やさしく寄り添うだけのコーチじゃ足りない。可能性を本気で信じ、時に強力に背中を押す「剣を持ったマリア」 #水田真由美

やさしく寄り添うだけのコーチじゃ足りない。可能性を本気で信じ、時に強力に背中を押す「剣を持ったマリア」 #水田真由美

水田真由美|ライフデザインコーチ/ワークショップデザイナー
2001年にベビー向け製品メーカーに入社し営業・店舗マネジメントを経験後、ベネッセに転職。マネジメントについて学ぶ中でコーチングに出会い、資格を取得する。2014年ライフコーチとして独立し、主に女性向けにコーチングやワークショップを提供している。

「私がやりたかったのはこれだ!」本屋で手にとった本で、自分の道が開けた

―コーチになろうと思ったきっかけを教えてください。 

初めてコーチングの講習を受けたとき、ビビッと来たんです。「私がやりたかったのは、これだ!」って。

当時、私はベネッセコーポレーションで、小学生向け通信教育講座の添削をしてくれる指導員(赤ペン先生)のマネジメントや、社内での人材育成を担当していました。

マネジメントや育成はうまくできる感覚はつかめてきたけれど、もっと体系だって理解したい。マネジメントをしっかり学んでみたい。そんなとき本屋でたまたま手に取ったのが、コーチングの本でした。

そして、これもたまたまですが、コーチングの本を読んでいることをチームでポロッと話したら、CTI(国際コーチ連盟に認定されているコーチ養成機関)の講座を受けているメンバーが居て、「水田さんも受けてみてください」とおすすめされたんです。マネジメントやコミュニケーションに活きるんじゃないかという期待を持ちながら、気軽に門を叩きました。

初めて参加した2日間半の基礎コース。そこで、コーチングのベースにある考え方――「人は創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である」と聞いたとき、稲妻が走るような衝撃を受けました

新卒で入社したときから「もっと頑張らなきゃ」という気持ちが強かったんです。成長しなきゃいけない、自分以外の何者かにならなきゃいけない、と。でも「人として欠けてるとか足りないとか、そんなことはない」と聞いたときに、許されたように感じたんです。

「自分はこれでいいんだ」ってすごく安心したのと同時に、日々のお仕事の中で感じていたマネジメントやメンバー育成へのやりがいがコーチングとつながって、「私がやりたかったのはこれだ!」とビビッときました

コーチングによって生きづらさが解消され、人生を取り戻せた

―水田さんご自身が、コーチングの価値を実感したエピソードを教えてください。

私自身、コーチングを受けて自分と向き合うことで、すごく生き方が変わりました

実は私、「これだ!」ってビビッときたのに、コーチングを学ぶのを1年くらい放置していたんです(笑)。

なぜなら、自分と向き合いたくなかったから。当時、父との関係があまり良くなかったのですが、コーチングを学ぶとしたら、この問題に向き合わなきゃいけなくなるなと感じてしまって、それが嫌で避けていたんです。

ただ、会社にもコーチングを勉強することは伝えていたので、評価面談で進捗を聞かれたりして、義務感から渋々重い腰をあげることにしました。

そこからコーチングを勉強しながら、自分もコーチングを受け、かなりの時間をかけて父とのことに向き合いました。

私の人生って、ずっと「父みたいにならないように、ちゃんといい子でいなきゃ」と思い続けた人生だったんです。

父はお酒やギャンブルで借金があり、働いてはいたものの、家にお金を入れないこともありました。その一方で、母は昼も夜も働いて、とにかく大変そうで。そんな家庭の中で、自分は父に反抗して母の味方でいることはもちろん、家の中でこれ以上問題を起こさないようにいい子でいよう、と思っていました。自分はちゃんと勉強して大学をでて会社員になるんだ、と「自分がどうしたいか」というよりも、「周りからどう見られるか」を気にしていろんなことを決めていたんです。

いつも他人の軸で決めていたので、コーチングセッションで質問をされても、全く答えられなかったんですよね。「本当はどうしたいんですか」「それについてどう思ってるんですか」と言われても、「私が知りたいんだけど、、、」という感じで。コーチングの練習相手も困っているし、自分からは答えが出てこないし、自分のことなのにどうしてわからないのかわからない、そんな期間が続きました。

それでも、コーチングを通して自分に向き合うことを繰り返して。すると、セッションを重ねるうちに自分の輪郭がだんだんはっきりしていったんです。自分の価値感や考え方が明確になったその過程で、ずっと感じていた生きづらさを、少しずつ解消していくことができました。人を気にせずに、「自分はこうだ、こうしたい」と言ったり、行動したりできるようになったんです。

コーチングに出会って、自分の人生を取り戻したような、そんな感覚でした

正直、自分のことがわからない、問いかけられても答えられない期間は辛くて、逃げ出したくなるときもありました。それでも自分と向き合い続けられたのは、コーチがいたから

私もそうでしたが、自分のことこそ見える範囲って限られていますよね。コーチに第三者としてのフィードバックをもらったり、励まされたり、ときには耳の痛いことを言われたり…。ある意味逃げられない環境だからこそ、自分の中で大きかった課題にじっくり向き合い、結果として自分らしさを取り戻せました。

クライアントに寄り添いながらも本質に迫る「剣を持ったマリア」

―セッションの中で大切にしていることを教えてください。

一番は、相手の可能性を信じて関わることです。信じて関わるというのは、ただ優しく寄り添うだけじゃなく、その人の可能性を広げるために必要なら、目を背けたそうなところにぐっと斬り込んだり、本人がひるんでしまいそうな行動でも強力に後押ししたりするということです。

以前、先輩コーチに「剣を持ったマリアみたいだね」と言われたことがあります。相手の方に寄り添うのはもちろん大切ですが、優しいだけでいることにコーチの価値はないと思うんです。優しく聞きつつも、”じゃあ、どうするの?”ってぐっと踏み込む。寄り添うところと本質に迫るところの両方を意識しています

コーチングのセッションの時間は限られているので、ほかの時間でクライアントが「どう行動するか」こそがその人の人生を変えていきます。行動を起こしてもらえるように、「いける!あなたなら大丈夫!」と心から応援するためには、その人の可能性を信じていることが欠かせません

人って、他者の目や社会の枠にとらわれず自分らしくいるときこそがパワフルで魅力的。本来持っているものを発揮できていない状態は、自分にとっても世の中にとっても損失です。

30年こじらせた私でも、今、自分らしさを発揮して行動し、自分の可能性を広げることができている。だから、みんなも絶対できると信じています。優しさと厳しさを併せ持ちながら、クライアントが前に進むお手伝いをしていきたいですね。

コーチとして、自分の「やりたい」を大切にできる女性を増やしたい

―水田さんは、今後どのようなコーチになりたいですか?

常に新しいことに挑戦する、新鮮なコーチでありたいですね。

昔の自分は、いい子の枠からはみ出さないようにと、選ぶのはいつも安全牌。チャレンジすることが苦手でした。

でもコーチングに出会ってから、現実的ではないと感じても、自分がやりたいことにはチャレンジできています。そして、自分の想像の範囲から外れたところにこそ、新しい発見や成長がありました。

コーチは、クライアントがコンフォートゾーンから出てチャレンジするのに伴走し、背中を押す存在。だから、私も同じように挑戦し続ける人でありたいんです。そして、成長し続ける。コーチングも、「自分はこういうやり方」って固めてしまうのは面白くありません。常に自分の幅を広げながら、「あなたならできる!」ってクライアントの挑戦を応援していきたいですね。

あとは、ライフパスにおいて迷うことの多い女性を、自分にスポットライトを当てられるようにサポートできたらと思っています

自営業であることもあって、わたし自身迷うことがいろいろありました。結婚や出産、2人目以降の出産、保活、子育て中の仕事など、女性だけではないけれども主に女性が影響を受けやすいことってありますよね。

今は3歳の子どもがいますが、出産前は産後の仕事や生活は想像できなかったし、産後は家の中で子どもと2人きりの状態がつらくて軽く鬱になったこともありました。そこから仕事のペースをつかむまでにも、ある程度時間がかかりましたね。

そんな体験を踏まえて、どんな状態の女性もサポートしたい、応援したい、という気持ちが強くなりました。自分以外の周りのことを優先しがちな女性だからこそ「本当はあなたはどうしたいのか」にフォーカスが当たる状態になれるように手伝いたいライフイベントによって何かを諦めたりせず、いきいきした姿を子どもに見せられるような、そういう女性を増やしていきたいです。

[文]大門史果 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭


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