コーチングで思い込みの蓋を外し、自分の根源を見つめ直す。個々の存在意義が輝く社会へ #根本 Deacon 雅子

コーチングで思い込みの蓋を外し、自分の根源を見つめ直す。個々の存在意義が輝く社会へ #根本 Deacon 雅子

ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、根本 Deacon 雅子さんのインタビューです。

根本 Deacon 雅子|プロフェッショナルコーチ
大学卒業後、三菱商事株式会社に勤務。ODA海外プロジェクトに関わる。ʼ97年に渡英し、米系ビジネスコンサルティング会社にて米国、欧州、日本の企業を対象に、様々な業種で危機管理や現状問題打破の思考転換を促すコンサルティングワークショップに数多く関わる。
03年に、コーチング会社 Miyabi Consultants Ltd (L.C.L.)を英国で起業し、2019年に日本に戻る。現在では、エグゼクティブ ・コーチング、視点の転換を創るリーダーシップと多様性活用、チームビルディング・組織活性化に特化。

「人ってこんなに変わるんだ」コーチングの衝撃的な魅力

──コーチングと出会った経緯を教えてください。

コーチングを知ったのは、ロンドンのコンサルティング会社で働き始めたときです。

結婚をきっかけに、それまで勤めていた商社を辞め、イギリスに住んでいた結婚相手に合わせてロンドンで仕事を探していました。

そのときご縁があったのが、コーチングをベースにしたアメリカが本社のコンサルティング会社です。ロンドン支店がスタートして1年程でしたので、当時はメンバーも十数名ほどでしたが、そのコンサルティングが持つ力が本当に衝撃的で。

コンサルティングを重ねるごとに、クライアント企業の経営陣の考え方が変わり、新しいプロジェクトが始まり、みるみるうちに会社が変わっていく。「人って、会社って、こんなに変わっていくんだ」と面白さを感じました

人と会社の変化を促していくコンサルティングの力に圧倒されながら、そのベースにあったコーチングにも強く惹かれていき、本格的に学ぶことを決意。

コンサルティング会社での継続的な実践に加えて、カレッジにも通い始め、2003年にイギリスにてコーチングサービスの会社、Miyabi Consultants Ltd (L.C.L.)を起業しました。

自分を俯瞰し、存在意義を問い直す

──根本さんにとって、コーチングの価値はなんですか?

自分を俯瞰することのパワーを、自身の人生に活かせることだと思います。

セッションを通して、自分の今いる場所や進み方を客観的に見つめ直すと、思い込みの蓋を開くことができます。そもそも『思い込み』自体があることに気づいていなことも多々あり、まずは、その『思い込み』があることを認識し、受け止めて、蓋を開けたいと思われたら開けられます。

あるコースをダッシュで進まなきゃいけないと思っていたけれど、そのコース自体誰かに連れてこられたもので、自分が選んだものではなかったことに気づいたり。走らなきゃいけないと思っていたけど、実は走るんじゃなくて泳ぎたかったとか、後ろ歩きやスキップで進んでみたいとか、自分の「こうしたい」が出てきたり。

知らない間に刷り込まれていた思い込みが一つづつ解きほぐされると、目の前の多くの選択肢に気づけるようになります。

そうやって人生の見方を変え、「自分はどうしたいのか」を起点に前に進んでいくきっかけになれば嬉しいですね。

人生を俯瞰し、「本当はどうしたいんだろう」と問いかけることは、自分の存在意義を考えること。存在意義と向き合うことで、個々人の可能性が引き出され、結果的には社会の活性化につながると考えています。

インテグラル理論という、人間の価値観はスパイラル的に変容していくという理論があります。ケン・ウィルバーという思想家・哲学者が提唱していて、ティール組織の背景理論にもなっています。

引用元:https://erickson.edu/blog/understanding-spiral-dynamics
人間の意識・価値観が個々人の中、および社会環境・組織の中で、古代的で本能的なベージュからパープル、レッド、ブルーと変化し、視野が広がり視点が変化し増えることを表す図。

それをもとに考えてみると、自分の存在意義を問い続けることで、螺旋状に視座が高まり、意識が内から外に向いていく。すると、自分の利益だけではなくより大きな視点で物事を捉えられるようになります。

自分に対しても他者に対しても俯瞰した見方できるようになることで、視野が広がり、よりたくさんの選択肢に気づくことができる。「どの道もそれぞれ良い」と考えられるようになるのと同時に、許容できる範囲も広がります

このように、コーチングを通して自分を俯瞰することは、“全てがOKになる世界”へと続いているのではないかと思うんです。

社会通念やルールに縛られることなく、自分も自分らしさを発揮でき、他人の“らしさ”も応援できる。そうやって各々の存在意義が光れば光るほど、素晴らしい社会に近づくはず、と信じています。

結果を手放し、ただ愛する

──根本さんがコーチとして大切にしていることはなんですか?

“Just love them”──クライアントさんをただ愛するということです。

これは、ある外資系企業にコーチングベースのマネジメントに関するセミナーを開催するとき、とても緊張していた自分に、同僚がかけてくれた言葉でした。

「クライアントの彼らが、コーチングや紹介するマネジメントツールを使うか使わないかはどっちでもいい。あなたは、ただ彼らを愛せばいいのよ」と言われて。

コーチングで大切なのは、自分では起こせなかった閃きが、クライアントの中に起きること。「コーチングの価値をわかってもらわなきゃ」「結果を出さなきゃ」と肩肘張っていた自分に気づいて、はっとしました。

ただクライアントを愛する。そう意識が変わってから、自分のコーチングにも変化があって。視座が上がったことで、受容の度合いが高まり、どんな質問やテーマにも落ち着いて対応できるようになりました

また、事前のシナリオも、決まったアジェンダもないセッションの中で、目の前の相手の未来を創り出すことに、より楽しさを感じられるようになりました。その言葉をきっかけに、自分の“在り方”や“価値観”がトランスフォーム(質の転換)したのでしょうね。

先ほど申し上げたインテグラル理論ともつながりますが、自身の視座が上がると、クライアントさんと共創する未来も、どんどん広がっていきます。私が「ただ愛する」という受容の心を持っていることで、クライアントさんは、どんな感情も願望も出すことができる。

その結果、その人らしさが色濃く反映された唯一無二の未来を描くことができ、一人ひとりの存在意義に近づけるようになったと思います。

対話で向き合う、企業のスケールアップと多様性の推進

──根本さんが今後取り組んでいきたいことについて、教えてください。

日本の中小企業の成長や、企業内でのダイバーシティ&インクルージョンの促進をサポートしていきたいです。

実は、日本の中小企業の中にはグローバルな視点を持つ会社が多くあります。酒造さんや半導体メーカーさんなどが、世界に向けてビジネスしている。そういった実態を知ったのは数年程前なのですが、そのときに「なんてすごいんだ」と驚きました。

そういった価値ある企業をサポートしていきたいと思い、中小企業の経営陣を対象とした「スケーリングアップ」というコーチングの手法をアメリカで学び、唯一の日本人取得者になりました。

スケーリングアップコーチングでは、戦略やキャッシュなども扱いますが、根底にあるのは「自分自身に向き合い、可能性が最大化する」というコーチングの考え方です。どんな事業をどう展開し、誰に何を届けたいのか。そういった想いを引き出し、企業戦略を明確化し、今の現状から突破的成果を創る発展につなげていきます。

中小企業に眠る可能性を引き出し、より豊かなステージに進んでいくサポートをしていきたいです。

ダイバーシティ&インクルージョンの推進については、「真のダイバーシティ&インクルージョンの世界」を作りたいと思っていて。

真のダイバーシティ&インクルージョンというのは、多様な人が包括され、触発し合うことで新しい価値を創り出すこと。

日本で「ダイバーシティ&インクルージョン」と言うと、主に男女格差の改善や外国人の雇用を指す場合が多いですが、例えば「女性を増やそう」とか、「外国人を採用しよう」という行動をとっても、そういう方たちが「存在する」という事実を企業内に作った、というステージ。多様性の受容を掲げながらも、「活かす」そして、『多用な価値から革新を生み出す』ステージまで辿り着いていない組織が多いように感じます。

多様性を前提に、そこからどんな価値を生み出し、どんな未来を目指したいのか。そんな想いを共有した上で、ダイバーシティ&インクルージョンを促進していきたいですね。

中小企業のスケールアップも、企業のダイバーシティ&インクルージョンの達成も、根底に必要なのは対話です。

なぜスケールアップしたいのか、どんな未来を作っていきたいのか。多様性からどんな価値を創造し、社会に貢献したいのか。「みんながそう言うから」ではなく「自分たちはどうしたいのか」。コーチングは、そういった対話を引き出し、可能性を広げて、現実化していくことができます。

根源にある想いに立ち返り、より大きな可能性を捉え、輝いていく。そんな個人と企業を、コーチングを通してサポートし続けていきたいです。

[文]大門史果 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭

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