「されてきたマネジメント」が通じない“今”のマネジメント世代へ。あなたに知ってほしいコーチングという選択肢 #三橋新

「されてきたマネジメント」が通じない“今”のマネジメント世代へ。あなたに知ってほしいコーチングという選択肢 #三橋新

やるべきことは上層部が決め、それを遂行するために部下に指示を出す。そしてその進捗を管理し、時には発破をかける。日本企業におけるマネジメントのイメージとは、長らくそういった「管理中心」のものだったのではないでしょうか。

しかし、そんなマネジメントが効かない、特に若手のマネジメントがうまくいかないという課題感を抱える人が増えています。

一定の型と正解があった時代から、先の読めない変化の激しい時代へと進む中で、上の世代と同じ管理型マネジメントでは成果が出せなくなっているのです。

求められるマネージャー像が変わっていく今、ビジネスパーソンとしてどのようにこの変化に対応していけばいいのか。Sansan株式会社の社内コーチである三橋新さんに、メンバーのパフォーマンスを最大化するこれからのマネジメントについて伺いました。

三橋 新|プロフェッショナルコーチ
順天堂大学を卒業後、株式会社フルキャストを経て、Sansan株式会社に入社。2015年、米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)取得。名刺のデータ化を行うオペレーション部とIT&ロジスティクス部を兼務しながら、同年11月から人事制度として導入されたコーチング制度「コーチャ」を企業内コーチとして推進する。2016年9月より人事部専任となり、コーチングならびに社内制度設計を担当。

上の世代と下の世代、板挟みになるマネージャーが抱える課題感

ーSansanで社内コーチをされていたり、個人でも多くのビジネスパーソンのコーチングをしている三橋さんですが、現在のマネジメント層が置かれている状況について、どう考えられていますか?

中・大規模の会社のマネージャーによく見られるのが、40代の昭和型のマネジメント層と20代の若手メンバーの板挟みになっている状態です。自分はトップダウン型のマネジメントをされてきたけれど、同じことを部下にしてもなんだかうまくいかない。そんな葛藤を抱えています。

上の世代のやり方を真似ても上手くいかないことが多いのは、時代の変化ゆえだと思うんです。今まではどんな仕事でもある程度の「正解」があった。だから、経験や知識からその正解へと導けるマネージャーに人がついていったんです。

けれども今は、変化が速く、これまでの経験から正解を導き出すのが難しい時代です。優秀なプレーヤーが実務経験を積んだ上でリーダー、マネージャーになり、自身のノウハウをベースに部下を率いる形が機能しない場面もどんどん増えてくるでしょう。

そこで求められるのは、「自ら適切な判断を下し、指示を出す」トップダウン型のマネジメントではなく、部下を含めて様々なメンバーからの意見を引き出し、フラットな視点で状況に合った判断できるマネージャーだと思います。

例えば営業部のマネージャーで、自分自身は飛び込みやテレアポなどの「足で稼ぐ」スタイルの営業をずっとやってきていたとしましょう。でも今は、オンラインで集客し、ある程度見込み度の高い顧客に絞り込んでアプローチするといった手法も主流になっていますよね。

そこで部下から「新しい手法を取り入れたほうがいいのでは」と提案されたとき、「今までのやり方のほうがいいに決まっている」と意固地になってしまってはいけない。マネージャーとして、自身がプレイヤーだったときにはやったことがない手法であっても、必要であれば挑戦するべきです。新しい手法については、自身よりも詳しい部下がいたりするわけで、その場合はそういったメンバーに相談しながら、教えてもらいながら進めていくといった場面もあるかもしれません。

「上から言われた通りにやれ」が、どんどん通じなくなる中で、マネジメントスタイルも変わっていく必要があります。

「多様性を活かす」なんて簡単に言えることじゃない

ーでは、これから必要とされるマネジメントを実践していくには、どうしたらいいのでしょうか。

これからのマネージャーが最も大切にすべきことは、「いかにメンバーの個性を引き出し、パフォーマンスを最大化できるか」という視点です。限られた上位役職者だけで意思決定するのではなく様々なメンバーの意見を取り入れていくためには、一人ひとりを尊重し、その人が自分らしさを最大限発揮できるような環境を作っていく必要があります。

つまり、個別化と個性の最大化です。相手の特性に合わせて関わり方を調整すること。その中で、その人だからこそできることをやってもらい、個性を活かすこと。これが重要です。

ー考え方としてはわかるのですが、一人ひとりの個性を活かすのって難しいですよね。

本当にその通りで、本当の意味で個性を尊重し、活かしていくのはとても難しいです。

最近では多様性という言葉がよく使われますが、多様性なんてそう簡単に実現できるものではない。自分とは全く違う意見や考え方を持つ人たちを受け入れてパフォーマンスを引き出していくって、ある程度の苦しさがあります。それまで自分が正しいと思っていたやり方や考え方を手放さなきゃいけない場面もあるでしょう。

そんなときに必要になってくるのが、コーチングを取り入れたマネジメントです。コーチングの考え方やスキルを身につけることで、自身のマネジメントスタイルを変革していけると思います。

管理型マネジメントを脱却した先にある、コーチング型マネジメントとは?

ーマネジメントにコーチングを取り入れると、どのような変化が起きるのでしょう?

コーチングを取り入れることよって、「話の聞き方」が大きく変わります。

メンバーの個性を活かし、パフォーマンスを最大化するには、相手の意見を聞くことがとても重要です。でも、多くのマネジメント層は、部下の話を本当の意味では聞けていません。

特に、プレーヤーとして優秀だったマネージャーは、課題解決能力の高さゆえに自分の意見こそが正解だと考えがちです。自身の価値観で部下の意見をジャッジしてしまい、最後まで聞かずに否定したり、自分の意見を押し付けたり。部下としては、上司に合わせた意見しか言いにくく、本心を話せなくなってしまいます

ここでコーチングの傾聴の考え方を学ぶと、「自分の判断を保留し、相手の話を聞ききる」ことができるようになります。

自分の意見はあくまでも仮説のひとつで、ほかにもいろんな考え方や選択肢がある。そんな風に捉えられるようになって初めて、本当の意味で多様性を受け入れ、相手の話を聞けるようになる。

傾聴ができるようになると、部下の話し方や内容はどんどん変わっていきます。結果として、他人の意見を受け入れることの価値も実感できるはず。部下の意志やモチベーション、仕事について感じていることを深く知ることで、マネージャー自身の考え方の幅が広がり、思いもよらない変化を感じることでしょう。

例えば私の同期の一人は、営業部長になった当時、部下のマネジメントについて悩んでいました。とても優秀なプレーヤーだったので、彼の中に「営業の正解」があって、それをメンバーに教えるんだけど思ったように動いてくれない。「言われた通りにやるだけなのに、なんでやってくれないんだろう」と悩んでいました。

コーチングを通して彼が気づいたのは、自分のやりたいことにつながらないと、人は動かないということ。そこから、1対1でランチをしながらひたすら部下の話を聞く「聞くランチ」を定期的に実施するようになりました。

すると、メンバーがどんどん生き生き働くようになったんです。一見マネジメントが難しそうな個性の強いメンバーが集まっていたのですが、それぞれの強みを生かしてチームとして成果を出せるようになりました。

「聞くランチ」によって、メンバーたちは自分がこの仕事についてどう感じていて、どのように進めていきたいのかを整理できるようになり、それぞれに合った方法で仕事を進められるようになったんです。

マネージャーである彼自身のあり方も変わりました。仕事の相談にのるときは、数字の話ではなく、相手の奥にある想いやニーズを引き出した上で会社とどう重ねるかという対話をするように。「まずは成果を出す」という彼の価値判断を保留し、相手の考えにフォーカスすることで、マネジメントが上手くいくようになったわけです。

本音を出せると、人はパワフルになれる

ーコーチング型のマネジメントは、トップダウン型のものとは大きく異なりますね。

そうですね。コーチング型マネジメントは、多くの人にとってパラダイムシフトだと思います。そんなに部下の意見を聞いていたら、マネージャーとしての威厳が保てないのではないか、といった考えもよぎるかもしれません。

ですが、部下の本音を聞けるようになると、実はマネージャーも本音を出しやすくなるんです。そうしてお互いに自分らしくいられると、上司としての立場とか威厳とか、そういう次元の話じゃなくなっていきます。部下として上司として、ではなく、人として相互に影響を与えて成長していく。そんな関係性を築けます

私は「真実と共にある」と表現しますが、自分の本音や本心をさらけ出して個性を発揮できている人って、すごくパワフル。チームのメンバー全員がそういう状態にあり、お互いに自分らしさを発揮していると自ずと成果は出てきます。

だから、自分の中にある「マネージャーの在り方」にこだわりすぎず、ぜひコーチングを学んで取り入れてみてほしい。そして、真実と共に生きるパワフルな人やチーム、組織が増えたらいいなと思います。

※コーチング型マネジメント講座の詳細はこち
https://zapass.co/management-academy/

[文]大門史果 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭

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