ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、綱嶋陽子さんのインタビューです。綱嶋陽子|コーチ1986年生まれ。和歌山県出身。関西学院大学卒業後、不動産、人材、ITサービス、広告など様々な企業にて一貫して人事として従事。「人生の大事な選択に関わっている」という意識を大切にして採用や育成に携わる。現在は独立し、喜怒哀楽の感情を味わい尽くし「しなやかに強く美しく生きる人」を増やしたい、という想いから自分自身の可能性に真摯に向き合いたいクライアントの伴走者として活動。約800人に対するキャリア面談の実績あり。企業の人事という枠を超えて、個人の人生の支援をしたくなった――綱嶋さんがコーチになった理由を教えてください。いち企業の人事として他者に関われる範囲の限界を感じ、別のやり方を模索したくなったからです。もともと「やるからには最後までやりきりたい」性格で、採用活動においても人生の大事な選択に関わっている意識を持ち、誠実に向き合ってきました。ですが、会社の人事である以上、どうしても支援の範囲が「その会社の中でどう頑張るか」に限られます。それがもどかしくて。もっとフラットに、困っている個人に対して支援はできないものかと悩むようになりました。そんな折、お世話になった方がされていると聞いていたコーチングの存在を思い出しました。将来的にはいくつかの顔を持って幅広く活動したいと考えていたため、「コーチングを勉強してみよう」と思い至りました。――現在は独立されて、プロコーチも含めて様々な活動をされていますよね。コーチングを勉強し始めてから独立するまで、どんな経緯があったのでしょうか。「自分が実現したい世界ってなんだろう」と考えるうちに、自然と独立の選択肢が出てきたんです。企業の中で働くよりも、自分が思い描く世界観を実現するための活動を優先してみたくなって。「可能性をひらき、しなやかに強く美しく生きる」が、今の私が大事にしているビジョンです。人生には辛いこと、傷つくこと、自信を無くすことがありますよね。でも、人はそういった経験を力に変えて前に進める。それが、しなやかな強さであり、美しさ。私自身そう生きたいし、そういう生き方をする人を増やしたい。コーチングはもちろん、その他の対人支援も通してこのビジョンを実現したいんです。独立も、私自身の可能性をひらく挑戦のひとつだと考えています。「独立して生活できるのか」と現実的な心配もしましたが、それよりも挑戦したい気持ちが強くなり、独立に至りました。コーチングで自分と真正面から向き合い、人生をチューニングする――綱嶋さんの考える、コーチングの価値を教えてください。自分の中に眠る純粋な想いや、抱えている問題に正面から向き合う大切な時間を過ごせる。これがコーチングの大きな価値の1つです。コーチングのセッションって、100%自分のための時間ですよね。これって日常ではなかなか持てない場だなと思っていて。全力で傾聴し、自分の可能性を信じてくれるコーチとの対話は、ほかには代えられません。そんな場や時間だからこそ、自分の人生をより幸せに生きたいと考えたときに、目指したい未来と現在を認識し、何をやっていくのかをチューニングできる。「私が大切にしたい価値観はなんなんだろう?」と立ち返る場になるんです。自分にとって何が大切なのかが明確になれば、より納得度の高い選択や決断ができますよね。また、そうして日々行動して新しい経験をすると、考えも変化します。その都度立ち止まり、必要であれば進み方を変えてみる。コーチングの時間が定期的にあると、そういうアップデートもスムーズにできます。私も今まさに、独立して様々な挑戦をしている段階ですが、進む過程でやっぱり迷いも出ます。「これ本当にできるのかな?」「私には無謀なんじゃないか…」と感じて二の足を踏んだり、SNSで見かけた誰かと自分を比較して落ち込んだり。そんなときにコーチに「そもそも、なんでこれをやりたいんですか?」と問われると、ハッとします。自分にとって何が大事なのかに立ち返って、それに気づけるんです。そしてまた、前に進める。目的地を定めて進み、迷ったら立ち止まって、また新しい目的地を見据える。その繰り返しによって理想的な人生が作られていきますし、自分自身の納得度も高まるはずです。「話してスッキリ」で終わらない。現実を変化させるためにコーチングがある――コーチとして大切にしていることを教えてください。今は、キーワードとして「安心」「本音」「向き合う」の3つを大切にしています。大前提として、クライアントが「安心」できる場を創る。その上で、コーチとクライアントが「本音」で対話できる時間を提供する。安心と本音があってはじめて、クライアント自身が自分の想いや感情に「向き合う」ことができるんです。苦しいことや辛いことに向き合いたくないタイミングもあると思います。無理に向き合わせるのではなく、クライアントにとって必要なタイミングであれば、「今言葉にしていないことはありませんか?」「本当はどう思っていますか?」と、一歩深く切り込む勇気はコーチとして大切にしています。なぜなら、幸せな人生というのは、たくさんの感情を味わう人生なのではないかと思っているからです。自分と向き合う苦しさもあれば、大事にしたい価値観を見つけて実現していける喜びもある。さまざまな感情を味わうなかで幸せに向かっていけると思うんです。だから、想いや感情にしっかりと向き合える場を提供したいなと思っています。コーチングはその時々のクライアントを見つめて、一緒に創っていく場です。安心安全に本音を出せて、時に勇気を持って自分と向き合えるように、クライアントを丁寧に見つめていきたいです。あともうひとつ大切にしているのが、「現実の変化につなげる」ことです。コーチングを受けて、感情や思考を整理するのはもちろん素晴らしい。でも、それだけでは現実は変わりません。重要なのは、クライアント自身が実際に行動を起こすかどうかです。セッションで話した内容と現実を接続させるために、どんなアクションをするかを扱うのはもちろん、ポンポンと軽く背中を叩いて行動を後押しするような、良い意味での軽快さも大切にしています。自分に真摯に向き合いながら行動していく人へ、純度の高い想いを形にする場を提供したい――今後の展望を教えてください。純度の高い想いを形にする場の提供者になりたいです。探求して可能性をひらきつつ、現実も動かしていく、そんなバランス感覚を持ったコーチでありたいですね。私はキャリアのスタートから一貫して人事として働いてきましたが、「本当にこの仕事を一生やりたいんだっけ?」と長い間モヤモヤしていました。これを放置したまま働く選択肢もあったでしょう。でも、そうせずにモヤモヤと向き合った結果、今はほかの仕事や働き方にも挑戦できていますし、そこに喜びも感じています。自分自身に真摯に向き合って、悩みながらも、自分が本当に求めていること、実現したいことを明確化していく。そのお手伝いができたらなと。自分自身の可能性を感じたい人、可能性をひらいていきたい人たちをサポートしたいですね。また、「こうしたい」という気持ちに気付いていても行動に移せないと感じている人にも、ぜひ関わりたいです。「やりたい!でもできない」状況って、もどかしくて辛いですよね。それでも、行動するなかで新しい何かが見えて、次にどうしたらいいかが分かる場合はすごく多い。だからこそ、そのはじめの一歩をサポートしたいんです。やっぱり、どんなに小さくても行動して、そこから何かを感じて、また挑戦するのが大切です。そうやって人生の満足度が上がると思います。だからこそ、想いを言葉にするだけではなく、実際に行動に移し、想いが形になる過程も支援したいです。[取材]大門史果 [文]山﨑浩司 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭※撮影場所:NagatachoGRiD