Willに邁進したいビジネスアスリートへ。思考と健康、両軸で整えるコーチング #早川滋

Willに邁進したいビジネスアスリートへ。思考と健康、両軸で整えるコーチング #早川滋

ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、早川滋さんのインタビューです。

早川滋|プロフェッショナルコーチ
2008年にスポーツ系の専門学校卒業後、トップアスリートをサポートするトレーナーの道へ。その後、医療系の国家資格を取得し10年以上にわたり人の身体と心に関わるなかで、身体を改善しても心の状態が伴わなければ、真の健康に向かわないことに気づきコーチングを学ぶ。
2018年、株式会社SevenRichAccountingウェルネス事業部に入社。健康関連事業に携わる傍ら社内の健康意識を高めるべく、コーチングを用いたウェルネス1on1制度を浸透させる。関わる全てのビジネスパーソンが自身のビジョンに向けて邁進できる状態を目指して活動中。

正しいことを言ってるのに伝わらない…コミュニケーションの課題からコーチングへ

――コーチングを学び始めたきっかけを教えてください。

きっかけは、仕事の中でコミュニケーションに課題を感じ、改善したいと思ったからです。

最初に壁に当たったのは、専門学校を卒業し、プロスポーツチームにトレーナーとして関わっていたときでした。僕は、「これは絶対にやって」と教科書的な正解を押しつけるコミュニケーションを取っていたんです。ただ、相手は自分のこだわりを持っているプロアスリートたち。僕の一方的なコミュニケーションでは、なかなか動いてくれなくて……。

正しい知識や技術を持っていても、相手の考えを汲み取って受け取りやすいように伝える能力がないと、コミュニケーションは成立しないんだと実感しました。

そこからコミュニケーションの勉強を始め、並行してコーチングも学び始めました。医療系の国家資格を取得したあとに勤めた職場では不妊治療などの婦人科系の治療も行っていて、センシティブな内容を扱う場面が多く、人の話を深く聴く「傾聴」といったコーチングスキルの大切さを改めて感じました。

本格的にコーチとして活動を始めたのは、今の会計事務所に入社してからです。会計事務所は業務量も多く、確定申告などの繁忙期には毎日のように終電帰りになることも。仕事にやりがいを感じている人は多かった一方で、あまりの忙しさに、一定の不調が当たり前の状況になる人もいました。

そんな環境を改善するためのウェルネスチームが発足したときに、社内コーチに立候補。健康面の知識とコーチングのスキルを合わせて、月に1回メンバーそれぞれへのコーチングを始めました。

セッションは安心安全の場。等身大の自分を味わい、納得感とともに前に進む

――早川さんがセッションで大事にしていることは何ですか?

クライアントさんが「等身大の自分」を味わえるような、安心して自分のことを話せる空間づくりです。

ビジネスパーソンとして結果を求められる立場にいる方は、それまでに厳しい指導を受けてきていたり、プレッシャーのかかる場面を切り抜けたり、競争社会の荒波に揉まれてきた方が多い。成果が重視される世界にいたことで、自身の言葉や行動に無意識に制限をかけてしまうんですよね。「それはどんな意味があるのか?」「結果にはつながるのか」といった観点で常に判断してしまう。

ただ、コーチングのセッションの場で素でいられない、たとえば10考えているうちの8しかない出せない状態だと、すごくもったいないと思うんです。自分で切り捨てた2割に、ものすごく大切なものがあるかもしれないのに。

だから、僕のセッションでは、「今の自分の本当の感情や思いをちゃんと味わえているか」をかなり深堀ります。「こう思っている」「これをやりたい」という言葉に対して、「本当にそれですか」と問いかける。目の力や言葉の選び方を観察して、本気度が感じられないときは何度も問いを投げかけたり、「なんだかちょっと力を感じません」とフィードバックをしたり。

ーーなぜ「等身大の自分を味わう」のが大切なんでしょうか?

自分の現状に向き合いきれていないと、本当にやるべきアクションに向かって動き出せないときがあるからです。

特に「向き合いたくない自分」がいるとき、逃避的な思考から最適ではない易しいネクストアクションに逃げてしまうことがあります。課題に気づきながらも、それを避けるような行動を選んでしまう。すると、1、2年後にまた同じような課題が現れるんです。

たとえば僕の場合は、冒頭でお話したコミュニケーションに関する課題でした。

チーム内に合わないなと感じるメンバーがいたときに、関係性に課題を感じつつも「なるべく関わらなければいい」と逃げてしまったことがあって。最終的に、チームとして望んでいた結果も手に入れることができませんでした。

その2年後、次はコミュニケーションがうまく取れなかったことが原因で、当時関わっていたチームが空中分解してしまう出来事がありました。そのときにデジャヴを感じ、「これは自分が逃げてしまった課題だ」と気づいたんです。

そこでやっと自分のコミュニケーションスタイルに向き合い、「傾聴中心のコーチング的なコミュニケーションを身につける」というアクションを起こせました。それまでの僕は自分の正義を貫こうとするばかりで、メンバーの話を聞くことができていなかったんだな、と。

向き合えなかった課題はいつか戻ってくる。だからこそ、やりたいことやネクストアクションへのクライアントさんの納得度や本当に起こすべき行動につながっているかを粘り強く確認しています。

身体と思考はつながっている。本質的な変化に必要な健康面へのアプローチ

ーー早川さんは、どんな方をコーチとしてサポートしていきたいですか?

ビジネスパーソンの方々、特にミドルマネジメント層の方をサポートしていきたいです。

社内コーチとしてミドルマネジメント層の方々の苦悩を聞き、コーチングで救われる人がもっといるはず、と感じています。経営者の想いを汲み取ってメンバーに落としこんだり、さらに現場の声をすくい上げて経営陣に伝えたり。上司と部下の板挟みにされて相談できる相手もおらず、仕事場でも素の自分を出せない。そんなミドルマネジメント層の方は多いです。

そういう方々のパフォーマンスをより高められる、一緒に伴走して背中を押せるコーチングをやっていきたいですね。

最近はビジネスアスリートという言葉も耳にしますが、スポーツトレーナーなどをしていた経験から、運動や食事、睡眠などを含めた健康面でのサポートも意識しています。

健康状態は思考に強く影響します。たとえば、甘いものを頻繁に食べる方は気分の浮き沈みが激しい傾向があります。

甘いものをたくさん摂取することで血糖値が乱高下してしまうのですが、それがメンタルに影響するんです。血糖値の乱高下は、副腎という臓器に負担がかかります。それは、心理的ストレスがかかっているのと近しい作用です。

ビジネスパーソンの方々でも、栄養と思考、また運動と思考の結びつきを知らない方は多いのではないでしょうか。

クライアントさんの様子がいつもと違うように感じたら、最近の習慣、睡眠や食事は十分に取れているか、ストレスにうまく対処できていないところはないか、などを尋ねています。健康面に関しては、理論的な背景と知識を伝えるティーチングを取り入れることもあります。

まずは、生活を改善して正常な思考に戻し、改めて課題に向き合う。思考面の対処だけでは、コーチングが絆創膏代わりになってしまって、その奥の傷は治りません。本質的な変化のためには、健康面からのアプローチも大切だと考えています

社内のメンバーも、コーチングを受け始めてから食生活や睡眠に気をつけるようになったと報告してくれたり、実際に肩こりや頭痛が30%以上減少したというアンケート結果も出ました。

コーチングで内面に向き合うとともに、自身の健康も一緒に見直してくれるようになったのは、とてもうれしかったですね。

コーチングは定期検診。バランスの良いパフォーマンスのために

ーービジネスパーソンは、コーチングをどのように使っていけると良いのでしょうか?

話したいことや悩みが生まれたときにコーチと話すのもいいですが、個人的には問題を感じていなくても定期的にコーチングを受けたほうがいいと考えています。

僕自身、月に1回は必ずクライアントとしてコーチングを受けています。

コーチングでは、「なぜやりたいのか」という“why”や、「どうありたいのか」という“being”を扱います。世の中に提供していきたい価値を改めて確認でき、そのためにやるべきことが鮮明に広がっていく。

対して、日頃働いているビジネスの現場は、理論的な説明や明確な結果が求められる世界。その中で過ごしていると、どんどんビジネスよりの思考に引っ張られてしまう

コーチングを受けて初めて、そんな自分に気づいたりするんです。普通に自然体で喋っているつもりでも、「左脳ばかり使っているように感じます。もうちょっと右脳つかいません?」というフィードバックをもらったりする。

健康診断のような定点観測としてコーチングを活用することで、自分では感じられなかった不調や心の揺らぎに早めに対処できるのが良いですね。忙しく働いている人ほど、定期的なコーチングをおすすめしたいです。

ーー早川さんの目指すコーチ像について教えてください。

等身大の自分を味わえるセッションができる、そしてWillの実現に向けて背中を押してあげられるコーチでありたいです。

熱い想いを持って始めた仕事でも、いろいろな業務で疲弊して、「自分のやりたいことってなんだっけ」と悩むメンバーを多く見てきました。

Willにかかるもやを取り除いて、今ここにいる意味を改めて確認し、一緒に前に進んでいく。そんな一連のプロセスを健康面も含めてサポートしながら、Willに邁進できる人を増やせたらいいなと思っています。

[文]大門史果 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭

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