“デキる人”が行き詰まったときこそ、コーチが関われる余白がある。起業経験のある僕だからできる伴走を #岡田裕介

“デキる人”が行き詰まったときこそ、コーチが関われる余白がある。起業経験のある僕だからできる伴走を #岡田裕介

岡田裕介|プロコーチ
立命館大学を卒業後、パーソルキャリア株式会社(旧 インテリジェンス)に入社。転職支援・採用コンサルティングに従事。入社3年目にトップセールスを獲得。同年、世界有数のコーチングカンパニーCTIにて、コアコースを修了。退職後、オルタナティブ・フリースクールを展開する非営利型の教育ベンチャーを共同創業、副代表理事に就任。退任後、ポスト資本主義の具現化を目指すNext Commons Labに参画し、加賀市にてローカルベンチャーの立ち上げ支援を開始。現在は並行して、認定プロフェッショナルコーチとして、主に都心部を中心とするスタートアップやベンチャー企業、フリーランス向けにコーチングを提供。

考え方がガラッと変わる体験を提供したい。コーチングならそれができると思った

―コーチになった理由を教えてください。 

自分の大学時代に、それまでの考え方や物事の捉え方がガラッと変わる体験をしたんです。そういう体験をより多くの人に提供したいという思いから、コーチを志しました

大学は経営学部のファイナンス専攻だったんですが、3年間ひたすら図書館で簿記の勉強をしていました。全然人と接していなくて、コミュニケーションをとっていたのは少数の友達だけ。就活時期になって、「これは将来ヤバいんじゃないか、ちゃんと就活できるのか?」という危機感を抱き、友人のすすめで2ヶ月間の企業提案型のビジネスコンテストに参加しました

そこで同じグループになったのがある意味変わってる、スーパーマンみたいな人たち。大学生なのに会社経営している人やビジネス経験のある人がいたりと、資格の勉強しかやってこなかった私にはハードルの高い環境でした。

そこで「自分は場違いだ…」と弱気になりかけたのですが、ここで頑張らねばという危機感もあり、逆にみんなを仕切るリーダーっぽく振る舞ってみたんです。そういう自己暗示をかけて(笑)。

そしたら、チームのメンターに「岡田さんリーダーっぽくない?」と言われて、本当にグループリーダーになってしまいました。しょうがないからリーダーのふりを続けてみたら、なんとかアクの強いメンバーをまとめることができ、ビジネスプランも入賞を獲得することができたんです。自分をスーパーマンだと思い込んでいたら、ちょっとずつ成功体験が積み上がっていきました

そのときに体験の持つ力に気づきました。自分の場合はそのビジコンだったんですけど、体験によって人はパラダイムシフトを起こせる。その結果自分を変えていけるんだと体感したんです。

その後、就活中にコーチングと出会い、自分も受ける中で「コーチングでもパラダイムシフトを起こせるな」と思い、コーチになることに興味を持ちました

コーチングを学び始めたのは、社会人2年目の2015年頃からです。そこからコーチとして400時間ほどセッションをしてきました。

一人じゃたどり着けなかった気づきから行動が変わり、成果を出せた体験

―コーチングの価値を実感したエピソードを教えてください。

コーチングのインパクトを感じたのは、新卒で入った会社で、営業として新人賞を目指していたときです。

1年目の僕は、とにかく新人賞をとることだけ考えていました。ビルが開く7時に出社して、ビルが閉まる22時まで働いて、家でも働いて。新人賞をとりたい、ただそれだけで働いていました。

大学時代のビジコンをきっかけに自分の考え方は変わったし、入賞という結果も出せたものの、何者かになれたわけでもない。だから、わかりやすい「結果」が欲しかったんです。

一方で、新人は100人以上いるし、僕より賢くてデキる人も山ほどいたので、「自分は新人賞をとるのに相応しくない」という気持ちも抱いていました。自信が持てず、たくさん働く以外の行動ができていなかったんです。

その頃、入社して数ヶ月後にコーチングを受け始めました。テーマはもちろん「どうすれば新人賞をとれるのか」。コーチからは、「なぜ新人賞を取りたいんですか?」「新人賞をとることで、どんな未来を実現したいんですか?」と、さまざまな問いをもらいました。

そんな風に思考を深めつつ、2~3ヵ月が過ぎたころでしょうか。それまで、「これをやらなきゃいけない」「でも僕にはできない」と揺れ動いていた気持ちが、「やるしかない」という気持ちに変わってきたんです。

実はそれまで、新人賞をとりたくてたくさん働いていたものの、飛んできた球を必死で打ち返すだけで、主体的な行動はできていなかったんです。でも、気持ちが変化してからは、自分から主体的な行動を起こし、周りを巻き込めるようになりました。そうすると、数字も少しずつ上がってきて、新人賞を獲ることへの自信も出てきて

気がつけば支援実績でトップと競り合えるところまでいっていました。結果は2位で終わってしまったんですが、ここまで数字や自分自身の行動を変化させることができたのはコーチングのおかげです。3年目には全国1000名以上の営業の中で、最も成果を上げた人に送られる「MVP(=Most Valuable Player)」にも選んでいただけました。

絶望的なときこそ「クライアントの可能性を諦めない」。コーチだからこそ関われる余白

―コーチとして大事にしていることについて教えてください。

明確に1つあるのは、コーチである僕自身が諦めないことです。

特に責任ある立場で会社経営や事業運営をしている方だと、何をやってみてもうまくいかないときってあるじゃないですか。全ての選択肢をやり尽くしたのに結果が出ない。そんなときこそ、まさにコーチとして関われる余白があると思っているんです。

僕自身も教育分野で起業した経験があるのですが、何度もハードなシーンがありました。

社会人3年目の年、とにかく熱い先輩がソーシャルセクターの教育事業を始めようとしていて、自分にはない熱量に心打たれて参画することにしたんです。

熱意と行動量で、資金調達や職員の採用まではなんとか上手くいきました。でも、事業を形作っていくのは想像以上に難しくて。

「障害や不登校などの困難さを抱えている子どもたちにとって必要な場とは何か」「支援を届けるべき人にどうやってアプローチすればいいのか」。毎日が答えの見つからない課題の連続で、資金もみるみる減っていきました。理想と現実のギャップに苦しむ場面も多かったです。

ただ、そのときにコーチが自分の支えになったんです。「自分の可能性を自分以上に信じてくれている存在」が、常に自分の背中を押してくれた

事業を進める中で、意見の対立や想定外のトラブルなどで気持ちが沈んでしまうこともありますよね。でもコーチングがあったから、心理的なストレスが軽減され、致命的なダメージを負うことなく現実に向き合い、前に進むことができました。結果として、職員の方々の協力もあって、なんとか事業を安定軌道に乗せることができました。

絶望的な状況で何も打つ手がないとき、本当に打つ手がないわけではなくて、物事の捉え方や価値観、考え方が作用してそう思い込んでしまっているだけだと思うんです。

コーチングなら、その思い込みを突破して、現状を捉え直して前に進むためのアクションをサポートできるはず。コーチである自分が諦めたらそこで試合終了なので、決して諦めないことを信念として持っています

本人も気付いていない奥底にある想いを引き出し、迷いなく前進するサポートを

―セッションの中ではどのようにクライアントと関わっていますか?

課題解決よりも、根本にある想いを引き出すことを大切にしています。

いま担当させていただいているクライアント様は、スタートアップやベンチャーの経営層や事業部長など社内でも大きな役割を担っている方たちが多いです。コーチングというと、クライアントが設定した目標を達成するためのサポートをしていくイメージがあると思うのですが、そういった方々は、そこまでサポートしなくても目標を達成しちゃうことが多い。ベースの課題解決力が高いんです。

じゃあどこでつまずくかというと、「なぜこれをするのか」「自分はどうしたいのか」というもっと奥底にある部分のゆらぎです。

ロールモデルであり続けることを求められているがゆえに、自分の本音を社内ではさらけ出せないことも多い。メンバーから「なんでこれをやっているんですか」と聞かれたときに、本音をそのまま言えなかったり、自分の本音さえも作りものなんじゃないかと感じてしまったり。

社内での役割を担う自分と、いち個人としての自分。いろんな自分としてアウトプットするうちに、自分でも本音が見えなくなっていく傾向があるように感じます。

コーチングのセッションは、そういった「求められるあるべき姿」をすべて脱ぎ捨てられる場です。そもそも自分はどんな方向性でいきたいのか、何をやりたいのか、など本人も意識できていないような根本の部分を引き出したい。そうすることで、その人が迷いなく前に進めるようにしたいと思っています。

コーチングの枠を超えて、0→1に挑む人を支える存在になりたい

―コーチとしての今後の展望を教えてください。

私は0→1を作るのがものすごく好きで、事業を作るときも1,2年目が超楽しくて、そこからテンションが下がっていくタイプ(笑)。

コーチングでも、何かを生み出している、生み出そうとしている人と関われることにわくわくします。なので、コーチングという軸を持ちつつ、そういった人や場面をより広くサポートできるようになりたいと思っています。

たとえば、0→1のその先にある採用支援や組織づくり。事業が作られて、組織ができて広がっていくと思うんですけど、その段階の組織って一番カオスですよね。社員の関係性構築だったり、組織を広げていくときの採用だったり、コーチングの枠を超えてHRの領域からサポートできたらと考えています。

あとは、パラダイムシフトが起きる瞬間に携わり続けたいですね。コーチングを本格的に学び始めたときの想いは変わりません。

今は、スタートアップ企業やフリーランス向けのコーチング、地方に移住して事業をつくる起業家のサポートなどを行なっていますが、パラダイムシフトをキーワードに、「自分の可能性を広げられるような初等中等教育段階向けの教育機関」も作っていきたいですね。

[文]大門史果 [編集]青木まりな [撮影] 伊藤圭

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