみで、その中からZaPASSさんのトライアルを受けさせてもらうことにしました。――トライアルを経て、どのような感触をお持ちになりましたか?受講者の内省を深めることにきちんとフォーカスしていただける、経験豊富なコーチの方が1人や2人ではなく大勢いらっしゃることが分かり、安心してお任せできると感じました。もう一つ大きかったのは、こちらの要望を丁寧に聞いていただけたことです。お話したように、弊社は人の持つ可能性を信じ、ZaPASSさんにお願いする前からずっと1on1やコーチングを取り入れてきています。その結果、「今はこういうことがしたい」というプログラムが社内で明確に固まっており、全体像を汲み取っていただいた上で、自分達だけでは完成できない部分を支援していただきたかった。もちろん、コーチングの提供側にもさまざまな想いがあるでしょう。「そのやり方より、こちらのやり方のほうがいい」、「ZaPASSの持ち味を生かすにはこうした方がいい」……そのように感じることもあったはずです。しかし、ZaPASSさんは私たちのやりたいことを第一に考えた上で、ZaPASSとしての持ち味、強みを活かす組み方を柔軟に考え、お付き合いくださいました。これもありがたかったです。コーチングを生かし、人事の領域でチャレンジを続けていく――コーチングを導入して、受講者からはどのような声が上がりましたか?月並みかもしれませんが、「社外の人だからこそ話せることがある」、「話を聞いてもらえるだけでこれほど効果があるとは思わなかった」という言葉が出てきています。内省は一人でも行えますが、誰かに問いかけられることでしかたどりつけない深さまで到達できるのがコーチングの良さだと思っているので、メンバーたちにその感覚を味わってもらえたのは何よりでした。プログラム実施後にアンケートを回収したところ、全体的に満足度が高く、特にコーチングセッションが助けになったという声も非常に多かったです。また社内の定量調査においても、上司と部下の関係性について向上が見られました。10年ほど前までは社外にコーチングを依頼するとあまりにもコストがかかりすぎて、社内コーチ制度のような取り組みを行っていたりもしたのですが、今はこうして他社さんにもリーズナブルに依頼できる環境が整って助かりますね。――今後はどのように御社内でコーチングを活用していきたいとお考えですか?マネジメントスキルというものは多岐にわたっており、特に業務管理と人の管理が重要になります。その両方を備え、磨き続けられる人が集まって、組織は初めて強くなります。しかし、物事には説明を受ければ理解できることと、体験しなければわからないことがあるとするなら、コーチングは後者ではないでしょうか。興味を持ってくれないメンバーにどのようにして入り口まで来てもらうかは、これからも頭をひねらないといけません。人事は「100点で当然」という世界観が強い領域です。事前にきちんと設計して、トラブルなく見立て通りにいく…それこそが人事のしかるべき姿だと。しかし、メディア業界出身の私からは「3割当たれば大成功」みたいなマインドが抜けきらず、当初は矛盾を抱えながら業務と向き合っていました。そんな折、当時の社長だった宮坂が「人事もサービスプロダクトだから、まずはチャレンジして、失敗したらフィードバックをもらって修正していくようにしたい」と全社に向けたメッセージの中で言ってくれたことを思い出します。「人事は永遠のベータ版だ」という言葉が印象的でした。経営陣からは人事もチャレンジをしてよい、むしろチャレンジすべきだと後押しされ、環境を整えてもらったと感じています。人事として、コーチングに関して、これからもトライを続けていきたいと思っています。[取材]足立愛樹 [編集]横峯智子 [撮影] 伊藤圭コーチングの法人導入に関するお問い合わせはこちら--------◾️【法人でのコーチング活用に興味がある方はこちら】▼法人向けコーチングサービス『ZaPASS for Enterprise』・1on1コーチングプログラムhttps://zapass.co/business-coaching・コーチング研修プログラムhttps://zapass.co/business-coaching/training▼資料請求フォームhttps://zapass.co/business-coaching/request▼その他の法人でのコーチング活用事例https://zapass.co/blog/tag/case-business--------◾️