多様な感情に向き合い、人生を味わいつくす。コーチングで「自立した選択」をする人を増やしたい #綱嶋航平

多様な感情に向き合い、人生を味わいつくす。コーチングで「自立した選択」をする人を増やしたい #綱嶋航平

ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、綱嶋航平さんのインタビューです

綱嶋航平|コーチ
京都大学文学部4年次を休学し、株式会社ワーク・ライフバランスにて1年間の長期インターンシップを経験。大学卒業後、2017年にグループウェアやチームワークメソッドを提供するサイボウズ株式会社に入社。人事部にて新卒採用チームリーダーを担当。2019年にZaPASS認定コーチの資格を取得。ライフワークの複業として学生・ビジネスパーソン向けのコーチングや、ブログの執筆をサポートするコーチングを実践している。

仕事に活かすために始めたコーチングが、いつしかライフワークに

――なぜコーチングを学び始められたのでしょうか?

コーチングを学び始めた元々の理由は、本業である人事の業務に生かせそうだなと思ったからです。相手の強みを対話によって引き出し、その人が望む未来に向けてサポートしていく部分で、人事の仕事との相乗効果を期待していました。

学びのなかでまず効果を感じたのは、傾聴の姿勢です。相手の良さを引き出す聴き方で、面談や面接の質が変わるのを実感しました。チームリーダーとしてメンバーと1on1を実施する際にも、相手が描くビジョンや理想像に重きを置く関わり方ができるようになりました。

そこから職業としてコーチを目指そうと思ったのは、本業を超えた範囲での価値提供に可能性を感じたからです。

新卒採用を担当しているので学生さんと接する機会が多いのですが、コーチ養成講座を受けながら「学生さんたちの可能性を引き出しつつ、キャリアを支援する関わり方ができたら」と考えるようになって。ただ、人事という立場で学生さんと向き合うと、どうしても「人事の綱嶋」として接しなきゃいけない場面が出てきます。100%彼らのキャリアだけのことを考えられないこともある。

目の前の学生さんの理想の姿に100%コミットするために、人事ではなくコーチとして向き合いたい。そんな思いから、本業とは別に、コーチとしての仕事を始めました。

最初はクライアントを学生さんに限定していましたが、コーチとしてできることも増えていき、今は20代から30代前半までの若手のビジネスパーソン向けにコーチングをしています。コーチとして人と向き合うことは、自分にとって本業と同じくらい大切なものになっています。

多様な感情に向き合うことで、人生はより豊かになる

――綱嶋さんが考える、コーチングの価値ってなんでしょうか?

コーチは、クライアントさんの人生の「たった一度の瞬間」をより味わい豊かなものにしていける存在だと思っています。

1度きりの人生のなかで、一瞬一瞬を味わいきれることってとても幸せだと思うんです。でも、自分を客観視したり内省したりできずに、ただただ忙しいサイクルで動いていると、人生のなかで感じうる感動やワクワクに気づかないまま、平淡に日々を過ごしてしまう。

そんなとき、コーチとの対話を通して自分を振り返ることで、見える世界がいろんな方向に広がる。それまでは認識できていなかった自分の心の動きに目を向けることで、色鮮やかで豊かな人生を歩めると思います。

コーチングを通して出会う感情は、喜びだけではありません。つらい現実や悲しさもあります。でも、そんな苦しさも含めた多様な感情を味わうことで、人生がより豊かになると考えています。

この思いは、クライアントとして受けたコーチングで、「自分の見たくない部分に向き合ったことで人生の解像度が上がった」経験からきています。

あるセッションのなかで、対人関係について、自分が乗り越えなくてはいけない壁が見つかって、自分の過去を振り返ったんです。身近な人との関係性について自分の弱いところや、それによって悲しませたり傷つけてしまった人のことを思い出して、とても悲しい気持ちを味わいました。

でも同時に、苦しさや悲しみに向き合うことでしか得られないものも感じられた。楽しいところにだけ目を向けて逃げる道に甘んじてきた自分の人生と比べたら、セッション後の人生のほうが、より愛せると感じられたんです。

喜びや夢、希望であふれるキラキラとした部分だけにスポットライトを当てることもできる。でも、人生にあるのは光だけではありません。悲しみ、つらさ、痛みなど、影の部分もありありと感じられるアンテナを立てておく。すると、日々の中にある楽しさや、自分の掲げている夢の鮮やかさが増す。光と影の両面を味わうことが大切だと思っています。

可能性の芽をすくいあげ、自立した選択を後押ししたい

――セッションのなかで大切にしていることはなんですか?

クライアントさんが自分自身にフォーカスできるよう、静かな湖畔のような存在でいることです。評価や判断をせず、ありのままの姿や変化をただただ受け止める。波風のない静かな状態で、自分のことをとうとうと話せるような場作りを心がけています。

もう1つ大切にしているのは、クライアントさんの「自立した選択」を支援することです。「こういう人生を選んでいきたい」「こういう自分になっていきたい」というクライアントさんの思いを可能性の芽としてすくいあげて、共に育てていく。そうして、クライアントさんにとっての自分らしい選択を後押しします。

例えば、仕事で成果を出せないことに悩んでいる若手のビジネスパーソンの方がいたとします。自分なりに努力しているのに結果が出ず、「自分でアクションを起こしても成功しないんだ」というマインドになっている。そうすると、自分で考えて自分で選択するのが怖くなり、周りに流されたり、誰かが決めてくれるのを待ってしまったりします。

そんなときは、コーチとしてその人の自分らしさを引き出すような問いかけやフィードバックをしていくことで、少しずつ本来の輝きを取り戻してもらうんです。そこで改めて「どうしていきたいか」を考えてもらうと、環境の影響を取り除いた上での在りたい姿が出てくる。理想的な状態から考えて、自分にとって納得感がある選択ができるんです。

クライアントさんの中から湧き出る願いを逃さず、「自立した選択」へつなげていく。そしてその先に、自分らしい鮮やかな人生を実現していってもらえたらと思っています。

人生を自分で選択していきたいクライアントを勇気づけられるコーチに

――綱嶋さんが「自立した選択」を大切にされている理由を教えてください。

自分で選び取っていく人生の方が、感じられるものが大きいから……でしょうか。

「自立した選択」には、時に苦しみも伴います。正解のない選択肢の中から決断するのは勇気がいりますし、たとえ結果がうまくいかなかったとしても、人のせいにはできません。ただ、そんな苦しみや悲しみを経験するからこそ、より大きな幸せや充足感を得られると考えています。

自分の選択、さらにそこから生まれる結果や自分の感情をすべて自分で引き受ける覚悟を持つ人生は、「こっちに来なさい、その次はこっちよ」と人に決められる人生とは厚みが違います。勇気と覚悟を持って決断し、そこから生まれる感情をめいっぱい感じきることによって、人生はより味わい深くなるのではないでしょうか。

私自身、人生のターニングポイントをふりかえると「自分で選んできた」し、「だからこそ得られるものがあった」と感じます。

大学受験の際に、自分の母校では前例がほとんどないなかで京大を目指したり、大学時代に周りがストレートで卒業するなか1人で休学して東京に移り住む決断をしたり、いわゆる普通とは外れた道を何度も選んできました。

もちろん、辛いことや大変なこともあった。でも、選択によって起きた出来事の責任を自分で取り、その度に考えて進んでいくことで、自分にとっての豊かな人生に一歩ずつ近づいていると感じています。だから、自立した選択を大切にしているんでしょうね。

ただ、私が自立した選択をして来られた背景には、常に進みたい道を応援してくれる周りのサポートがありました。どのような決断であっても、両親や先生が背中を押してくれたんです。もし誰も応援してくれず孤独だったら、ここまでできなかったかもしれません。

だからこそ、自分なりの道を自分で決めて進んでいく人を支援していきたい。どのような結果になったとしても受け入れ、また自分らしい決断をして進んでいく。コーチとして、そんな覚悟を持った個人に伴走していきたいですね。

[文]大門史果 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭

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