心が温まったとき、人は自然と動き出せる。自分の強みにフォーカスし、自分らしさに磨きをかけるストレングス・コーチング #重次泰子

心が温まったとき、人は自然と動き出せる。自分の強みにフォーカスし、自分らしさに磨きをかけるストレングス・コーチング #重次泰子

ZaPASSで活躍するコーチに、コーチになったきっかけやコーチングへの想いを聞く連載。今回は、重次泰子さんのインタビューです。

重次泰子|プロフェッショナルコーチ
日本銀行国際局で、米国、欧州の国際金融業務を7年、為替のディーリング業務を2年担当。4年間の子育て期間を経て、三菱総合研究所 政策経済研究センターで、計13年マクロ経済リサーチ業務に携わる。その間コーチ・エィでコーチングを学び、ギャラップ社の認定ストレングスコーチ資格を取得。2018年10月リソース活用ラボを開業。個人とチームのリソースを最大限に活かし、成果を上げることを目標に、ビジネスマン向けのコーチングや、企業へのストレングスファインダー研修などを中心に活動中。

コーチングで出会った、自分の「在りたい姿」

ーープロコーチを目指された経緯を教えてください。

プロのコーチになろうと思ったのは、初めてコーチングスクールのクラスを受けたとき、電話の向こうのコーチの声にビビッと来たからです。「私の在りたい姿はこれだ!」と。まさに直感ですね。

当時の私は、シンクタンクの研究員として働く中で、ある“違和感”を感じていました。

業務時間内にチームで交わされるコミュニケーションがとても少なく、自分の仕事を粛々とこなすことが求められる雰囲気に、重苦しさを感じていました。

周りをみても、非常に優秀な人が多いのに、パフォーマンスを出し切れず、体調を崩したり、転職する人も。

「組織で人が成果を出すには、温かさが必要なのでは」。人間らしいコミュニケーションへの渇望感と、個人の高い能力とパフォーマンスがうまく結びついていない状況への課題感が相まって、悶々としていました。また、部署が変わったり、転職したりした人たちが、新しい職場で活躍しているのを見て、組織でメンバーが活き活きと活躍できる仕組みとはどんなものか知りたい、という欲求も沸き上がっていました。

そんなとき兄に紹介されたのが、コーチングの本です。 読み始めたら、とにかく惹きつけられて。「よくはわからないが、とにかく学ぶべし」という直感に従い、数日後にはコーチングスクールに申し込んでいました。

講座の初回、クラスを担当してくれたコーチの姿を、今でもはっきりと覚えています。どんな在り方もその人らしさとして受け止めて、温かく包み込む。それはもう、電気が走るような衝撃と感動でした。

それまでの私は、自分にとっての理想的な在り方を考えようとしても、「パフォーマンスを上げるには」「成果を出すには」と職場で求められるものに引っ張られてよくわからないままでした。でも、コーチの温かいエネルギーを感じたとき、「自分は、こういう在り方を目指したかったんだ」とはっとして。

その瞬間に、本を読んだときに感じた直感が確信に変わり、「プロコーチになろう」と勉強を始めました。仕事が忙しい中、週2回朝7時から受講する生活は、体力的にはきつかったのですが、毎回異空間にいるようで楽しかったですね。

ストレングス・コーチングによる自己受容。強みを活かして前に進む

ーー重次さんが実践されているストレングス・コーチングについて教えてください。

ストレングス・コーチングは、自分の強みを客観的に知るためのツール「ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)」を活用したコーチングです。

ギャラップ社ホームページより

ストレングスファインダーに出会ったのは、コーチングを学び始めて1年半が経った頃です。メンターコーチとのセッションで、私は、「ここが良くなかった」「これがまたできなかった」と自分の悪い部分ばかり挙げていたんですね。

それを聞いたコーチが、「あなたは自分の悪いところばかりに目を向けている。自分の強みを知っている?」と、ストレングスファインダーを紹介してくれました。

そのときに初めてストレングスファインダーを受検したのをきっかけに、「これはいい!」と感じて、ギャラップ社の認定コーチの資格を取得、現在もトレーニングを続けています。

コーチングにストレングスファインダーを用いることで、自己理解・自己受容が深まりやすくなります。

素晴らしい才能を持っていても自覚できないのは、それらを無意識に使っていることが多いから。ストレングスファインダーを通して自身の体験に紐づけ言語化することで、自分の才能に気づき、強みとして捉えられるようになるんです。

また、ストレングスファインダーは、自分の弱みを受容するのにも役立ちます。

弱みは「負」ではなく、資質の一面に過ぎません。「私はここがダメ」ではなく、「私のこの資質が暴走しやすい」。そう捉えることで、自分自身を否定せずに、弱みを「自分らしさ」として受け入れやすくなる。さらに、陥りやすい負のパターンと自分が持つ資質のつながりを理解することで、自分を変えるのではなく、資質の暴走をどう防ぐかという方向に思考を切り替えられます。

こうして自分の資質を理解し、強みとして活かせるようになると、本当に人って変わるんですよね。自分がしたかったことや新しいことに、自然とチャレンジし始める。

なんでそんな風に変化するのか。それはきっと、「自分を受け入れると、体の中に温かさが広がっていく」からなんじゃないかと、私は思うんです。

体温が下がっていると、姿勢も縮こまりやすく、一歩踏み出すのも億劫ですよね。でも、身体が温まっていれば、動きやすく、容易に駆けだせる。それと同じで、ストレング・コーチングを通して自己を受容し、心が温まることで、新しいチャレンジにもフットワーク軽く取り組んでいけるんだろうなと

私のクライアントさんに、「所属している会社で昇進できるイメージがつかないから」と、早期退職やセカンドキャリアをテーマにしたいと来られた方がいました。

でも、セッションを通して自己理解を深めていくうちに、「私は上を目指したい」という言葉が出てきたんです。今まで意識して使っていなかった資質を知り、強みを発揮してきた過去のエピソードを振り返ることで、自分を温かく受け入れることができた。だから、自覚してなかった願いに素直になれたんだと思います。

そこから、自分の願いに向けた行動が始まりました。その方は、メンバーの意見を丁寧に引き出して調整したり、人のモチベーションを高めたりする素晴らしい才能を持っていて、ストレングス・コーチングによってそれを認識し、意識的に活用されるようになりました。その結果、リーダーとして高く評価され、諦めかけていた昇進が叶い、管理職のルートに引き上げられたんです。

今では早期退職の話は全く出てこなくなり、「リーダーとしてこの組織をどう変えるか」や「部下の能力を発揮するためにどう動くか」などをテーマにセッションをしています。

強みを意識的に活用しながら、願いの実現に向けて進んでいく。そんな一歩を、ストレングス・コーチングで後押しできたらうれしいです。

自分らしさを受け入れ、慈しむ存在であり続けること

ーーコーチとして大切にされていることは何ですか?

ご自身がネガティブに捉えられていることも含めて、クライアントさんを受け止め、慈しむことです。

「こうしなきゃいけない」「こう考えなきゃいけない」というのは一切なくて、どんな行動や感情も、その人らしさでありその人自身。それを慈しんだ上で、その方の素晴らしさを活かせるパターンを、一緒に探究していきたいと思っています。

あとは、「コーチとしてどう在り続けるか」も大切にしています。具体的には、自ら新しいことにチャレンジし、変化し続けること。コーチ自身に変わり続ける姿勢がない限り、投げかける質問やフィードバックもクライアントさんには届かないと思いますので。

「変化し続ける在り方」の大切さを最近実感したのは、反抗期の娘とのコミュニケーションです。

娘はこちらが言うことをなかなか受け入れてくれなくて。どうしたらうまくコミュニケーションを取れるんだろうと考えたときに、「まずは自分自身を変わらないと」と気づいたんです。

関係性の一番近い家族だと自分のエゴが出やすくなってしまうけれど、相手に変わってほしいと願うなら、まずは自分から、ですよね。それで、伝え方を変えたり、サポートしたい意思を前面に出したりと、接し方を変えていったら、それまでは頑なだった娘も、少しづつ話を聞いてくれるようになりました。

質問やフィードバックをしっかり届け、クライアントさんの変化をサポートする。そのために、常にチャレンジし続ける「自分の在り方」を大切にしていきたいです。

「自分は大丈夫」自信を持って、のびのびと活躍するために

ーーコーチングを通して、どんなことを実現していきたいですか?

変化を願うクライアントさんが、自分の素晴らしい才能に気づき、目指す方向へのびのびと進み、活躍される。そのサポートをしたいですね。

私のクライアントさんは、すごく頑張る女性が多いのですが、職場や家庭で多くの役割をこなす中で、自分に厳しくなりすぎて、つい弱みに目が向いてしまうケースが多い気がします。

また、私自身もそうでしたが、子育てなどで一度仕事から離れると、新たに踏み出す勇気を持ちにくくなってしまうことがあります。ですが、どの方にも素晴らしい才能があり、それを活かせる機会がある。自分らしさを受け入れ、発揮することで、必ず在りたい状態に近づけると信じています。

クライアントさんには、自分にしかないたくさんの強みに気づいていただきたいですし、そうして温まった状態から、新しい一歩を踏み出すサポートができたらうれしいです。

[文]大門史果 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭

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